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『スーパーマリオ オデッセイ』に必要なこと

ヒゲの配管工の最新作はキャリア最重要作品になる。任天堂がこの作品を成功させるためには何が必要なのだろうか?
Written by Damien McFerran
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帽子がカギになりそうな『スーパーマリオ オデッセイ』

帽子がカギになりそうな『スーパーマリオ オデッセイ』

© Nintendo

過去30年間に渡り数々のミリオンセラータイトルで主役を張ってきたマリオは、間違いなく世界で最も有名なビデオゲームキャラクターだ。彼がフィーチャーされた作品群の中には、世界最高のインタラクティブ・エンターテイメントのひとつに数えられているものも存在する。
また、その長いキャリアの前半でライバルだったソニック・ザ・ヘッジホッグやクラッシュ・バンディクーバブジー・ザ・ボブキャットなどの作品群とは異なり、マリオのアドベンチャーの評価が「エッセンシャル」から下がったことが一度もない。よって、このややポチャの配管工がこれまでのキャリアについて心配する必要は一切ないわけだが、次の1本は色々と心配しなければならない重要な作品になる。現行機Wii Uが、彼の登場作品の中でベストとも言える『スーパーマリオ 3Dワールド』を擁しながらも商業的に失敗に終わったことを踏まえれば、任天堂の最新ゲーム機、Nintendo Switchでリリースされるその最新作の重要度はかなり高い。
その最新作では、最高の楽しさを生み出せない部分は全て「残念」と評価されることになるが、最新ゲーム機を順調に売り上げたいと考えている任天堂は、そのような事態を避けたいと考えているはずだ。そこで今回は、マリオの最新作『スーパーマリオ オデッセイ』に何を盛り込むべきなのかについて、我々からアドバイスを送ってみることにする。

マルチプレイヤーへの対応

『スーパーマリオ 3Dワールド』が魅力的だった理由のひとつは、最大4人までのマルチプレイだった。このゲームでは各プレイヤーが謎解きやコイン集めを同時に楽しむことができた。
しかし、『スーパーマリオ オデッセイ』のトレーラーを見る限り、どうやらこの作品では旧来のシングルプレイヤーに戻る可能性が高い。そうなってしまうのは非常に残念だ。
Nintendo Switchが「いつでもどこでもマルチプレイ」を売りにしていることを踏まえれば、その残念感は更に増す。携行性と機能性に優れたJoy-Conを備えたNintendo Switchなら4人同時プレイは簡単に実現できるはずで、そうなればこのゲームが休憩時間やちょっとしたパーティ用のタイトルとしてスマッシュヒットになる可能性が一気に高まる。もちろん、まだマルチプレイヤー対応になる可能性は残されているので、実装を祈りながら待ちたい。

サプライズの提供

『マリオ』シリーズは、コイン集めや変身、そして踏みつけなど、使い古されてきたシステムに頼ってきたが、良く練られたサプライズも数多く生み出してきた。『スーパーマリオ64』は3Dアクションとアナログコントロールの先駆けとなり、『スーパーマリオ サンシャイン』はポンプで落書きを消したり、高い場所に登ったりという水を使った面白いゲームプレイを紹介した。
現時点では、『スーパーマリオ オデッセイ』のサプライズは、どうやらマリオの赤い帽子にあるように見える。トレーラーでは、マリオが帽子を投げる姿が散見され、この帽子を踏み台にしてジャンプする様子も確認できる。任天堂は『マリオ』シリーズにできる限り多くのアイディアを詰め込む傾向があるので、『スーパーマリオ オデッセイ』にもまだまだ多くのサプライズが隠されていることに期待したい。

優れたマーケット戦略

『スーパーマリオ 3Dワールド』はリリース後には高評価を得たが、E3 2013の初公開時では、そこまで高く評価しないメディアもいくつか見られ、中には3DSでリリースされた『スーパーマリオ 3Dランド』に酷似していると指摘する人や、『スーパーマリオ ギャラクシー』よりスケールが小さいと文句を言う人もいた。しかし、任天堂が同年11月のリリースに向けて定期的にニュースを発信し、新機能を徐々に明らかにしていくことで、そのような意見は消えていき、最終的には世間はハイプで盛り上がり、誰もが首を長くして待つことになったため、リリース直前には全世界数百万人から興味を持たれるようになっていた。
『スーパーマリオ オデッセイ』でもこのマーケティング戦略が採用されるべきだろう。リリースに向けて重要な情報を小出しにしていくことで世間にハイプを生み出し、マリオの最新アドベンチャーをプレイしたいと多くの人が思うようにするべきだ。
森の中もステージになる

森の中もステージになる

© Nintendo

amiiboの活用

フィギュアをビデオゲームと組み合わせるという任天堂のコンセプト “amiibo” は、サービス開始直後に需要が供給を上回る状態となり、上々の滑り出しを見せた。しかし、Wii Uと3DSでの任天堂作品のリリースがスローペースになるに連れてフィギュアのリリースも少なくなっており、その結果、Nintendo Switchのおけるamiiboはそこまで注目されていない。しかも、ライバルの『ディズニー インフィニティ』や『Skylanders』もペースが落ちており、フィギュア連動システム自体の人気が下がっている。
任天堂はNintendo Switchもamiibo対応になることを明言しているので、『スーパーマリオ オデッセイ』のようなフラッグシップタイトルはこの機能の人気を維持する重要な役目を担うことになる。『マリオ』シリーズのamiiboは既に数多くリリースされているので、『スーパーマリオ オデッセイ』でも、Wii U版の『スーパーマリオメーカー』のように、全フィギュアと連動できるようになれば嬉しい限りだ。任天堂がamiiboを “フィギュア連動システムの先駆け” 以上の存在にしたいのであれば、過去にリリースされたamiiboフィギュアを活用できるようにする必要があるだろう。また、我々は帽子を投げるバージョンのマリオのamiiboが単純に欲しい。

ソニックの轍を踏まない

『スーパーマリオ オデッセイ』の第1弾トレーラーはちょっとした話題を提供した。というのも、この作品にはある『ソニック』シリーズとの共通点が見られたからだ。1998年にリリースされた『ソニックアドベンチャー』は、舞台をそれまでの空想世界から、現実世界の大都市に置き換えた作品だった。
しかし、空想世界を人間が住む現実世界に置き換えたその試みが『ソニック』シリーズ最悪の瞬間(2006年の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』でのソニックと人間のキス!)に向かわせるきっかけになったという意見があるので、『スーパーマリオ オデッセイ』では、キャサリンとマリオのロマンティックなシーンのような、目を覆いたくなるような瞬間は是非とも避けてもらいたい。任天堂のセンスを信じよう。