Red Bull 5G 2016

GAMERS DELIGHT ~ゲーマーに翼をさずけたRed Bull 5G~

5年という節目を向かえ、一旦休止されることが発表されたRed Bull 5G。ここでは、このイベントがゲームシーンにどのような翼をさずけたのかを振り返ってみたい。
By ポルノ鈴木
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© Saito Suguru

あなたは“ゲームが上手い”ことを、初対面の人に特技として話せるだろうか? “料理が得意”、“サッカーが得意”と同義の事柄として、それを話せるだろうか? 同様に、“ゲームをたくさんプレイしている”ことを、“映画をたくさん観ている”ことや“小説をたくさん読んでいる”ことと同義に語れるだろうか? 個々の解釈の違いはあれど、根源的にはゲームというのはどこか後ろめたさを持っている娯楽だ。だからゲームばかり遊んでいることは、一般的には否定的に捉えられがちで、趣味としての深さや高みの話は、まだまだ限られたコミュニティの中でしか通じないのが現状だろう。

ゲームというのは、このぼんやりとした後ろめたさの壁を超えられない、突き抜けられないもどかしさをずっと抱えている。この10年でゲームを取り巻く環境はかなり変化し、多くの人が当たり前の様に遊ぶ娯楽となったのにも関わらず、ゲームが上手いこと、ゲームを詳しく知っていることを、素直にカッコ良いこととしてアピールするのは、実はなかなか難しかったりするのだ。

Red Bull 5Gは、ゲームコミュニティが持つそんな後ろめたさの壁を、一気に突破する為に生まれたイベントだったと思う。そのコンセプトも明確で、当初から“日本のゲーミングシーンに翼をさずける”を標榜しているが、これはRed Bullのキャッチコピーに引っ掛けたパロディ的なお遊びではなく、Red Bull 5Gに関わるスタッフが本当に心の底からゲームコミュニティに“翼をさずけよう”として生まれたものだ。

© Saito Suguru
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Red Bull 5Gの2016年シーズン、筆者は地区予選からFINALSまで通してこの大会を深く観察する機会を得たのだが、その全てを観終えて思うのは、Red Bull 5Gは“ゲーミングシーン”はもろちんのこと、殊更“ゲーマー”に翼をさずけるイベントだったのだな、ということだ。

昨今日本でもe-sportsシーンがにわかに盛り上がりを見せ始め、賞金制大会が開催されたり、ゲームを“観戦する”という新たな動きが生まれ始めているが、これらのe-sportsとRed Bull 5Gは、同じゲームを使った大会でも全く異なるものだ。Red Bull 5Gの主役はあくまで人。ゲームが上手いヤツってスゲぇ!、という純粋なリスペクトがこの大会の原動力だ。だからe-sportsというと高額賞金が話題になりがちだが、Red Bull 5Gは賞金を出さない。その代わり、Red Bullというワールドワイドなビッグカンパニーが、ゲーマーにありったけのリスペクトを注いでくれる。これはRed Bull 5Gに参加したことのあるゲーマーなら、誰もが実感したことだろう。Red Bullのスタッフ、Red Bull 5Gの運営スタッフ全てが、ゲーマーと、彼らが作ったコミュニティを非常に大事にして、大会を運営していることを。

その大会の運営を見ていくなかで、最も印象に残ったのが、ゲーマー達にRed Bull流で“翼をさずけていく”過程だ。Red Bull 5GのFINALSに進んだゲーマー達は、まず前夜祭の場において揃いの衣装が渡される。この衣装のクォリティが高いばかりか(キャップはNEW ERA製!)、スタイリストがゲーマー一人一人をスタイリングし、個性に合った着こなしを与え、本番前にはなんとヘアメイクの手によって髪型も整えられる。当日には足元にも新品のニューバランスが与えられ、ゲーマー達はFINALSのステージに立つ頃には、完全に“翼を与えられた”状態になっているのだ。ここまでするのは勿論ショーアップの為でもあるが、一番大きいのはRed BullがFINALSに進出したゲーマー達を、アスリートとしてリスペクトを持って接しているところにある。

© Saito Suguru
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今年のRed Bull 5Gも、DJが大音量のクラブミュージックで会場を盛り上げ、試合の間にはフリースタイルのサッカー、バスケ、さらにブレイクダンサーが登場。こうした“ノリ”とゲームは何も変わらないということ、同じカッコ良さを持っているということをイベント全体で表現されたとき、ゲーマー達はとても誇らしい気持ちになったはずだ。

Red Bullが5GのFINALISTの為だけに用意したキャップ、ウェア、スニーカー、そしてプロが整えた髪型と着こなし、それらの全ては「キミ達はスゴイ」、「胸を張れよ」というメッセージでもある。ゲームが上手いことは、フリースタイルでボールを操ること、ブレイクダンスをする事と同じカッコ良い“スキル”なんだということを、Red Bull 5Gは教えてくれたのだ。

つまりRed Bull 5Gがシーンにさずけたのは、ゲームに対するポジティブな気持ちだったのだと思う。「ゲームが上手くたって……」という後ろめたさに対して、前向きに「スゴイだろ」と言える気持ち。そんな気持ちを与えてくれるゲームイベントは、後にも先にもRed Bull 5G以外に無いだろう。

Red Bull 5Gは2016年の開催をもって一度休眠期間に入るが、Red Bullとしては今後もゲームとは深く関わっていくとのこと。今度はどんな翼をさずけてくれるのか、楽しみに待つことにしよう。

© Saito Suguru

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