タディ・ブラズシアク:キング・オブ・ハードエンデューロの10年

ポーランドが生んだエンデューロ界のエースは、2輪モータースポーツ界のレジェンドだ。その理由を解説する。
By Lluis Llurba

2016年末、これまで長きに渡って世界のハードエンデューロ・シーンを牽引してきたタディ・ブラズシアクが引退を表明した。彼がこれまで成し遂げてきた成績をまとめてみると、誰もに好かれるこのポーランド人ライダーのキャリアが空前絶後のものであることが見えてくる。

過去10年に渡り、彼はハードエンデューロの王者として、このタフ極まりない2輪スポーツを新たな高みに引き上げつつ、スーパーエンデューロやエンデューロクロスも制覇してきた。この偉大なライダーの引退を機に、彼のキャリアハイライトを振り返ってみよう。

ブラズシアクは、ライダーとしてのキャリアをトライアルからスタートさせた。トライアル時代の通算成績は圧倒的で、ポーランド選手権を15回、ドイツのインドア選手権を2回、そしてヨーロッパ選手権を1回制覇している。

トライアルでの実戦経験は、若き日のブラズシアクにハイレベルなテクニックと、強靭さと敏捷性を兼ね備えた肉体をもたらしたが、のちにこれらの要素はハードエンデューロを戦うライダーに不可欠なものだったことが証明された。彼はレンタルしたバイクでワイルドカードとして出場したErzbergrodeoでの優勝で一気にハードエンデューロ界で世界的な注目を集めると、これをきっかけにKTMとのファクトリー契約を交わし、数々の伝説を残し始めた。

ハードエンデューロ:レッツ・パーティ! © Lukas Nazdraczew/Red Bull Content Pool

ハードエンデューロ

ブラズシアクは偉大なトライアルライダーだったが、彼の名を世界に知らしめた契機は世界で最もタフなレースのひとつ、Red Bull Hare Scrambleでの勝利だった。そして、その後もRed Bull Hare Scrambleを5年連続で制し、更にはRed Bull Last Man Standing、The Tough One、Hell's Gate、Red Bull 111 Megawattなど数々のイベントでも勝利を収めた彼は、エクストリームレーシング界のNo.1の座に就いた。

 

スーパーエンデューロ:ひたすら前へ © Lukas Nazdraczew/Red Bull Content Pool

スーパーエンデューロ

ハードエンデューロのブラズシアクを “グレート(偉大)” と評するなら、スーパーエンデューロの彼は “オーサム(最高)” の一言に尽きる。ブラズシアクは2008年と2009年のインドア・エンデューロ世界選手権で2年連続2位に輝き、その1年後の2010年に初のチャンピオンに輝くと、そのあとは独走状態に入った。2015年、ブラズシアクはスーパーエンデューロ世界選手権史上初となる6度目のタイトル獲得を達成した。

 

マスター:一番強いヤツは誰だ? © Kin Marcin/Red Bull Content Pool

マスター

ブラズシアクは、時間が許す限り上を目指す熱い気持ちを持つ後進ライダーたちを惜しみなく指導した。Gas Gasファクトリーでトライアルを戦っていた頃に、エンデューロ界とトライアル界の両方で尊敬されているプッチダモン兄弟と知り合う機会を得たブラズシアクは、プッチダモン兄弟と共に若手ライダーを育成するトレーニングコースを数多く開催した。

4輪:情熱の対象 © Philip Platzer/Red Bull Content Pool

 4輪

ブラズシアクは大の自動車好きだ。オーストリア・エルツベルクの採石場であのキミ・ライコネンとバイク vs. WRCに挑んだ彼は、その2年後に同じくエルツベルクの山中でラリーマシンをドライブする機会を得た。ブラズシアクは、あっという間にラリーマシンに適応し、荒い路面をまるで自分の庭のようにドライブしてみせた。

 

エンデューロクロス:彼を邪魔するな © Garth Milan/Red Bull Content Pool

エンデューロクロス

ブラズシアクは米国内で活躍するトップクラスのエンデューロライダーたちを相手にするために大西洋を越えて米国に渡ると、AMAエンデューロクロス選手権を5回に渡り制覇した。彼が同選手権を制したのは2013年が最後となったが、その年のマイク・ブラウンとの一騎打ちは今も語り草だ。その1年後の2014年、ブラズシアクはシーズン中に何度か難しい局面を体験したが、最終戦は近年屈指のベストパフォーマンスを見せて勝利し、見事にシーズンを締めくくった。

 

ブラズシアクのラリーレイド挑戦は実現するのか? © KTM Images/Red Bull Content Pool

ブラズシアクの今後は?

ブラズシアクの輝かしいキャリアはその幕を閉じたが、彼は今後もKTMと共に何らかの形でハードエンデューロ界に関わり続けることを明言している。また、母国ポーランドのベウハトゥフで自らが主催する名物イベントRed Bull 111 Megawattのオーガナイズも継続していく予定だ。

 

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