Gaming

Xian:『ストリートファイターV』へ

『ストリートファイター』シーンのトッププレイヤーXianが『V』への移行について語った。
Written by Michael Martin
読み終わるまで:8分Published on
CPTAでプレイするXian

CPTAでプレイするXian

© Ahmad Iskandar Photography

人間としての成長
しかし、2015年のXianは、Capcom Pro Tourのプレミアイベント優勝3回、そしてCapcom Cup 2015でも3位と好調を取り戻した。そして本人も今は昔よりも人間として成長できたと感じている。無理をせずともプロプレイヤーとしての生活が維持できるまで成長できたと感じているのだ。

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「間違いなく以前より楽しめているね。2013年は勝ちながらも悩んでいた。2015年は勝利するたびに、僕はこの世界でやっていけると実感できたんだ」
『ストリートファイター』のプロプレイヤーとしての生活は常にグラマラスとは限らない。スポンサーを獲得できるプレイヤーの数は数えるほどで、そのスポンサーからの給与で生活しているプレイヤーの数は更に少ない。そしてXianのようなそのひと握りのプロプレイヤーたちは一定レベルの生活を維持するためではなく、生き抜くためにゲームをプレイしなければならない。ビデオゲームをプレイするために世界を巡れるというグラマラスなイメージは事実であり、Xianも世界各地を巡って、新しい人や文化、そして食事との出会えることを楽しみにしているが、『ストリートファイター』のトーナメントで勝利することは、彼の職務であり、病欠できない時もあるのだ。どんな状況でもプレイを続けなければならない。それがプロの世界だ。
Xianは、2015年はできるだけ多くのメジャートーナメントやCapcom Pro Tourのプレミアイベントに参加して優勝することを目標に定めていた。そして見事Final Round 18で優勝して早々にCapcom Cup 2015への出場権を手にすると、そこで休むことなく、フランス、スコットランド、UAE、タイ、中国、クウェート、日本、イタリア、カナダ、スウェーデン、米国などを転戦した。EVO 2015こそ残念な結果に終わったが、Xianが照準を定めていたのは、Capcom Cup優勝だった。Capcom Cup優勝は『ウルIV』時代の最後を飾るにふさわしいタイトルになるはずだった。
XianはそのCapcom Cup 2015で全力の戦いを披露した。勝利を収めた対戦はどれも接戦となり、Valentin “Valmaster” Petit(Team YP)は2-1、ダシオ(指喧)は2-1、Keomaは3-2、Lee “Poongko” Chung Gon(r/Kappa)は3-2で勝ち抜いたが、その後かずのこに3-0で破れルーザーズに回った。そこでXianはウメハラ(Mad Catz)と対戦し、ウメハラの殺意リュウに対抗するためにダルシムを選択したが、これが裏目に出て敗れた。
ユン??
なぜウメハラにまたダルシムをぶつけたのか? これには以下の経緯がある。XianはCapcom Cup 2014とSXSW Fighters Invitational 2015で破れたあと、殺意リュウに対するダルシムは五分、もしくは殺意リュウの方がやや有利と感じていた。そして日本でトレーニングを行ったXianは、日本最強のダルシム使いのひとりとして知られるYHC-餅に殺意リュウをぶつけた。
「YHC-餅との対戦で殺意リュウを使ったけれど、惨敗したんだ。だからダルシム優位なんじゃないかって考えるようになった。その考えが間違っていたのかも知れないし、僕がダルシムを使いこなせていなかっただけなのかも知れない」
Capcom Cup 2015のグランドファイナル直後、Xianを捕まえてウメハラ戦で再度ダルシムを選択したことを後悔しているかどうかを訊ねると、彼は次のように回答している。
「後悔しているよ。相手を意識しすぎた」
あの対戦から数週間が経過した今、Xianは元を使っていても良い結果は出せなかっただろうと考えている。ウメハラの殺意リュウを相手にする場合は、5マッチ制よりも3マッチ制の方に勝機があると感じているからだ。
「結局、彼に対するアプローチを間違ったんだ。元を使っていても負けていたよ。結果は変わっていなかったと思う」
また、XianはCapcom Cup終了後、トーナメント開催前には思いつくことさえなかった驚きとも言えるアイディアに辿り着いていた。
「なぜユンを使わなかったんだろうって思ったんだ。僕はかつてユン使いだったし、ウメハラはユンに苦手意識があるみたいだからさ」Xianはかずのこに分が悪いウメハラを引き合いに出してこう振り返った。
ファンの多くはXianがウメハラ戦でユンを選択していたら、さぞかし驚いたことだろう。そしてこれは恐らくは未来永劫実現しない夢の対戦でもある。いずれにせよ、Xianは『ウルIV』のプレイヤーの実力差はこれまでに詰まってきていると感じている。
「たとえばEVOを365日連続で開催したら、毎日違う結果になると思う。でも、これまでのCapcom Cupの印象はそうじゃなかった。何回やっても同じ結果になると思っていたんだ。でも、去年のCapcom Cupは違ったね。プレイヤーの実力差は詰まってきていると思うよ」
EVO 2013王者のXian

EVO 2013王者のXian

© Mark Teo Photography

Capcomのサポートを
『V』のリリースが迫る中、『IV』のプレイヤーの多くは自分たちを格闘ゲームの世界に連れ出してくれた『IV』を捨てるかどうかで悩んでいる。多くのプレイヤーたちは『V』について、『ウルIV』ほどの選択肢がない、スピードが遅い、簡単すぎるなど、ネガティブな印象を持っている。しかし、偶然にもこれはCapcomがゲームプレイを改良してキャラクターを追加するまで多くのプレイヤーが『IV』に対して持っていた印象と同じだ。Xianは『ウルIV』が今後もトーナメントでプレイされる姿を見たいとしながらも、『V』がEVOやCapcom Pro Tourなどのイベントで目玉になることを願っている。
「『ストリートファイター』シーンを成長させるには、前進して新規プレイヤーたちを取り込んでいく必要があるよね。『IV』に留まり続けることはCapcomへのサポートにならない。僕はCapcomをサポートしたいし、『V』をプレイしたい。『VI』だってプレイしたいし、いずれは自分の子供が『VII』をプレイする姿も見たい。『IV』に拘り続けてCapcomを困らせるようなことはしたくないんだ」
とはいえ、XianはCapcomには『V』のゲームプレイをもう少し調整して欲しいと念を押している。自分のキャラクターと呼べる高い能力を誇るキャラクターが欲しいのだ。しかし、時間が経てば、Xianや他のプレイヤーたちも『V』の中に自分の個性を見出していくはずだ。
現時点でひとつだけ確かなことは、Team Razerが2016年のCapcom Pro Tourにおける強豪チームのひとつになるということだろう。Xian、ふ~ど、Ghim “Gackt” Kee Eng、Arubi “RB” Kaoで構成されていたRazerに、今回新たにSeonwoo “Infiltration” Leeが加わった。「素晴らしいチームになったと思う。Infiltrationといつでもトレーニングできるんだからね。チームメイトになったわけだから、これからは戦略について話し合えるんだ。彼はフレンドリーだから話しやすいよ」
Xianとボンちゃん

Xianとボンちゃん

© Ahmad Iskandar Photography

最近のXianのフィジカルとメンタルは安定している。そしてゲームを再び楽しむようになった彼は、以前よりも危険な存在になっている。2015年を素晴らしい成績で終え、自分のこれまでのキャリアに満足できた彼は、『V』が起用されるCapcom Pro Tour 2016がもたらす新たな戦いに向けてハングリーだ。
「『IV』は僕の人生を変えた。『IV』がなければプロプレイヤーの道には進んでいなかった。『IV』をプレイし続けたい人は続ければいいよ。でも『IV』における僕のキャリアは終わったんだ。プロプレイヤーをサポートしたいなら、『V』をプレイして欲しいね」