『Marvel vs. Capcom: Infinite』は時期尚早か?

「良きことは待つ者に訪れる」 − 『ストリートファイターV』のリリースを間近で見てきた『Marvel』シリーズファンは焦っていない。
『Marvel vs. Capcom: Infinite』 © Capcom
By Walker

まだ数ヶ月前に存在が明らかになったばかりだが、『Marvel vs. Capcom: Infinite』は既に多くの人たちに大きなざわめきをもたらしている。自分の大好きなシリーズが復活し、他の格闘ゲームシリーズでは体験できないあのスピーディな対戦とコンボが再び楽しめると喜んでいる人がいれば、このゲームはアップダウンの激しい2016年を経たCapcomが自分たちのルーツに回帰した作品になると予想している人もいる。

格闘ゲームにおけるCapcomの2016年はラフな1年だったという意見は理に適っている。彼らのフラッグシップフランチャイズの最新作『ストリートファイターV』は様々な問題点を抱えた状態でリリースされ、それまでこのシリーズを支えてきたファンの興味を削いでしまった。Capcomは失地回復をする必要がある。

『ストリートファイターV』のリリースは非常に大きな問題を生み出したため、ファンが『Marvel vs. Capcom: Infinite』の開発に同じような問題が持ち込まれることのではと恐怖してしまうのは仕方がない。実際、多くのプレイヤーは、完成度が高まるのであれば、この作品のリリースが予定されている2017年内から2018年にずれ込んでも受け入れる心構えなのだ。

 

コミュニケーション不足

2016年末のPlayStation Experienceでその存在が初めて明らかになった『Marvel vs. Capcom: Infinite(以下『MVC:I』)』は、Capcomを取り巻いていた様々な議論に対する一時的な救済として機能した。世間の『Ultimate Marvel vs. Capcom 3』への興味が薄れていく中、『MVC:I』の発表に先んじて大量に発生した様々な噂は、『Marvel』コミュニティの新作への期待を生み出すことになった。コメンテーターのSamantha “Persia” Hancockによれば、コミュニティの興奮は今も保たれているようだ。

Persiaが説明する。「このゲームをプレイしたい、分析したい、コミュニティを大きく育てるきっかけにしたいというわたしの気持ちがどれだけ大きいかは言葉では表現しきれないわ。『Marvel』コミュニティがこのゲーミング新時代の中で再び活力を得られる日が来るのが待ちきれないの。個人的に一番興味を持っているのは、今までと同じように『MVC:I』も徹底的に分析して、このゲームに秘められたトリックを全て解明することなの。このシリーズの長い歴史と、わたしたちのハードワークと興奮はこれからも続くでしょうし、わたしはその全てを見届ける準備が整っているわ」

CapcomはそのPlayStation Experienceでの発表で、4人のキャラクター(リュウ、ロックマン、アイアンマン、キャプテン・マーベル)と基本的なゲームプレイをトレーラーで公開したが、その後も数日間に渡り、Capcomが今作で目指している方向性について語る多種多様なインタビューや、モリガンとキャプテン・アメリカの参戦に関するニュースなどを公開した。

しかし、それ以降、Capcomは数ヶ月に渡り沈黙を続けている。そして、『ストリートファイターV』がそうだったように、このような沈黙は嫌な予感をもたらす。

『ストリートファイターV』のリリース時のコンテンツ不足は、ハイレベルなトーナメントプレイに積極的に関わっていないプレイヤー層をこのゲームから遠ざけることになり、更にサーバーの問題がプレイヤーを定期的なアクセスから遠ざけることになった。『ストリートファイターV』は、ベータ版の感触が良かったからか、2016年春だったリリース予定を2月に繰り上げたが、時期尚早に感じられた。その後すぐにアップデートがリリースされ、当初の数々の問題が解決されていったものの、Capcom側から提供される公式情報が少なかったため、多くのプレイヤーはCapcomが自分たちをトーナメントシーンから遠ざけているように感じてしまった。

同様に『Marvel』コミュニティも『MVC:I』の情報が更新されないことで落ち着きを失いつつある。この作品のリリースは2017年内とされているが、Capcomから定期的な情報提供がないため、ファンは『ストリートファイターV』で見られた数多くの問題が自分たちのシリーズにも持ち込まれているのではないかと危惧するようになっている。

新旧キャラクターが登場 © Capcom

待つべきか待たざるべきか

そして、格闘ゲームシーンのベテラン、Jay “Viscant” Snyderがシンプルだがショッキングな次のメッセージをTwitter上に投稿すると、この危惧に関する議論が表面化した。「『MVC』シリーズを何よりも愛するひとりとして言わせてもらえば、僕は『MVC:I』が2017年にリリースされないことを願っている。僕は待てるから、どうか時間をかけて欲しい。お願いだ」

待望の最新作の開発を遅らせるようにデベロッパーにリクエストしたこのViscantの嘆願は、コミュニティにとってはショッキングなものであり、これをきっかけに他のプレイヤーたちもこの点に関するそれぞれの意見を述べるようになった。たとえば、Josh “NerdJosh” Jodoinは、『Marvel』シリーズは元々タイトなゲームプレイが特徴のゲームではないという事実を引き合いに出し、パーフェクトなゲームではないが、むしろそこに面白さを見出して過去作品を楽しんできたコミュニティにとっては、『MVC:I』が急いでリリースされても、そこまで悪いことにはならないはずだとした。

NerdJoshのこの意見はある程度的を射ている。『Marvel』シリーズは長年に渡り『ストリートファイター』シリーズの薄汚れた従兄弟として知られてきた存在で、ゲームプレイはエキサイティングだが、決して全てが最高レベルまで洗練されている、またはフェアなものではなかった。たとえば、『UMVC3』のトーナメントプレイの戦術が整理されていくに連れ、意味不明の択攻めや無限コンボがよく見られるようになっていった。しかし、これらは1996年に『X-Men vs. Street Fighter』がリリースされて以来、『Marvel』シリーズのプレイヤーたちが普通に受け入れてきたものだ。『Marvel』シリーズのプレイヤー、Hayden “Kinderparty” Griswoldも、このような特徴はすぐに変わるものではないと考えている。

「僕たちは『Marvel』シリーズの欠点を受け入れてきたんだよ。必要に応じて生み出された受容の精神ってわけさ。『MVC2』と『MVC3』は修正パッチやアップデートが数年行われなかったからね。『UMVC3』では、フェニックスが異常なパワーを発揮し、ゼロも強烈で、バージルも強く、モリガンも相手を寄せ付けなかった。でも、その中でスパイダーマンやハルクも頑張っていた。クリエイティビティを発揮できるかどうかのスリルと高速のゲームプレイが『Marvel』シリーズの人気を保ってきたんだ。シリーズを通じて欠点はあったけれどね」

しかし、『MVC:I』はCapcomが面子を保つチャンスにもなりえる。『MVC:I』は早くから、トーナメントプレイ対応のモードに加え、充実したシングルプレイヤー用コンテンツが用意されると言われてきた(これは『ストリートファイターV』に欠けていた部分だ)。Capcomはコミュニティと定期的なコミュニケーションを取ることに失敗しているものの、彼らがこれまでに経験してきた失敗は、『MVC:I』で問題を解決するために必要なステップだったと考えている人たちもいる。

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Persiaは次のように断言している。「『ストリートファイターV』で全員が味わった困難は、長い目で見れば『MVC:I』のためになると思うの。あのような困難が何かを意味しているのであれば、それは、わたしたちの声がCapcomに届いているということ、そして、わたしたちの意見は重要だということだと思うわ。『MVC:I』はフレッシュなスタートになると思う。Capcomにはゲームをパーフェクトに仕上げられる力があるし、彼らは『ストリートファイターV』での失敗を真剣に受け止めていると思う。『UMVC3』へのサポートが厚くなったことも、明るい未来が待っていることを示すサインのはずよ」

教訓を得て

『MVC:I』のリリースが2018年にずれ込むことはこのゲームに恩恵をもたらすのだろうか? これはもっともな質問であり、おそらくは「イエス」と答えられるものだろう。しかし、真の問題はここがCapcomの評価に関わってくるということだ。

Kindepartyは「ファンは心配していないと思う。『MVC:I』がプレイできるというだけでも、僕たちにとっては喜ばしいことだからね。でも、僕たちはこのゲームに問題があることも理解している。実際、僕たちのコミュニティのリーダーたちは、『MVC:I』のロードマップをきちんと整備するために『UMVC3』のスペシャルイベントの準備を進めているんだ。Capcomの開発がずれ込んでも、新規プレイヤーが『MVC:I』について学んだり、プレイを楽しんだりできるだけの何かはそこに用意しておきたいよね」とコメントしている。

もちろん、2017年はまだ前半であり、『MVC:I』の現状についてはほぼ誰も把握していないので、このゲームが早くも『ストリートファイターV』と同じ轍を踏んでいるという意見はやや厳しすぎるのかもしれないが、Persiaは、コミュニティが急速なリリースを肯定的に捉えることができないのも無理がないと考えている。

「わたしはいち早く『MVC:I』をプレイしたいけれど、同時にViscantの気持ちも理解できるわ。できる限り時間をかけつつ、コミュニティの主要メンバーたちの知恵も借りた方が、ゲームのためには良いと思うから。必要と希望のバランスを取るのはいつだって難しいけれど、ゲームのクオリティが高まるのなら、わたしはViscantの意見に賛成よ」

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