Jiro x Red Bull Air Race
© Maruo Kono
エアレース

【Red Bull Air Race×JIRO(GLAY)】世界に一本の特別なベースが誕生

レッドブル・エアレースとJIROが出会った時、独創的な一本のベースが生み出された。『Top Dog JRO-09RB』、その誕生のストーリーを追う。
Written by 中三川大地
読み終わるまで:7分公開日:

JIROが臨む「視覚に訴えかける」コラボとは

来るレッドブル・エアレース千葉2017にてアンバサダーを務めるGLAY。今大会に向けテーマ曲「XYZ」を書き下ろし、決勝日となる6月4日には会場の特設ステージにてスペシャルライブを披露する。そんなビッグウェーブとも言える話題の裏でもうひとつ、興味深いコラボレーションが水面下で進行していた。
GLAYのボトムを支え続けるベーシスト、JIRO。強靭なビートを繰り出しつつメロディックにラウンド弦をかき鳴らすその男は、同時にメンバーの中でもファッションやアートといった音楽以外の面でクリエイティブな顔を持つ事でも知られている。サウンドだけではなく視覚的にもファンを熱狂させるJIROが今回挑むのは、まさに自身の分身とも言える「ベース」そのものにレッドブル・エアレースのイメージを視覚的に刻み込むことだった。
こうして動き出した、正真正銘、世界で一本だけのレッドブル・エアレース仕様JIROオリジナルベース製作プロジェクト。まずその第一段階として、ベースに描き込まれるグラフィックデザインのコンペを開催。もちろん選考にはJIRO本人も参加し、多数の候補の中から選ばれたのがこのデザインだった。
JIRO x Red Bull Air Race

JIRO x Red Bull Air Race

© Maruo Kono

JIROの現在×過去×未来を内包するグラフィック

「僕がずっとメインで使ってきたモデルカラーはブルーとフレークシルバー。特にシルバー系のイメージが定着している中で、このデザインだとシルバーをベースに、すでに実績があるブルーや、最近使っている『Music Man BONGO』のカラーである赤もバランス良く配されているので、僕がどんな衣装を着てもハマるんじゃないかな、と感じて。実際に自分が弾いているときのヴィジュアルをイメージしやすかったんです。あと、派手でパンキッシュながらも、クールな雰囲気が漂っているのも良い。他案もすばらしいものが多かったのですが、このデザインは今までの僕のスタイルの流れを踏まえてくれた、というのがデザインから伝わってきたし、なおかつこれからの新しいステージングやルックスのイメージまでインスパイアさせてくれたものでもあったんです」(JIRO)

【製作工程の様子】

職人技を駆使し再現されたグラフィック

実際の製作は、20年近くJIROのベース製作を担当してきた『SGCrafts』の中田隆士が腕を奮った。プロフェッショナルから絶大な信頼を得る「もう一人のプロフェッショナル」。ビルダー中田はいかにしてこのデザインをベースに刻み込んだのだろうか。
「デザイン画を見たとき、JIROさんらしいな、という印象を受けました。実際にどうやってこのグラフィックを具現化するか、塗装職人と話をしてすぐに決まりました。こうした複雑なデザインは通常の塗装では再現不可能なデザインなので、フィルムに"柄"を印刷して貼り込む手法を使うのがベターなんです。フィルムならグラフィックの再現率も高く、色味がしっかりと入りますから。まずはベース本体をメタリックシルバーで全体的に塗って、その上にグラフィックが印刷されたラッピングフィルムを貼り付けます。個人的に気に入っているのは、フィルムと通常の塗装面の切り返しの処理。何もしないと塗装とフィルムの切れ目が目立ってしまうので、グラデーション塗装で馴染ませているんです。少し技術的に難易度は高いのですが、おかげでよりベース本体とデザインの一体感が生まれました」(中田)
Top Dog JRO-09RB

Top Dog JRO-09RB

© Maruo Kono

「今回のベースの機能面に関して、JIROさんからいただいた要望は2点。重量を少し軽く仕上げて欲しいということと、最近お気に入りだというダブルコイル・ピックアップの組み込み。ボディに関しては通常のTop Dog JRO(JIROモデル)に比べてボディ厚を2mm程薄くしました。これはJIROさんの要望として一貫していることなのですが、GLAY のライブではメンバーのダイナミックな動きも魅力です。常に大きく動き回るので、どんなときも弾きやすく、出来るだけ身体に負担が少なくなるように、という点に重きを置いています」(中田)

新しい楽器への期待感は昔から変わらない

この日、ベースとの初対面を果たしたJIRO。完成したRed Bull Air Race特別仕様モデルと相まみえた彼は、どんな第一印象を持ったのだろう。
「僕だけでなく、GLAYのメンバー皆がそうなんですけど、昔から新しい楽器を手にした時はもの凄くテンションが高くなる。早くリハーサルで音出したくて仕方がないみたいな(笑)。それはこの新しい楽器がGLAYの楽曲にどんな影響を与えてくれるのか、というワクワク感だったりします。今回はそれに加えて、ヴィジュアル面でも大きく影響を与えてくれるのは間違いない一本になるはずなので、更にワクワク感が倍増しています。GLAYというバンドは、4人全員のスタイルが確立していて、その中でもこういったトリッキーというか、パンキッシュな要素をバンド内に持ち込むのは僕の役割かなと思っている部分もあります。そうした自分のキャラクターにマッチするデザインを、こんなにもすばらしいクオリティで造り上げて頂いたのが非常に嬉しいです」(JIRO)
JIRO x Red Bull Air Race

JIRO x Red Bull Air Race

© Maruo Kono

絶えず自らの感覚をアップデートする

音楽的にはもちろん、音楽以外の側面でもクリエイティビティを発揮してきたJIRO。そのアイデア、発想の源はどこにあるのだろうか。そしてレッドブル・エアレースとの関わりが彼の発想力にどのような変化をもたらすのであろうか。
「その時その時に新鮮でいいな、と感じたものを素直に取り入れるタイプではあります。今の自分に合ったものをすぐに取り込んでしまうというか。確かに、自身の感覚を新しいものにアップデートしていくスピードは他の人よりも早いかもしれないですね。だから今回のレッドブル・エアレースとのコラボレーションも良い刺激がもらえそうで楽しみです。僕はエクストリームスポーツ全般が好きで、競技を見ているだけでインスパイアされる感覚がある。大好きなパンクミュージックとの親和性も高い気がしますし、両者が自分の中で繋がっている部分もあります。実際に今回のベースデザインにもスリリングなスピード感みたいなものを凄く感じますし、そういったテイストを今後GLAYの楽曲でも出していけたらな、と思いますね」(JIRO)
最後に、6月4日決勝当日の会場で開催されるスペシャルライブへ向けての抱負を語って頂いた。
「会場にはもちろんGLAYのファンの皆さんだけではなくて、レッドブル・エアレースファン、エクストリームスポーツファンの方もいらっしゃると思います。僕自身、エクストリームスポーツのひとりのファンとして、そういった方々にカッコイイって思ってもらえるライブにしたいですね。もちろんこのベースもライブで使用しますので、新しいJIROのヴィジュアルも見て頂けたら嬉しいです」(JIRO)
(文中敬称略/原稿:藤川経雄 写真:河野マルオ)
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