Ronaldo & Hugo: Superstar Skaters
© Hugo Games
ゲーム

セレブを起用した奇妙な洋ゲー6本

有名人の力でシリーズ化を果たしたゲームもあれば、彼らの名前を単純に金儲けのためだけに使用したゲームもある。
Written by Ben Sillis and Jon Partridge
読み終わるまで:7分公開日:
セレブリティを起用したビデオゲームはファミコン時代よりも前から存在する(『Chuck Norris Superkicks』など)。言ってしまえば、自尊心の強いセレブたちが自分たちの顔を全面にフィーチャーしてくれるオファーを断る理由はないのだ。しかし、時としてセレブの顔、ブランド、そして影響力がゲームに信頼性を与え、そのジャンルを定義づけることさえもある。例えばコリン・マクレー抜きでラリーゲームが成り立っていただろうか? ジョン・マデンなくしてNFLゲームは生まれていただろうか? そしてトニー・ホーク抜きでスケートボードゲームは存在しただろうか?
しかし、上記以外のセレブの起用は、マイケル・ジャクソンがネバーランドに所有していたインペリアル・イースターエッグのように中身がない。この手のゲームはキム・カーダシアンやN-Syncに任せたいところだが、クリスティアーノ・ロナウドがリムジンの上をジャンプする『Temple Run』タイプのゲームが存在する。しかも彼がスケートボードに乗るのだ…。一体誰がこんなゲームが生まれることを予想しただろうか? 今回はこのクリスティアーノ・ロナウドの奇妙なモバイルゲームをはじめ、セレブを起用した奇妙なゲームをいくつか紹介する。

クリスティアーノ・ロナウド:『Ronaldo & Hugo: Superstar Skaters』

ライバルであるメッシは『FIFA』シリーズの顔役で満足しているようだが、世界一虚栄心の強い選手と言われるロナウドは、どうやらその上を行きたくて仕方がなかったようで、トロールのHugoと組み、iPhone/Android用アプリに登場した。このゲームは子供向けのスケートボードゲームで、パパラッチや車を避けながら、非常に不合理で終わりのないステージで延々とスケートボードに乗っていくという内容だ。
「何しろクリスティアーノ・ロナウドと組んでいますし、Hugoが世界を代表するゲームキャラクターになれる可能性があると思っています」と開発側は言っているが、これはこの酷いゲームの言い訳にしか聞こえない。もしHugoを以前見たことがあると思っている人のために言っておくと、Hugoはデンマークでは非常に人気があるキャラクターで、1990年代にはインタラクティブな子供用TV番組のスターとして活躍。その番組では子供たちが専用電話のキーパッドを叩くと画面内のHugoを動かすことができた。こう書いてもこのゲームの何の後ろ盾にもならないが。

シャキール・オニール:『Shaq-Fu』

バスケットボール選手を代表するひとりであるシャキール・オニールが自分の知名度と体格の良さを利用したこのゲームは、残念ながら史上最悪の糞ゲーのひとつとして認識されている。スーパーファミコン/メガドライブ用ソフト(ゲームギア、ゲームボーイ、Amigaの移植版も存在する)『Shaq Fu』はシャックが主人公の奇妙な格闘ゲームだ。別世界に飛び込み、敵のミイラ男に対して格闘技を見舞い、呪われた少年を助け出すというストーリーなのだが、これはウェイン・ルーニーを『ベア・ナックル』に無理矢理押し込むようなもので、商品を売るためにセレブを起用するという実に馬鹿げたアイディアだ。しかし、ノスタルジアというものは中々に強く、またシャックのブランド力も消えてはいないようで、現在シャックは続編を用意している。しかし、内容がそこまで悪くなさそうなので、オリジナルをプレイしたという忌々しい記憶を消してしまいたいと願うばかりだ。

マイケル・ジョーダン:『Chaos in the Windy City』

1994年頃までにNBAの選手たちはただ退屈なバスケットボールゲームに登場することに飽きてしまっていたようで、マイケル・ジョーダンはスーパーファミコンのアクションゲームに姿を現した。この『Chaos In The Windy City』は横スクロールアクションゲームで、エイリアンたちに誘拐されたNBAのオールスター選手たちを救い出すのが目的だ(これは映画『スペースジャム』のストーリーと同じだ)。その目的を果たすため、ジョーダンはダンクのスキルや、火や氷を放出する不思議なバスケットボールを使いながら戦い、シリアルを食べて体力をキープしていく(我々と同じだ)。尚、開発したElectronic Artsはジョーダンのルックスに対してはライセンス料金を支払えたが、当時の所属先Chicago Bullsには払えなかったようで、シカゴが舞台のゲームにも関わらず、Bullsの名前はゲーム内に一度も登場しない。

デイヴィッド・ベッカム:『Go! Go! Beckham! Adventure On Soccer Island』

21世紀に変わる頃、サッカー選手たちはサッカーゲームから飛び出していった。マイケル・オーウェンの『World League Soccer』シリーズが大コケしたため、デイヴィッド・ベッカムがゲームボーイアドバンス用アクションゲームを選択したのは自然の流れだった。『Go! Go! Beckham! Adventure On Soccer Island』は元イングランド代表キャプテンが、Mr. Woeと呼ばれる悪人からSoccer Island(サッカーアイランド)を取り戻すというのがストーリーだ。『夢工場ドキドキパニック』のような見た目のゲームだが、スコットランドの制作会社Denkiが手がけたこのゲームは驚くことに非常に深みがあり、サッカーボールを蹴り続けることでキック能力をレベルアップさせることさえも可能だ。少なくとも「今回紹介している中ではリアリティがある」と評価できる。

ダニカ・パトリック:『ソニック&オールスターレーシング トランスフォームド』

『マリオカート』が任天堂のキャラクター総出演のゲームであるように、このゲームにはセガの人気キャラクター、ソニック、テイルス、ビート(ジェットセットラジオ)、アイアイ(スーパーモンキーボール)、そしてインディ/NASCARの人気ドライバー、ダニカ・パトリックなどが登場する。しかし、ちょっと待ってもらいたい。セガは人気キャラクター不足に陥ったのに違いない。なにせ、人気レースドライバーがあのフォークリフトに乗った『シェンムー』の芭月涼(北米盤のみ登場)とバトルするのだ。アニメ風キャラクターに囲まれた彼女は、『Football Manager』シリーズの監督よりも浮いている。
尚、2012年にこのタイトルがリリースされた時、パトリックはインタビューで『私のキャラクターはスキルが豊富で、火の玉も撃つのよ』と我々のすべての疑問をひとつの文章で簡潔に答えており、「ゲームの中の私がどれだけ素晴らしいかを改めて知ることになるわ」と続けている…。

 

ゲーリー・コールマン:『Postal 2』

『Postal』シリーズはその暴力性、政治的に問題のあるユーモア、グロさで世界的に有名なゲームだが、子役としてかつて一世を風靡した俳優ゲーリー・コールマンがカメオ出演していることでも知られている。残念ながらこの出演が彼の最後の仕事のひとつとなった(2010年に死去)。『Postal 2』の最初の目的のひとつは、ショッピングモールへ出掛けてコールマンのサインをもらうことなのだが、ショッピングモールに到着すると、プレイヤーには選択肢がふたつ与えられる。長蛇の列に並んでおとなしくサインをもらうか、それとも列に並ぶ人たちをすべて殺し、ゲーリー・コールマンに… 小便をかけて戦いを仕掛けるかのどちらかだ。コールマンが契約した時にゲーム内でこのような扱いを受けるのを知っていたのかどうかは、悲しいことにもう知ることはできない。