スロベニアで行われた新型ウイングスーツテスト
© Wolfgang Lienbacher/Red Bull Content Pool
ウイングスーツ

最新ウイングスーツの可能性 

最新のウイングスーツに施された新デザインは、パフォーマンス向上につながっているのか? Red Bull Skydive Teamが実証テストを行った。
Written by Gunther Geist
読み終わるまで:3分公開日:
マルコ・ヴァルテンシュピールとRed Bull Skydive Team

マルコ・ヴァルテンシュピールとRed Bull Skydive Team

© Wolfgang Lienbacher/Red Bull Content Pool

他の空飛ぶ物体と比べ、ウイングスーツは圧倒的にローテクだ。エンジンもなければプロペラもなく、計器類も存在しない。まさしく、「着る翼」に過ぎないのだ。しかし、ウイングスーツのパイロットはこれまででは考えられなかったほどの長距離フリーフォールなどをはじめ、非常にクールなマニューバがメイクできる。しかも、技術的には(そして理論上は)空中停止さえ可能なのだ。
このスポーツにおける最高難度と言われる伝説的なマニューバは決してそう多くはない。そのひとつが、十分な速度のフリーフォールの途中で急上昇し、フリーフォールを停止してみせるマニューバだ。何人かのパイロットはこのマニューバをメイクしたと主張しているが、公式に確認されたことは一度もない。だが、Red Bull Skydive Teamのメンバーが把握しているところでは、今回紹介する新型ウイングスーツを使用すればこれまでになくそのマニューバが簡単にこなせるようになるという。まずは以下のビデオをチェックしてもらい、特に45秒前後の動きに注目してもらいたい。

1分

With this wingsuit, can these pilots fly up?

Testing new wingsuits with the Red Bull Skydive Team.

映像で何が起きているのか分かっただろうか? ウイングスーツパイロットで写真家としても活動するウォルフガング・リーンバッヒャーによると、Red Bull Skydive Teamのパイロットたちが今回テストしたのは高速と高い滑空性能を誇るスーツ(従来は大型だった)と、アクロバティックスタント向けの高い操作性能を誇るスーツ(従来は小型だった)の2つの特長を融合したものだったという。
結果として、操作性能の向上により、パイロットは短時間でストール(失速)できるようになった。要するに、フリーフォール中に進入角度を変えて、多くの揚力を発生させるというわけだ。空中静止まではいかないものの(彼らは前方に進み続けているので)、パイロットたちが難なくウイングスーツを一時的にストールさせている様子は非常にクールだ。
今回のテストフライトはスロベニアのボヴェツでのトレーニングキャンプの一環として行われ、チームは3日間の日程で合計25回のジャンプを行った。
では、上昇できるようになったのかというと、それはまた別の問題だ。上昇については、以前からウイングスーツのコミュニティ内で熱い議論が交わされている。今回Red Bull Skydive Teamがテストした新型ウイングスーツで近い将来に検証が行われるだろう。