至高のハンドメイドMTB ベスト8

常軌を逸したものから真に刺激的なものまで、様々な趣向を凝らしたユニークなハンドメイドMTB+αを紹介。
By Oli da Costa

MTBの新調を検討しているライダーの大半は、お気に入りのブランドに偏って探しがちだ。しかし、視野を広げてみればそこには無数のマイナーブランドが存在し、中にはスペシャルなワンオフハンドメイド(もしくはプロトタイプ)バイクを手がけるブランドも存在する。

今回我々が紹介するのは、これらのマイナーブランドやインディペンデントなフレームビルダーたちが素晴らしいエンジニアリングと精緻なクラフトマンシップ、そして細部への揺るぎないこだわりを注いで生み出した驚くべき創造物の数々だ。ただし、注意してもらいたいのは、ハンドメイドバイクの世界は非常に魅惑的なため、1度足を踏み入れれば決して抜け出せなくなるという点だ。

1. Boo Bicycles – SL-F Fat Bike

 
Boo Bicycles – SL-F Fat Bike © Boo Bicycles

米国コロラド州フォートコリンズに本拠を構えるBoo Bicyclesはバンブー(竹)素材を用いたシクロクロス / ファットバイク / ロードバイク / コミューターバイク / MTBなどの製作をいち早く手がけたリーダー的存在だ。彼らのバイクは、厳選したベトナム産のTam Vongと呼ばれる竹を用いてカーボンファイバーやアルミ素材とシームレスに融合させたものだ。

カスタマーは自分の要望に合わせたフルオーダーメイドのバイクを手にすることになる。竹素材とカーボンファイバーを組み合わせたそのバイクは、高い衝撃吸収性、そして特徴的な柔軟性やねじれ耐性を備えつつも、堅牢で高い剛性によって比類のない乗り味を実現している。SL-F Fat BikeはBoo Bicyclesのクラフトマンシップを象徴する1台で、トラベル量60mmのLauf Carbonara製リーフスプリング・フロントフォークを採用している点も特徴的だ。参考価格4,000ポンド(約55万円)のSL-Fはフルインターナルケーブル仕様のフレームで、アクスル幅やホイールサイズはカスタマーの要望に合うように幅広いオプションが用意されている。

2. BTR Fabrications – Ranger

 
BTR Fabrications – Ranger © BTR Fabrications

BTR Fabricationsはポール・バーフォードとタム・ハミルトンによるマイナーブランドだ。2人は英国サマセット州フロムに拠点を構え、他に2つとない魅力的なハードテイルMTBを製作している。彼らのワークショップで入念に製作されるフレームが採用されているモデル群は、ダートジャンプやフォークロス、クロスカントリー、キッズ用、エンデューロ、ダウンヒルなど広範なレンジをカバーしている。

彼らのバイクには、オーナーの個人的な好みに合わせた多様なカスタマイズ・オプションが用意されており、フレーム単体 / フレームキットとして、もしくは先進スペックを盛り込んだ完成車Rangerとして納品可能だ。フレーム単体700ポンド(約9万6,000円)からオーダー可能なBTR Fabricationsが手がけるバイク群はそれぞれが独自の存在感を放つ。尚、ブリストルで開催されたハンドメイドバイク見本市Bespoked 2017では、スティールフレームのフルサスペンションバイクPinnerも発表された。

3. English Cycles – Harvey’s Project Right 29

 
English Cycles – Harvey’s Project Right 29 © Tina Buescher from English Cycles

English Cyclesはバイク業界に長年携わってきたロブ・イングリッシュが、2009年に米国オレゴン州ユージーンに創設したブランドだ。ロブの神業的なエンジニアリングは、ロードをはじめ、トラック / シクロクロス / ツアラー / トレイル / MTBまで多様なレンジのバイクをカバーしており、これらは2,300ポンド(約31万6,000円)からオーダー可能だ。

彼のカスタムバイクの中でも屈指の存在と言えるのがフロントおよびリアのアクスルを独創的な片側支持とした重量9.5kgのベルトドライブ式シングルスピード29er、Harvey’s Project Right 29だ。この片側支持アクスルを実現する際のエンジニアリング面でのチャレンジは、従来の片側支持アクスルが左側から支持するデザイン方式を取っていたことを踏まえると特に難しかったはずだが、ロブはこのタスクへ勇敢に立ち向かい、クリーンなスタイルを備えたカスタムペイントの逸品を作り出してみせた。

4. Inglis Cycles – Retrotec Triple

 
Inglis Cycles – Retrotec Triple © Curt Inglis from Inglis Cycles

カーブしたフレームを持つオフロードバイクと言えば、カリフォルニア州の初期MTBシーンを取り上げた映画『Klunkerz』で一躍有名になった、Schwinn製バイクをベースにしたKlunkerを連想する人が多いだろう。様々なバイクテクノロジーや素材の進歩に伴い、これらの懐かしいデザインの人気はすっかり衰えてしまっているが、それでもクラシックな曲線美とその魅力は完全に忘れ去られたわけではない。

そこで登場するのが、Inglis Cyclesを主宰するカーティス・イングリスだ。カリフォルニア州ナパを拠点にするカーティスは、独自のテンプレートを基盤に6つのフレームスタイルを考案し、レトロなデザインにモダンな素材とテクノロジーを融合した製品を1,500~2,200ポンド(約20万6,000~30万2,000円)の価格帯で販売しているが、中でもTripleはアイコニックな存在感を放っている。カスタムシェイプのチューブをフィーチャーしたTripleはスタンダードなクルーザーバイクから、27.5または29インチホイール / Fox製フォーク / ディスクブレーキ / ドロッパーポスト / ハイグレードチェーンセットを備えた完全仕様のエンデューロバイクまで、広範なスタイルに対応したビルドが可能だ。また、更なるオプションを求める人のために、カスタムステムやフォーク、シングルスピード化、美しいカスタムペイントなども用意されている。

5. Olsen Bicycles – Pinion Gearbox Bike

 
Olsen Bicycles – Pinion Gearbox Bike © Steve Olsen from Olsen Bicycles

英国サセックスを本拠にするスティーブン・オルセンはエンジニア / プロダクト・デザイナーとして20年近い経験を持っている。Pinion Gearbox Bikeは彼の長期間に渡るリサーチの賜物で、フルカーボンモノコックフレームにUKハードテイル・ジオメトリー、ベルトドライブ、ピニオン式ギアボックス、27.5または29インチ・コンパーチブル機能などを盛り込んだ逸品だ。

大半のカーボンフレームマニュファクチャラーとは異なり、スティーブンはヘッドアングルとボトムブラケットのジオメトリー変更が可能なセミカスタマイズを実現しており、また、自身のデザインをF1チームのパーツ製作も請け負う業者が製造したフレームにタイヤクリアランスの拡大や剛性とバランスの最適化などの特徴的な機構も施している。このフレームはピニオン式ギアボックスのP-line、もしくは通常のチェーンセット式のドライブトレインC-lineの両方に対応しており、カスタマーに軽量性と耐久性の幅広い選択肢を提供している。オーダー価格は2,700ポンド(約37万円)からとなっている。

6. Robot Bike Co. – R160

 
Robot Bike Co. R160 © Robot Bike Co.

英国に本拠を構えるRobot Bikeが手がけたR160は、今回紹介するカスタム&ハンドメイドバイクの中でも特に異彩を放っている。一見するとアグレッシブなミッドトラベルのトレイルバイクように思える(実際にそうなのだ)が、R160は、比較的シンプルでクリーンなルックスの下にこのリストの中でも珍しい技術的アチーブメントを盛り込んでいる。航空工学やマテリアル・エンジニアリングの最先端技術を応用し、Robot Bikeは航空宇宙グレードのカーボンファイバーと “セレクティブ・レーザー溶接” と呼ばれる3Dプリントにも近いプロセスで製作されるTi6Al4Vチタニウム・ラグを組み合わせた、トラベル量160mmのフレーム・アーキテクチャーを開発した。カーボンファイバー製チューブとチタニウムパーツの融合は、より高い剛性と重量比率を誇るフレームセットを可能にしており、ヘッドチューブやシートアングル、チェーンステイの長さやボトムブラケットの高さなども様々なオプションの中から設定してライダーの体格に合わせられる。R160は今や最も先進的なバイクのひとつとして広く知られており、フレーム単体での参考価格は4,400ポンド(約60万5,000円)前後となっている。

また、Robot Bikeは “ジオメトリー・エンジン” と呼ばれるシステムを採用しており、詳細な体格データをオンラインで送信すれば、自分にパーフェクトにフィットしたジオメトリーを持つ世界に1台だけのバイクを手にすることができる。

7. Shand Cycles – Drove Rohloff

 
Shand Cycles – Drove Rohloff © hand Cycles

2003年にスティーブ・シャンドによって設立されたShand Cyclesはスコットランドのインディペンデント・マニュファクチャラーだ。スティーブが初期に手がけたバイクはロードからMTBに至るまで様々なタイプをカバーしていたが、2011年にラッセル・スタウトとコンビを組んでからは、Shand Cyclesはデザインと開発・生産を包括的に手がけるブランドへと成長しており、スティールだけでなくカーボンを使用したバイクも製作している。

Shand Cyclesのバイクの多くはダウンチューブが途中で折れ曲がったデザインがトレードマークだが、ファットバイク仕様のTumshieからロード仕様のStooshieに至るまで一貫してクリーンなラインと丁寧な溶接、そして整然とまとめられたテクノロジーを纏っている。しかし、トレイルに適したジオメトリーを持ち、スキニーすぎずファットすぎない標準的なタイヤ、完成されたカーボンベルトドライブとドイツRohloff製の内装変速リアハブを備えたドロップバー29er Drove Rohloffは、同社のラインナップの中でやや異彩を放っている。長距離ツアラーを前提としてデザインされたDrove Rohloffは、オフロードでもオンロードでも路面を選ばず快適なライディングを提供し、なおかつ登り坂やダウンヒルにも対応する万能性を備えている。フレームのみの参考価格は1,050ポンド(約14万4,000円)と手頃ながら、フィットとジオメトリーにはカスタムオプションが用意されており、Drove Rohloffは非常にお買い得と言える。

8. Ted James Design – Custom BMX

 
Ted James Design – Custom BMX © Ted James Design

テッド・ジェームスは自身が手がける広範囲な製品群 - アグレッシブなトレイルバイクからタウンバイクまで - が示す通り、あらゆる選択肢をオープンな状態にしておくことを好むバイクビルダーだ。そして、好むだけではなく実際のビルドも得意であり、ビルダー単独としてもちろん、Chargeなどとのパートナーシップでも数々の賞を受賞している。

そのテッドが手がけた最もアイコニックなバイクがCustom BMXだ。そのシンプルさ、優れたアングル、素材の凄みを感じさせる素晴らしいフィニッシュには注目せざるを得ない。テッドが手がけるカスタムメイドBMXは650ポンド(約8万9,000円)前後からオーダー可能で、Reynolds製チューブからステンレス、チタニウムに至るまで、ライダーが好む特性に合わせて様々な素材オプションから選ぶことができる。もちろんその他のカスタムオプションも多数用意されており、チューブの肉厚やペグのコンパーチブル性、アクスルサイズの好みに至るまで、ディテールを突き詰めることが可能だ。

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