アダム・スターンと美しい砂
© Daan Verhoeven
フリーダイビング

世界最深のブルーホールの秘密

世界で最も深いと言われるバハマのディーンズ・ブルーホールの神秘的な世界を映像で体験しよう。
Written by Corinna Halloran
読み終わるまで:3分公開日:
砂の滝の流れに逆らって泳ぐアダム・スターン

砂の滝の流れに逆らって泳ぐアダム・スターン

© Daan Verhoeven

西インド・バハマ諸島の煌めくような白砂が続く砂浜から、海へ向かってわずか9ヤード(約8.2m)進んだ場所に、世界で最も深いと言われるブルーホール「ディーンズ・ブルーホール」が存在する。この驚くべき水中の奇景は長らく世界中のフリーダイバーや自然愛好家たちを惹き付けてやまないが、この海中サンドフォール(砂の滝)を持つディーンズ・ブルーホールに潜むユニークな表情をその目で見ることができるのは、一流のフリーダイバーにのみ限られる。
(編注:ブルーホールとは、かつての洞窟や鍾乳洞が何らかの理由で海中に水没し、浅瀬にぽっかりと穴が空いたように形成された地形を指す)
海中へ真っすぐに落ち込んだディーンズ・ブルーホールは最も浅いところで水深30フィート(約9.1m)、最も深いところでは水深721フィート(約219.7m)もあると言われ、その形状はじょうごのように奥へ行くほど細く狭くなっている。まさに天井を持たない洞窟のようであり、その入り口の一部からはまるで滝のように砂が流れ込んでいく。海中映像作家であるダーン・フェルホーフェンは、「こんな場所は世界中探してもここしかありません」と語る。
ディーンズ・ブルーホールの神秘的な世界を映像でチェック!

2分

Watch this mesmerising underwater sand fall

Watch this mesmerising underwater sand fall

Stig Pryds dives with the large sandfall

Stig Pryds dives with the large sandfall

© Daan Verhoeven

アダム・スターンと美しい砂

アダム・スターンと美しい砂

© Daan Verhoeven

水中に流れ込む砂の滝はポロポロとこぼれる雫のような時もあれば、1ヤード(約0.9m)ほどの幅で大きくなだれ落ちる時もある。流れる砂も、大きな粒のから微細な粒まで様々だ。バハマの海の砂は非常に粒が細かく、それらが流れ込んでいく様はまるで海中に霧が滑り落ちていくようにも見える。地上にある滝と見まがうほどだ。
この水中の砂の滝は、沿岸部の波の動きに比例して砂の量が上下するので、ビーチ周辺が忙しければ砂の量が増えていく。したがって、フリーダイビングの大会などが行われる際は、ブルーホールに流れ込む砂の量が増え、じつに神秘的な風景が海中で展開される。
フェルホーフェンは、こうした砂の滝に出会った時は、フリーダイバーたちをファインダーに捉えながらクールな写真やビデオを撮影している。今回撮影した映像でも、アンナ・フォン・ボーティッヒャーとジョルジーナ・ミラーが美しい砂の滝と戯れている様子が確認できる。フェルホーフェンは次のように説明する。「砂粒が非常に細かいので、ダイバーはかならず頭をすっぽり覆うフードを身につけて潜らなければならないんです。そうしないと、髪の地肌奥深くまで細かい砂が入り込み、数日間はザラザラとした感覚が残ってしまいます」
The sand mists down into Dean's Blue Hole

The sand mists down into Dean's Blue Hole

© Daan Verhoeven

大きな砂の滝と共に泳ぐスティグ・プライズ

大きな砂の滝と共に泳ぐスティグ・プライズ

© Daan Verhoeven

この砂の滝には更に驚くべき事実がある。フェルホーフェンは、常に水上への避難ルートか砂を避けるルートを確保する必要があるとしている。時間が経つと共にこの洞穴自体が砂で埋まってしまうこともあるからだ。まさに終わりのない砂時計のようだ。
ディーンズ・ブルーホールの神秘的な世界をもっと深く知るには、 スティグ・プライズのユニークなPOVダイビング映像をチェック!