【5分で学ぶRed Bull Air Race 2017】パイロット図鑑

マスタークラスパイロットの勢力図を塗り替える? ふたりの猛者が加わり白熱必至。そんな2017シーズンを最大限楽しむために、まずはパイロットの基本情報をチェックすべし。(他では読めないトリビアもあり)
By 渡邊大輔

Red Bull Air Race World Championship 2017シーズンを戦う14名のパイロット

進化し続けるラストサムライ
Yoshihide Muroya[室屋義秀]/日本

Red Bull Air Race Pilot
© Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

アジア人初のマスタークラスパイロットとして、世界を舞台に戦い続ける現代のサムライ。いまや日本のエアレース人気をけん引する立役者ながら、エアロバティックをはじめた当初は資金が枯渇し、練習する燃料代も捻出できないほど追い込まれたこともあるなど、波瀾万丈の人生を楽しんでいる。

地道な努力のうえで2009年にレッドブル・エアレースデビュー。ターンの美しさはマスタークラスパイロット随一で、さらに抜群のスピード感覚を活かしたフライトテクニックにより多くのファンを魅了している。2016シーズンは第3戦千葉大会で悲願の日本人初優勝を果たし、レッドブル・エアレースの認知度アップに貢献。着実にポイント圏内でフィニッシュし、2015年シーズンと同じく総合6位でシーズンを終えている。

 

剛強無双のワールドチャンピオン
Matthias Dolderer[マティアス・ドルダラー]/ドイツ

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© Predrag Vuckovic/Red Bull Content Pool

父に連れられ3歳で初フライトを経験し、14歳で初の単独飛行。そしてライセンスを取得した直後の17歳では、グライダーのドイツ選手権で3位入賞を飾るなど天性のフライト技術を持つサラブレッド。

レッドブル・エアレースには2009年から参戦。昨シーズンは第2、4、7戦で3度の優勝、第1、5、6戦でも2位入賞を果たし、全8戦中6度の表彰台を経験する驚異の実力を発揮。総合でも驚異の80.25ポイントを獲得し、最終戦を待たずしてワールドチャンピオンに輝く偉業を成し遂げている。

 

王座を狙う最強の刺客
Matt Hall[マット・ホール]/オーストラリア

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元オーストラリア空軍所属。F/A-18ホーネットやF-15ストライクイーグルといった戦闘機で2000時間以上のフライト実績を持つ。1997年には最優秀戦闘機パイロットに選ばれ、オーストラリア空軍のエリートパイロット育成担当も務めた経歴を持つリアルファイターだ。

2009年からレッドブル・エアエースに参戦し、デビューイヤーではすべてのレースでポイントを獲得。現在まで36戦中33戦でポイントを獲得する快挙を成し遂げている。2015年、2016年シーズンは連続して総合2位につけるフライトテクニックは、今シーズン要注目パイロットのひとりとして数えられる。

 

レッドブル・エアレース界のキング・カズ
Nicolas Ivanoff[ニコラス・イワノフ]/フランス

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フランス人らしくプライベートはもちろん、フライト時のファッションにまで気を配る伊達男。実力はもちろんそのファッションでも見る人を楽しませる、生粋のエンターテナー。日本サッカー界でいえばキング・カズ的存在。

レッドブル・エアレースは2005年から参戦。タイトなターンを得意とするスタイリッシュなフライトテクニックで、通算5回の優勝を果たす実力を持つ。昨シーズンは第1戦アブダビで優勝を飾りスタートダッシュに成功。第3戦の日本以外すべてポイントを獲得し、総合5位の好成績を収めている。

 

音速の曲芸飛行士
Martin Sonka[マルティン・ソンカ]/チェコ

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チェコ空軍に所属し超音速機も操縦しながら、チェコ・ナショナル・エアロバティックチームにも所属する現役軍人。冷静沈着な性格とリスクを取らず自身のスキルアップに重点を置く飛行スタイルは、ツウ好みのするクール・ガイ。

レッドブル・エアレースへの初参戦は2010年。これまでの最高成績は2015年シーズンの総合4位。昨シーズンは機体の調整に手間取ったり、攻めのフライトを意識しすぎた結果、ペナルティを受けることもあったが、ポイントを重ねて総合7位の成績を収めている。

 

レッドブル・エアレースのゴッドファーザー
Kirby Chambliss[カービー・チャンブリス]/アメリカ

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自宅裏に専用の格納庫と滑走路を持ち、エアロバティックスやスカイダイビングによる極限状態を日常的に楽しむベテランパイロット。エアロバティック世界選手権では13のメダルを獲得する、名実ともに世界最高峰のエアロバティックパイロット。

2003年の初開催以来、全シーズン出場を続けている唯一の現役パイロット。2004、2006年には総合優勝を勝ち取るほか、表彰台に26回も登るレジェンド。昨シーズンは第3戦の日本で3位表彰台を獲得したのが最高位。第6戦では惜しくもノーポイントだったため、総合成績は8位にとどまっている。

 

最年少のレコードブレーカー
Pete Mcleod[ピート・マクロード]/カナダ

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18歳になるとレッドブル・エアレースのトレーニングに参加し、2009年には史上最年少パイロットとしてデビュー。2014年にはデビュー3年目にして初優勝を飾り、通算4度の表彰台を獲得。史上最年少のエアレースパイロットであるとともに、史上最年少の優勝パイロット。

2009年のデビューは室屋をはじめドルダラーやマット・ホールと同期。デビューイヤーこそ成績は振るわなかったものの、そのシーズン以降着実にポイント圏内を獲得。2016年シーズンでは2度の3位表彰台を記録しているが、2度のノーポイントが響き総合では9位で終了している。

 

エアロバティック アメリカ代表
Michael Goulian[マイケル・グーリアン]/アメリカ

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航空ショー業界で権威のある3つの賞を受賞したスーパースター。ちなみにこの賞すべてを受賞したのは歴史上、彼を含めわずか7人。総合成績こそ上位に食い込むことが少ないが、パワフルかつ切れの良い飛行スタイルにはファンも多く、飛行機を完璧に扱いこなすスキルは注目。

2004年からレッドブル・エアレースに参戦し、これまでの最高順位は2009年の第4戦イタリアでの優勝。2014、2015シーズンとポイントを逃すことが多かったが、昨シーズンは日本ラウンドを除き、すべてのレースでポイントを獲得している。

 

3年目のチャレンジャー
Juan Velarde[フアン・ベラルデ]/スペイン

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イベリア航空で現役機長を務めるマドリッド出身のスパニッシュ。エアロバティックスのスキルは申し分ないが、レッドブル・エアレース界で1、2を争う長身(189cm)なだけに、狭いコクピットに潜り込むのはひと苦労。ただそのイカついビジュアルとは裏腹にフレンドリーで親しみやすい性格は、陽気なラテン民族ならでは。

チャレンジャーカップで実績を積み重ね、2015シーズンからマスタークラスに昇格。2年目の2016シーズンは第2戦で予選1位通過を果たした他、第3戦の千葉大会では自身最高の5位を獲得。その他のレースでもポイントを積み重ね、最終結果は11位。今シーズンのさらなる飛躍に期待。

 

リアル・マーベリック(映画トップガンより)
Francois Le Vot[フランソワ・ルボット]/フランス

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元フランス空軍の戦闘機パイロットにして、トップガンの育成教官の肩書きを持つ生え抜き。フランス空軍エアロバティックチームに11年間所属し、2004年以降はヨーロピアン/世界エアロバティック選手権でトップランカーとして経験を積んでいる。

2008年にはレッドブル・エアレースに必要なスーパーライセンスを取得。2014年から開催されるチャレンジャーカップでは第1戦から3連勝を収め、2015年からマスタークラスに昇格。2016シーズンは初戦のアブダビでマスタークラス初の表彰台を獲得するも、総合結果は12位にとどまっている。

 

エアロバティックの生え抜き
Peter Podlunsek[ピーター・ボドランセック]/スロベニア

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スロベニア人初のマスタークラスパイロット。エアレース参戦以前はエアロバティックスのスロベニア選手権を8度制覇したほか、世界選手権やヨーロッパ選手権にも出場し、数々の好成績を収めている。レッドブル・エアレースには2014年のチャレンジャークラス創設から参戦。

2015年のチャレンジャークラスでは表彰台3回、総合成績も2位を獲得。シーズン後のトレーニングでは、高速低空飛行の技術が評価され、マスタークラスのスーパーライセンスを取得。初年度として多くを学んだ昨シーズンを経て、今年は大きな飛躍を狙っている。

 

チャレンジャークラス初代チャンプ
Petr Kopfstein[ペトル・コプシュタイン]/チェコ

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2014年から開始されたチャレンジャークラスに参戦する一方、チェコのナショナル・エアロバティックチームにも所属。国内選手権ではマスタークラスパイロットのマルティン・ソンカを破り優勝を果たすなど、その実力は証明済み。

チャレンジャークラスでは初代チャンピオンに輝き、2015年シーズンもポイントリーダーを獲得。2016シーズンからマスタークラスに昇格し、第3戦と第7戦の9位を最高位にポイントを獲得。マスタークラスの戦いにも慣れた2年目となる今シーズンは、さらに上位に食い込む実力を発揮するはず。

 

通常の3倍を期待させる男
Cristian Bolton[クリスチャン・ボルトン]/チリ

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元チリ空軍の少佐という肩書きを持ちながら、エアロバティックチームのリーダーも務める。戦闘機パイロットの他にもエンジニアリングや軍用航空学、人材開発といった学位を持つインテリパイロット。卓越したフライトセンスとクレバーな頭脳を武器に、今シーズンから晴れてマスタークラスパイロットに参戦。

2016シーズンはマスタークラスの予備パイロットとして登録されていたため、参戦レースは2回のみ。しかも第8戦がキャンセルとなったため、実質第7戦のインディアナポリスのみのフライトとなった。正式なデビューは今シーズンとなるが、自身のウォームアップは昨年に済ませたと、強気の姿勢で今シーズンに臨む。

 

ナイジェル・ラムの愛弟子
Mikael Brageot[ミカエル・ブラジョー]/フランス

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今シーズンからマスタークラスにフル参戦する若手のホープ。2015シーズンのチャレンジャーカップを獲得し、2016シーズンはマスタークラス昇格のためのプログラムに参加。同シーズンで引退した元ワールドチャンピオン、ナイジェル・ラムから直接指導を受けることで、マスタークラス昇格の準備を万全に済ませている。

搭乗する飛行機は師匠譲りのMXS−R。レッドブル・エアレースに参戦する機体としては珍しく、錆を表現したエイジングペイントが施される。それに合わせてパイロットスーツもエイジング加工。紳士の多いエアレース界において異端児的なワイルドなキャラは要注目。

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