THE D SoraKi
© Little Shao / Red Bull Content Pool
ダンス

【THE D SoraKi】個性を追求し続ける天才ダンサーの素顔を知る

圧倒的な表現力で会場を魅了し、瞬く間に観客の心を掌握し味方につける。わずか19歳で世界王者に輝いたトップダンサー・THE D SoraKiとは、一体どんな人物なのだろうか。独占インタビューで徹底解剖。
Written by Daigo Sakazume
読み終わるまで:13分最終更新日:

30秒で人生を変えた男とは

往年の名曲でダンスを披露し、会場を盛り上げた者が勝利となるグローバルダンスバトルイベント『Red Bull Dance Your Style』第2回大会での出来事。
会場にダイアナ・ロスの「I'm coming out」のイントロが流れると、途端に観客たちがザワつき出す。それから約30秒後。凄まじい歓声と熱気が一気に会場を包み、誰もが1人のダンサーに釘付けになった。
ダンサーの名は、THE D SoraKi。その日の主人公は間違いなく彼だった。その後も勢い止まらず決勝を制し、見事世界大会の王者に輝いた彼は、一夜にして名声を勝ち取った。
この他にも国内外を問わず数々のダンスバトルで優勝を収めているTHE D SoraKi
果たして彼はどのような人物なのか。そして、何が現在の彼のスタイルを作り上げたのか。
今回インタビュー通して、ダンスだけでは伝えきれないTHE D SoraKiという人間の内面について彼自身の“言葉”で語ってもらった。
01

天才はアニメオタク!?

── 早速他では聞けないSoraKiさんの内面についてお聞きしたいと思うんですが、手始めに...アニメとかって好きですか?
THE D SoraKi(以下: SoraKi)「僕アニメオタクなんですよ。ONE PIECEはもちろん好きで小学生の頃からずっと観てるし。ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)とかも...。もう全般好きです。サムライチャンプルーも曲がカッコいいから好きで。あとスーパー・クルックスが好きですめっちゃ」
── 幅広い (笑)。カッコ良い系のアニメが好みですか?
SoraKi「いや、からかい上手の高木さんとか、おそ松さんとかも好きです (笑)。観て面白いって思ったものが好きです」
── なるほど。ちなみに何かダンスに影響とかありましたか?
SoraKi「あまり意識したことないですけど、空手系や侍系のアニメはシルエットがカッコいいと思います。踊ってる途中に思い出したらダンスの時に入れてみたりすることもありますね」
THE D SoraKi

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── では次に、音楽は普段どんなジャンルを聴くんですか?
SoraKi「ほぼ全ジャンル聴きます。ずっと昔から音楽は好きで、自分の音楽部屋みたいなとこにめっちゃ色々あります。
あ、KID FRESINOが超大好きです俺!日本で一番好きなアーティストは?って聞かれたらKID FRESINOって答えますね。海外はビギー(ノトーリアス・B.I.G)とかが普通に好きです。
あと、Boiler RoomのDJばっか聴いてます。バカみたいに暴れてる男の人たちがめちゃくちゃ面白いんですよ (笑)。オススメです!」
── 聴いてみます!そういえば I’m coming out(ダイアナ・ロス)もお好きだとか...?
SoraKi「そうですね。Mo Money Mo Problems(ノトーリアス・B.I.G)がすごい好きな曲で。高校生くらいの時にすごい助けてもらった曲でもあったから、準決勝で流れたのはドラマでした。流れた瞬間もう勝ったと思いましたね」
── あのダンス最高でした!『Red Bull Dance Your Style』の時は緊張はしてましたか?
SoraKi「ベスト16の時だけですね。でも休憩が短かすぎて緊張とかしてる暇もなく、体力を復活させるのに必死でした。
ベスト4の後に決勝始まるのが早すぎるんですよ (笑)。ランニングで言ったら1分間走り続けるのと同じなんで、本当にしんどいです。3ムーブ目終わった後にダヴィンチ(決勝の対戦相手)に体を持ち上げられたんですけど、あの時実は喉カラッカラで吐く寸前でした (笑)」
── 危ない危ない (笑)。では、ダンサーやアーティストを含めコラボしてみたい人はいますか?
SoraKi「P・ディディとマジでやりたいです。カッコいいんですよぉ。あと、スーパーボウルのハーフタイムショーでメインでいつか踊りたくて。その時が来たらぜひ呼びたいですね。
── 期待してます!ちなみにスーパーボウルはいつの日か、ということだと思いますが、今年すでに決定している事で何か楽しみなことはありますか?
SoraKi「あります、ありすぎるんですよ!!でもビッグネームとのコラボとか規模がデカすぎる事ばっかりで、言えない話しかないんですよね (笑)。
── コラボといえば、モデルのお仕事もされているSoraKiさんに質問なのですが、ダンスの発展においてファッションはやはり重要なのでしょうか?
SoraKi「大事だと思います。例えばダンサーがハイブランドとコラボすることで、ダンサーの存在自体がお洒落なものになっていくと思います。
ダンスと同じように、ファッションも自分を表現する方法の一つなので、ダンサーには欠かせない物だと思いますね」
── なるほど、ありがとうございます!
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──それでは次の質問。プロのダンサーになれていなかったら何を目指していましたか?
SoraKi「えぇ〜〜、ダンス以外考えたことないです!本当にダメ人間だったんで。本当に笑えないレベルなんですよ (笑)。でもまぁストリートが好きなんでビートメイカーかラッパーになってたと思います。
── やはりヒップホップの道を歩んでいたということですね。
SoraKi「それ以外だったら、サッカー選手を目指してたかもです。幼稚園の頃サッカーやってたので。割と上手かったらしくて、年長の頃に小2か小3のクラスでレギュラー取ってました」
── すご...。どの分野でも輝けるまさに天才の武勇伝ですね (笑)
02

4歳でダンスレッスンデビュー

── ダンスを始めたのはいつですか?
SoraKi「あんまり覚えてないです (笑)。姉のダンスコンテストに向かう途中で生まれたらしいんですが、そのくらい生まれた時からダンスの環境にいましたね。
小さい頃からダンスしてたと思うんですけど、4歳の時に本格的に姉にダンスを教えてもらいました。5歳の頃には姉と一緒に初めてコンテストに出たのかな」
── じゃあ一番最初のダンスの先生はお姉さん?
SoraKi「そうですね。軽く基礎を教えてもらった感じです。姉自身は2歳半の頃に公園で遊んでて、そこで初めて会った子に誘われたのがダンス始めたきっかけらしくて。初対面ですよ?もう考え方ぶっ飛んでますホント。頭おかしいです (笑)」
── たしかに豪快ですねそれは (笑)
SoraKi「今でも母と一緒にめちゃめちゃ応援してくれてます。『Red Bull Dance Your Style』で優勝した時も“おめでとう”って言ってくれて。
家族の支えが無かったら、今の自分はなかったと思いますね」
── ちなみに、具体的にはどのようにサポートしてくれていたんですか?
SoraKi「ダンスをスパルタ的に教わったって方もいるじゃないですか。全然そういうのではなくて、陰ながら応援してくれてたって感じです。
もちろん送り迎えはしてもらってたんですけど、ダンスに関しては一切触れてきたことはなくて。有り難いことにダンスは超自由にさせてもらってましたね。
人間性については怒られてばっかですけど (笑)」
03

ずっとピュアな素人で居たい

── お姉さんにダンスを教わったということですが、一番最初に練習したジャンルは何ですか?
SoraKi「姉がやってたのでヒップホップだった気がします。でも基本的にはフリースタイルっぽく色々織り交ぜてやってましたね。ほぼ全ジャンル練習しました」
── その中でも特に自分に合うジャンルは何でした?
SoraKi「ポップが合ってたと思います。今でも練習してますし、ヒップホップにはポップが必要だなって感じますね。師匠がYOSHIEさんなのでもちろんソウルも大事なんですけど、ポップはやっててよかったなって思います」
── そうなんですね!ちなみに一番影響を受けた人物はやはり師匠のYOSHIEさんですか?
YOSHIE

YOSHIE

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SoraKi「そうですね。YOSHIEさんにはもうすごい影響を受けました。自分の人生を変えてくれた人なので、めちゃくちゃリスペクトしてます。
フリースタイルやオールジャンルではYOSHIEさんなんですけど、ヒッポホップだったら、XXX-LARGEのTAKESABUROさん、TETSUさん、METHさんにすごい影響を受けましたね。地元の先輩でもありますし」
── おぉ〜!それは彼らのダンススタイルに影響されたということですか?
SoraKi「それもそうなんですけど、もう自分にとってはお父さんみたいな存在で。“男ってこういうことだぞ”みたいな、男のカッコ良さを背中で語ってくれましたね。音楽についても教えて貰ってるし、今でも超お世話になってます」
── 何かエピソードとかってありますか?
SoraKi「エピソードというか、いつも遊んでる時とかに、ちゃんと“カッケェ遊び方”をしてるなって感じです。あんまり言えない話ばっかですけど (笑)」
── まさにHIPHOPって感じですね (笑)
SoraKi「そうですね。小中学生の頃の自分にとってはカッコよすぎる世界でした (笑)。あと地元の先輩にも影響を受けましたね。周りの色んな環境が今の僕を育ててくれました。
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── そういった周りの環境は、ダンスにどのように影響してますか?
SoraKi「う〜ん。どんな風に影響してんだろ (笑)。言葉で表現するのは難しいんですけど、何か他の人から感じてるものは確実にあると思います。
ダンスって自分の性格とか情緒とか雰囲気とか、育ってきた環境が自然に出るものだと思っていて。フリースタイルをしていく中での、カッコつけるだけじゃ補えない部分を形作ってくれてると思います」
── なるほど。スタイルの一部になるわけですね...。ちなみに自分のダンスをしていく中で何か軸にしていることはありますか?
SoraKi「あんまり考えてないですね。音楽に純粋にいきたいです。その場の雰囲気とか流れとかで自由に。あと、自分はダンスと音楽に対してずっとピュアな素人でいたいと思っています」
マイケル・ジャクソンがムーンウォークって言ってるけど、本当はバックスライドって言うんだよ、とか言う人いるじゃないですか。そうであったとしても俺はずっとムーンウォークって言い続けたい、みたいな」
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SoraKi「ある程度のプライドはあるけど、何事にもピュアでありつつバカもやれる人が俺はカッコいいと思ってて。ピュアだからこそ、純粋にカッコいいものを追い求め続けられるということもあると思うし。そんな人に成りたいし、憧れてますね」
── なるほど。ずっとピュアで...。カッコよすぎるんで太字で記事に書いときます!!
SoraKi「いえいえ (笑)。ありがとうございます (笑)」
── それを踏まえ、新時代を担う若手ダンサーに何かアドバイスとかありますか?
SoraKi「無いんですよね。人に感化されずに、好きな人の言葉だけ聞いて、皆んな自分が好きなダンスをしてれば良いんじゃない?って思います。
自由にした方がいいです。自分が好きな物を求めていけば良いと思います。人の真似をするというよりかは、自分の個性が出るようなダンスをずっとしてて欲しいですね」
04

180度変化したダンス人生

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──『Red Bull Dance Your Style』で優勝してから生活は変わりました?
SoraKi「ホンットに変わりましたね。180度変わりました。めちゃくちゃ有難いことにお仕事の量が尋常じゃなくて、一気に休む時間がなくなりましたね。例えば1日に4回MTGが入ってて、その後ダンスの撮影があって、みたいな。
笑えてきますねホント。もう...どゆこと?みたいな。余裕で色んな連絡終わってないし、請求書とかも書くの大変だし。優勝前と比べると100倍くらい仕事増えました」
── 街を歩いてて声を掛けられたりすることもありますか?
SoraKi「ありますね〜。めちゃくちゃあります」
── やっぱり...!言うまでもなく、もうトップスターですね。
SoraKi「あ!そういえばぜひ書いて欲しいことがあって。普段あんまり気にするタイプじゃないんですけど、盗撮やめて欲しいです (笑)」
── 書いておきます!ぜひこの機会に皆さんに伝えておきましょう。
SoraKi「よろしくお願いします (笑)。
この前とかも、普通にコンビニに買い物に行って店を出ようとしたら、一言も喋らず静かにスマホだけ向けられてたり...みたいなことがあって。
全然鼻が高くなってるとかじゃなくて、遊んでる時とかにこっそり誰かに撮られてるってシンプルに怖いです (笑)」
── たしかにそれはちょっと怖いかも (笑)
SoraKi「声を掛けられる事自体はすごく嬉しいです!でも、こっそり何かするのはやめて欲しいですね。
05

ダンサーとしての熱い野心

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── 何か毎日続けている事ってありますか?
SoraKi「体幹トレーニングとダンスの練習は毎日してます。どんなに忙しくても4時間はダンスの練習をしてますね。(仕事等もあるため)決まった時間に練習することはできないんで、家に帰ってきたらやるようにしてます」
── ダンサーとしての課題は何かありますか?
SoraKi「あんまり考えたことないです。スキルを磨いて、新しい自分や新しいスタイルに出会うために日々取り組んでるだけですね」
── 特に目標などは決めていないと?
SoraKi「はい。ダンスって常に進化し続けてるし、何が正解かも分からないからダンスって楽しいと思うんです。だからずっと挑戦している自分でいたいというか」
── なるほど。それは昔から同じ考え方なのでしょうか?
SoraKi「そうですね。もう小さい頃からこんなこんな感じです。特にあのムーブをやりたいとかは全然なくて。あとパクリとか本当に嫌です」
── 今の唯一無二なスタイルの根源ですね!
── それでは最後に、SoraKiさんがダンスを通して伝えていきたいメッセージとは何なのでしょうか?
SoraKi「メッセージか。何を伝えたいんだろ...(笑)
個人的にダンサーの地位をずっと上げたいとは思ってます。なんでメインじゃなくてバックダンサーをしないといけないんだ、って基本的に思ってて。本気でダンスやってるのに、なんでバックダンサーになるのが夢なの?って思っちゃうくらい“バック”って言葉が本当に嫌いなんですよね」
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SoraKi「よく、ダンスバトルで優勝したけど誰のバックダンサーもやってないよね、って言われるんですよ。いやそもそも俺やらんし、みたいな。マドンナのバックダンサーも断ったし、シルク・ドゥ・ソレイユからの誘いも断ったし。
なのでバックダンサーや振り付け担当だけじゃなく、ダンサーがフリースタイルだけを職業にして生きていけるような世の中を作っていきたいです。そのために、もっとダンスと行動で示していきたいと思います」
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