Blizzardが語る『ハースストーン』のeSports化計画

BlizzardのeSportsマネージャーが『ハースストーン』の未来について語った。
 
HCTT Winterで「Year of the Kraken」が終了 © Carlton Beener/Blizzard
By James Pickard and Nico Hartikainen

『ハースストーン』のトーナメントシーンは、進化とも呼べる大きな変化を迎えた。最新カードセット「大魔境ウンゴロ」がリリースされ、スタンダードフォーマットの「A Year of Mammoth(マンモス年)」もスタートする。スタンダードフォーマットでは、いくつかの古いカードセットが使用不可能になるため、プレイヤーは新しいカードセットを組み込んだ斬新なデッキを生み出す必要がある。いくつかのデッキは旧来のデッキをアレンジしたものになるが、多くのデッキは完全に新しい構成になるはずだ。

この大変化の前に、Blizzardは2017シーズン初のHearthstone Championship Tourをバハマで開催した。そのHearthstone Championship Tour Winterは、世界最強の16人のプレイヤーが集められて開催された。開催前は、ワールドチャンピオンのPavel “Pavel” Beltukovが優勝候補として見られる中、Aleksey “ShtanUdachi” Barsukovや、DocPwnのようなニューカマーたちの活躍も期待されていたが、結果はShtanUdachiが優勝した。今回はこのトーナメントを終えたばかりのBlizzardのeSportsマネージャーMatt Wybleを捕まえて、『ハースストーン』の今後、そしてeSports関連の予定について話してもらった。

Wybleは次のように切り出す。「『ハースストーン』は、リスクを負いながら斬新でエキサイティング、そしてクレイジーなプレイができるかどうかが問われるゲームです。この特徴が、『ハースストーン』のようなゲームが成立できている唯一の理由だと思います。そして、僕たちは同じアプローチでeSportsにも取り組んでいます。ですので、2017年のHearthstone Championship Tourは、これまでとは違うベターな内容にしたいと思っていました」

「まず、現地で観戦できるようにしたかったので、そのためには面白くてクールなロケーションで開催したいと考えていました。また、世界各地のプレイヤーを複数回に渡って招待できるようフォーマットも生み出したいと考えていました。これらの希望を上手く実現できるロケーションはどこだと考えた時に、まずバハマが候補に上がったんです。話を進めていくうちに、どんどん盛り上がっていきました」

 

Blizzard社内のたった15人のチームが開発した小さなゲームが、高額の賞金を用意して世界各地でビッグトーナメントを開催するビッグゲームに成長したという事実は、ややクレイジーに感じられる。酒場のような雰囲気、そして独自のコミュニティイベント、Fireside Gatherings(炉端の集い)を備えている『ハースストーン』は、美しいビーチやスタジアムを埋めるビッグトーナメントとは縁がないように思われてきた。しかし、Wybleは、開発当初はeSportsのビッグタイトルとして展開することについて特に考えていなかったが、対戦を楽しむコミュニティの様子を見て、eSports化を考えるようになったと振り返っている。

「開発当初は『ハースストーン』がeSportsのビッグタイトルになるとは考えてもいませんでした。巨大なゲーム会社の小さなチームが開発したゲームをコミュニティが気に入ってプレイし、上手く活用してくれれば十分だと思っていました。ですが、世界各地で素晴らしいトーナメントが開催されるようになったんですね。中国、アジア、米国、ヨーロッパでそのようなトーナメントがごく自然な形で立ち上がっていく様子を見て、自分たちがその一部になれていること、様々な形で貢献できていることを光栄に感じました。それで、独自のeSportsのイベントを開催しようと思ったんです」

Hearthstone Championship Tourは、『ハースストーン』が長年に渡り試行錯誤を繰り返してきたeSportsフォーマットの集大成と言えるものだ。そして2年目を迎えた今も、Blizzardはこのゲームのユニークな特徴をベストな形でサポートしつつ、新カードセットのリリーススケジュールに合わせて展開できるようにするためにフォーマットに様々な変更を加え続けている。それゆえに、バハマでのWinterを終えたBlizzardとプレイヤーたちは、すでにSpringと「Year of the Mammoth」の新しいメタに視点を切り替えている。〈レノ・ジャクソン〉に別れを告げる時が来たのだ。
 

 
ファイナルで対戦したFrozenとShtanUdachi © Carlton Beener/Blizzard

Wybleは次のようにコメントしている。「スタンダードフォーマットが一新され、『大魔境ウンゴロ』のカードが加わるSpringは素晴らしいシーズンになると思います。新しいメタが確認できるのを楽しみにしていますよ」

現時点のHearthstone Championship Tourは、最も洗練されたメタが披露されるようにデザインされています

Matt Wyble

 


「現時点のHearthstone Championship Tourは、最も洗練されたメタが披露されるようにデザインされています。もちろん、ファン、特にハードコアなファンが知っているデッキがプレイされる機会も多いはずですが、それらのデッキを使用した、その時点で最高のプレイが披露されることになります。メタは常に変化していますし、新しいカードも追加されていますからね。ですので、僕たちも非常に楽しみですよ」

しかし、『ハースストーン』のeSports展開はHearthstone Championship Tourが最終目的地ではない。Wybleは、将来的にはワイルドフォーマットのトーナメントも展開する予定だとしており、更にはエキシビションマッチや招待制のトーナメントも視野に入れている。そして、そのような新展開の第1弾になるのが、国別対抗戦のフォーマットを採用したGlobal Games(グローバル・ゲーム)だ。

Wybleが説明する。「チーム制のイベントは2年前から開催したいと思っていました。既にコミュニティ内でArchon Team LeagueやTrinity Seriesなど、優秀なイベントが開催されていますし、このようなイベントの大ファンである僕は、ほぼ全ての対戦を観戦してきました。それで、僕たちもBlizzardらしさを加えた独自のイベントを展開したいと思ったんです」

『ハースストーン』がこの先数年に渡りeSports展開を続けていくのは明らかだ。プロプレイヤーたちが既存のファンの投資を促しながら、新たなファンを呼び込んでいく中で、新しいカードセットのリリースと歩調を合わせて開催されるトーナメントがシーンのハイライトを生み出していく。このような形で展開される『ハースストーン』は、高速のゲームプレイと複雑な戦術が特徴のゲームが独占しているeSportsの中でユニークな存在になるはずだ。

Wybleは最後に次のようにコメントしている。「Hearthstone Championship Tourはまだ2年目です。僕たちは他のeSportsタイトルも大好きですし、様々なトーナメントを観戦してきました。BlizzardのeSportsタイトル、そしてそれ以外のeSportsタイトルは、時間をかけるだけ成長していくと言い切ってしまって問題ないと思います。様々なゲームが魅力的なアイディアを導入しながらeSports全体のレベルを高めていますからね。そして、僕たちは『ハースストーン』にもそのチャンスがあると思っています。まだまだこれからですよ」

 

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