世界チャンピオンDJ Byte × SHINTARO対談

2013年のトロント大会で芽生えた友情と因縁(!)をベースに、日本初開催となった今大会と当時のエピソードを語ってくれた。
© Red Bull
By Motoyoshi Ueki

 

優勝おめでとうございます! 改めて現在の心境を聞かせて下さい。

DJ Byte(以下B)「TOKYOというビッグシティで優勝できて本当に嬉しいよ。力を注いだルーティンがすべて結果につながって良かったと思っているし、僕を応援してくれたオーディエンスにも「ありがとう!」って言いたいね」

日本でのワールドファイナルに備えて、どんな準備をしてきましたか?

B「今回のルーティンは約半年くらいかけて作ったんだ。練習はいつも通りだったけど、日本の伝統音楽や太鼓の音はかなりリサーチしたかな。もちろん、日本の国内予選はすべて聴いたし、SHINTAROの日本でのプレイも全部チェックした。みんながどんな曲を使って、どんな音がオーディエンスに好まれているかを調べるためにね。そうやって3つ、4つくらいのルーティンを作り、その中でも一番強い自信のあるセットを固めて、あとは保険でBプラン、Cプラン、Dプランを作ってから来日したんだ」

Byteさんが決勝戦で披露したルーティンは、まさに〈神セット〉と呼ぶに相応しい盛り上がり方でしたが、SHINTAROさんの目にはどう映りましたか?

SHINTARO(以下S)「ぶっちゃけ見終わった瞬間に、「Byteで決まりかな!?」って思わせるくらい良かったですね。技術も素晴らしかったし、トーンプレイの精度も高かった。でも一番凄かったのはやっぱりトラック・セレクションと構成ですね。例えば、「Bitch Better Have My Money」っていう曲の〈Money!〉って部分にスーパーマリオのコイン音をかぶせたり、Facebookで最近バズってたスヌープと50セントの「ハハハ、ヒヒヒ……」っていう動画コメントをいち早くエディットして取り入れてたり。特にネットからの旬ネタをバトルに持ち込んだのは今までにないアイデアだったんで、凄く新鮮でしたね」

予選を振り返って、あえて初戦の一番手を選んだのは作戦だったんでしょうか? 

B「いや、誰も選ばなかったから誰かが始めないとって思ったんだ。どうせ楽そうな日を選んでも、最終的にageHaで争うのは予選を勝ち抜いた強豪ばかりなんだから、最初に行っても最後に行っても関係ないと思ってさ」

S「僕の経験から言ってもそれは正解で、しかもみんな初日を避けてたから、初日のゲストDJたちが「Tuseday! Tuseday!」ってラブコールを送ってたんですよ。あそこを選んだら盛り上がるのになって思ってたらByteが行ったんで、さすが分かってらっしゃる! みたいな(笑)。みんな「ウォー!」って声を上げてたし、関係者もスタッフも注目してましたよね」

 

DJ Byte × SHINTARO © Red Bull

 

その英断によって、予選の初日からブラジル、アメリカの優勝候補と激突することになりましたね?

B「そうだね。あれにはちょっと焦ったけどね(笑)。すでにルーティンは固めてたんだけど、さすがに相手を見て調整し直したんだ。正確に言うと、決勝の最後に使おうと思ってた曲を予選のセットに持ってきた。上手く勝ち抜けて良かったよ」 

日本のオーディエンスの反応はどうでしたか?

B「日本は初めてだったけど、観客の反応は凄く良かったと思うよ。好みの曲をかければ期待通りにノッてくれたしね。初日のUNITはちょっと固かったけど、予選を重ねていくうちにみんなが『Red Bull Thre3Style』の楽しみ方を分かってきて、グランドファイナルのageHaは凄いエナジーだった。それに日本のオーディエンスは僕たちがどういうトリックを仕掛けているかを分かってくれるから、何か新しいものを取り入れたら「おお!」って反応してくれるよね。チリではそういうのが一切なくて、決まったアゲアゲの曲をかければみんなクレイジーになるけど、大技をカマしても理解されないんだよ。その点ではUNITのオーディエンスも個人的には凄く新鮮で有り難かったね」

SHINTAROさんがカナダで優勝した年は、あなたが2位で、3位が昨年アゼルバイジャンで王者になったESKEI83。くしくもトロント組が3年連続で世界チャンピオンになったわけですが。

B「トロントでの決勝バトルは全部覚えてるよ! 彼が一番手で僕がその次だったからね。堂々と自信に溢れた感じで、いかにも「俺が世界チャンプだ!」くらいの勢いでプレイしてたね。実は僕もトロントのセットには凄く自信があったんだ。優勝カップを取って来るぜ!くらいのつもりで乗り込んで、凄いトリックで観客を沸かせて優勝するつもりだった。でもSHINTAROのトラック・セレクションがあまりにヤバ過ぎて焦ったのを覚えてるよ。正直、彼を見終わった瞬間にチャンピオンになるなって直感したんだ。もう残りのみんなで2位争いをするしかないってね。あの時のSHINTAROを見て、1位になるって決めたら、それなりの態度で振る舞わなきゃいけないんだっていうことを学んだんだ。だから今年は彼を見習って、ダイナミックにカッコ良く決めようって最初から狙ってたんだよ(笑)」

Byteさんの優勝によって、またひとつ『Red Bull Thre3Style』の審査レベルが上がったと思うんですが、これから挑戦するコンペティターに求められる要素は何だと思いますか?

S「スキルでも、トーンプレイの精度でもなく、選曲だと思いますね。今、一番重要視されていて、どんどん研ぎすまされているのがトラック・セレクションだと思います。トロントの僕のセットを今年の日本でやっても絶対に勝てなかったと思うし、そのくらい年々トレンドが大きく変わっているので。要は使う曲のタイミングやセンスがますます問われるようになると思いますね」

B「僕も同感だけど、個人的には新しいテクニックの発見に期待しているんだよね。トーンプレイもスクラッチもジャグリングもある中で、機材もどんどん進化しているから、来年こそは何か新しいトリックや新しいテイストをもたらすDJが現れて欲しいね。まあ、それがチリの代表だったら言うことはないんだけど(笑)」

最後に『Red Bull Thre3Style』のワールドファイナルは、日本の音楽シーンにどんな影響を与えたと思いますか?

S「あれだけの素晴らしいDJが集まって、あんなに大勢のお客さんが来てくれたことは絶対これからのシーンにつながっていくと思いますよ。僕が凄く嬉しかったのは、ageHaのフロアでInvisibl Skratch Piklzを見てたお客さんが「なんか、手の動きが凄いね!」って言ってたこと。最初はそれでいいんですよ。僕自身、DJを目指すきかっけが彼らのスクラッチだったんで。あまりにカッコ良過ぎて、スクラッチをすれば女の子にモテるんじゃないかって思ったぐらい(笑)。まあ、それは勘違いだったけど、あの時フィールしたからこそ今の僕があるわけで。だから、KENTAROさんのジャグリングを見てヤバいと思ったり、FOUR COLOR ZACKのトーンプレイを見て凄いなって思った人たちは素直に『Red Bull Thre3Style』へフィールして欲しいと思いますね。予選会場も含めて、そういう人たちは絶対にたくさんいたと思うし。その意味でも、DJをやっている人はもちろん、次の世代のDJ予備軍にもしっかりアプローチできたんじゃないかなって思いますね」

 

DJ Byte × SHINTARO © Red Bull
Next Story