Coldplay
© Alex Rauch/Red Bull Media House
ミュージック

Coldplay名曲ベスト10

2月7日に第50回スーパーボウルのハーフタイムショーへBeyonce&Bruno Marsと共に出演を果たしたColdplay。その20年にも及ぶキャリアから屈指の名曲を選出した。
Written by Elliott Sharp
読み終わるまで:6分公開日:
Coldplay in Cologne

Coldplay in Cologne

© Peter Wafzig/Getty Images

今年、Coldplayは活動開始から20年目の大きな節目を迎えた。彼らの全盛期はいまなお続いており、それが止まる気配すら見られない。Coldplayは永遠だ。
Coldplayというバンドは安心かつ不朽の存在という意味で、まるでTVドラマ『フレンズ』(訳注:1994年から10年間米国で放映された人気シットコム)のような存在だ。Chris Martinという傑出した才能を持つヴォーカリストが率いるこのバンドは、きわめて親しみやすいメロディ、そして誰もが共感する愛と喪失、希望と歓びといったユニバーサルな題材を組み合わせた世界観を得意としている。2000年に「Yellow」が大ヒットしたことによって一気に世界へその名を知らしめたColdplayは、それ以降もそのスケール感を高め続け、バンドとしての輝きを増している。彼らが手掛ける名曲群は、数々の有名セレブたちさえも泣かせてきた。
Coldplay

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© Alex Rauch/Red Bull Media House

2015年12月、Coldplayは7枚目のアルバムとなる『A Head Full of Dreams』を発表した。このアルバムはかつてグラミー賞に輝いた『Parachutes』や『A Rush of Blood to the Head』ほどの大ヒットにはならないかもしれないが、世界で最もビッグなポップ・バンドとしてのColdplayへの評価は揺るがないはずだ。
そんな彼らが、記念すべき第50回スーパーボウルのハーフタイムショーに出演した。カロライナ・パンサーズとデンバー・ブロンコスの熱戦の合間に行われるショーとして、これ以上のものは考えられなかったはずだ。共演したBeyoncéとBruno Marsが見せた強烈なダンスパフォーマンスが世間の話題をさらっていったものの、濃密なショーの締めくくりに「Fix You」を披露してしっかりとまとめあげたColdplayの存在感はやはり見事なものだった。
記念すべき活動20周年、そしてスーパーボウル出演を記念し、今回我々はColdplayの過去のディスコグラフィーを改めて隅々まで聴き直し、このベスト10リストをまとめ上げた。

10.「Magic」

2014年発表のアルバム『Ghost Stories』からのリードシングル。この曲は軽やかで空気のように揺れるColdplayらしさを持ちつつも、しっかりとしたリズムが刻まれている。ハードな感触のビートに載せられたいつになくソウルフルなChris Martinのヴォーカルは「最高の愛は魔法のように感じられるもの」と唄っている。

9.「Hurts Like Heaven」

2012年発表のアルバム『Mylo Xyloto』に収録されたこの曲で、Martinをはじめとしたバンドは完全なお気楽ムードを見せている。これはColdplayとしては珍しいことだ。楽しげで快活なムードを持ったこの曲がリリースされた当時、そのアンセム性を評して音楽メディアではLCD Soundsystemの「All My Friends」が引き合いに出されたほどだ。

8.「Strawberry Swing」

Frank Oceanがミックステープ『Nostalgia, Ultra』でこの曲をカバーしていたことを憶えているだろうか? Frank Oceanはこのカバーバージョンで、この素朴なラブソングを黙示録と宇宙船をテーマにしたものへと大きく変貌させていた。もしこのカバーの存在を知らないなら、まずは2008年のColdplayのアルバム『Viva la Vida or Death and All His Friends』に収録されたこのオリジナルバージョンから先に聴いてほしい。自然と身体がスウィングしてくるようなこのアップテンポな曲は、空中にふわりと浮かびながらストロベリーをかじっているような気分になれる。
7.「Speed of Sound」
2005年発表のアルバム『X&Y』に収録された強力シングル。ちなみに、このアルバムは同年のグラミー2部門にノミネートされたが、惜しくも共に受賞は逃した。しかし、この曲はリリース時から既に抗えない魅力を放っていた。それもそのはず、この曲は野球の試合、散髪、スーパーへの買い物、ジャグジーでの入浴など、日常のどんな場面にもぴったりはまっていた。

6.「Shiver」

Coldplayにとって記念すべきデビューアルバム『Parachutes』からのシングル。ここでは、それ以降のColdplayからは考えられないほどハードなロックを聴かせている。歪んだエレクトリックギターのワイルドさは出色で、そのサウンドはColdplayという惑星において異端の存在感を放っている。

5.「The Scientist」

愛情とはかくも困難なものだ。その事実をChris Martinほど切実に知っている人間は、この世界において彼以外にはいないのではないだろうか。2002年のアルバム『A Rush of Blood to the Head』に収録されたこの「The Scientist」は、愛の困難さを感じた時に聴いてむせび泣きたい名曲のひとつだ。科学もまた、愛と同じく難解なもので、まさに高度な理論にほかならない。「誰もそれを簡単なものだとは言わない」のだ。

4.「Yellow」

この「Yellow」という曲が世に出てから早16年もの歳月が流れたが、この曲でMartinがいったい何について唄っているのかはまだ誰も理解できていないはずだ。彼が究極に好きな色は? 黄色だ。そう、それがこの曲のすべてだ。なぜ彼がこれほどまでに黄色という色彩に執着するのか我々には理解し得ない。ともあれ、16年経った現在でも、この曲が魅力的に響いているのは確かな事実だ。

3.「In My Place」

心の底から泣いてしまいたい気分になる、いかにもColdplayらしさが溢れた1曲。グラミー賞受賞アルバム『A Rush of Blood to the Head』からのリードシングルだ。愛を失い、また見つける。この果てしない満ち引きのような繰り返しがこの「僕の居場所」という存在論に組み込まれている。

2.「Clocks」

このピアノのリフレインは永遠に私たちの心に刻まれつづけるだろう。この曲は、モチベーションを上げるために部屋に貼ったポスターのような存在だ。どんなに暗く沈んだ日々でも愛を見つける可能性があること、そして世界は変わらず美しいということをこの曲は思い出させてくれる。時計の針は進み続け、誰もが手遅れにならないうちに我が家へ帰ろうとしている。あなたはいったい何を待っているの? さあ、ずっとそこに立ち尽くしてないで、一緒に家へ帰ろう。

1.「Sparks」

ゴージャスでありながら柔らかで幻惑的。それでいて、月の明かりのように優しく照らしてくれるラブソング。暖かな毛布にくるまれたまま世界を駆け巡るとしたら、こんなサウンドこそが相応しい。燃え盛るような激情の炎に包まれた愛も結構だが、そもそもの始まりを辿ってみればそこにはほんの僅かな火花が存在していたはずだ。この曲は、そんな根源的な愛のかたちへと私たちを引き戻してくれる。こんな曲を書けるバンドは、彼ら以外にはいないだろう。