バイクで400km/h! クレイジーな世界記録に挑戦!!

普通の生活を送っていれば、体験することはほとんどない400km/hの世界。そんなバカげた速度を市販車のバイクで出そうなんて超クレイジーな挑戦をご紹介しよう。
By 渡邊大輔

クルマでもバイクでも、エンジンが付いているマシンの性能を測る上で「最高速度」は重要な目安のひとつ。特にバイクに関しては、古くから“市販車最速”のキーワードが販売台数に直結するため、メーカーサイドも記録狙いのモデルでは本気のパワー合戦を繰り広げていた。その動きが加速し始めたのが1990年代。それまで250km/h台をウロウロしていた記録も、あっという間に300km/h目前にまで達した。2000年に入った直後、スズキGSX1300R隼が312.29km/hを叩き出し、300km/hの大台を突破。見事ギネス世界記録に認定された。その後2001年には、EUの規制によって市販バイクの最高速度は300km/hに抑えられ、記録としては隼が長らくギネスホルダーとして君臨していた。

 

そんなパワー合戦の終焉から16年も経った2016年6月28日、トルコのオスマン・ガーズィー橋(全長2682m)では、あるオバカな記録のチャレンジが行われていた。それは市販車のカワサキH2Rで公道最速記録を樹立するというもの。ちなみにカワサキH2Rは水冷4スト1000㏄、最高出力310psのモンスター(公道走行不可)。ギネスレコードホルダーの隼が1300㏄/175psだったことを考えると、まさにケタ違いのパワーマシンというわけだ。もちろん大記録に挑むとなるとマシンのスペックだけでなく、ライダーのスキルも必須。そこはスーパースポーツ世界選手権のチャンピオンのケナン・ソフォーグルが、400km/hに合わせて肉体づくりも行ったというから体制も万全。

 

実際に映像を見ると出だしから全開。暴れるリアを押さえつけながら、1速では140km/hを余裕で越え。2速ではおよそ200km/h、3速で260km/h、4速で300km/h、5速で360km/hと着実にスピードをアップ。そして引っ張りに引っ張った6速で見事400km/hオーバーをクリア。その間26秒! 尋常じゃない速度で進むオドメーターや、背景に流れる景色を見ても早送りと勘違いしてもおかしくないほど、クレイジーなチャレンジなのだ。

 

ちなみにその昔、ギネスマシンというキーワードに心惹かれ、隼で最高速アタックを勝手に挑んだことのある筆者。見事270km/hで心のリミッターがかかってしまったことは苦い思い出。200km/hを超えたあたりから視界は狭まり、風圧もハンパない。250km/hあたりでは風圧で飛ばされないようにハンドルにしがみついているのがやっとで、この辺りからイメージがマイナス方向に……。「今ハンドルを離したら、後ろにぶっ飛んで即死だよね」なんて考え始めると、もうアクセルは回せなくなってしまう。もっとも、恐怖を克服する精神力に加え、常時ハンドルを押さえつけるため、相当な腕力が必要なのは当然。精神、肉体ともに標準的日本人と自負する自分から見ると、300km/hの大台は果てしなく遠い記録、400km/hなんて人間業じゃないというのが率直な感想。

 

しかも400km/h到達直後、顔を上げたケナンを見た時、「あの段階でも300km/h台だろ? そんな風圧でも顔を上げられるなんてやっぱり人間じゃないな」と感じたと同時に、根本的な人間としてスペックの違い見せつけられた気分でもあった。

 

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