FabricのベストMIX CD 10選

ロンドンきってのスーパクラブが展開してきたMIX CDシリーズから、選りすぐりのベスト10をセレクト。
FabricのMIX CDベスト10を選出 © James Hines
By Red Bull UK

Fabricは、ただ単にロンドンのベスト・クラブに留まらない。Fabricは2001年からレーベル運営を行い、ハウスとテクノ中心の『Fabric』とドラムンベースやダブステップ中心の『FABRICLIVE』という2つのラインを設け、現代のシーンにおける最良のMIX CDの数々をリリースし続けてきた。

去る8月5日、Red Bull Studios LondonはFabricと合同で同クラブの2つのフロアを使ってスペシャルな一夜を開催した。Room OneにはMs Dynamite、Foundation (aka Sticky and Scott Garcia)、Conducta、そしてNastee BoiとUKガラージのビッグネームたちが名を連ね、Room TwoにはMicky Finn、Serial Killaz、Majistrateをはじめとしたドラムンベース/ジャングル系のトップDJたちがフロアを彩った。

Red Bull Studios LondonとFabricのタイアップを記念し、今回は我々がこれまでFabricがリリースしてきた数多いMIX CDの中からベスト中のベストと言える10枚を選んでみた。自分のお気に入りの1枚が含まれていたら、ぜひページ下部の投票フォームを通して教えてほしい。

Ben UFO © Jeremy Deputat/Red Bull Content Pool

Ben UFO:『FABRICLIVE 67』

Ben UFOの友人Kieran Hebdenが彼流の美学を完ぺきに詰め込んだ『FABRICLIVE』をリリースして1年半後、Ben UFOもまたHebdenに劣らぬスペシャルな1枚を作り上げてみせた。ちょっとした波紋や泡立ち、エナジーの放射など、どこを切り取っても威厳と巧妙さに満ちたこのMIX CDにおいて、Ben UFOはJam CityやKyle Hall & Kero、Pearson SoundそしてElgatoらのトラックを使って誰にも真似できないミックスを披露してみせた。それらは抗い難いほどにダンサブルであると同時に、奇妙な不穏さをもって鳴らされていた。

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James Lavelle:『FABRICLIVE 01』

『FABRICLIVE』における不動のクラシックといえる名ミックス。Rare Earthの「Get Ready」でサイケデリックに幕を開けるこのミックスは、Chemical BrothersやOrbitalのトラックで深く潜り込みながらも2曲連続でプレイされるBushwackaのトラックがトリッピーなワームホールへと誘い、やがてRadioheadの「Everything In Its Right Place」へと結実し幕を閉じる。Radioheadのこの曲のタイトル(「すべてが収まるべき場所へ収まる」)はこのLavelleによるミックスを完ぺきに代弁している。これほど抜け目のない選曲が施されたMIX CDはそうそうあるものではない。

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John Peel『FABRICLIVE 07』

英国を代表するこの伝説的DJは過去2回Fabricに出演しており、初回の登場時に起きた狂乱じみた騒ぎは今や語り草となっており、妊娠8ヶ月という身重の状態を押して足を運んだある女性ファンは安全に彼のプレイを聴くために階段の吹き抜け部分に身を隠さなければならなかったほどだった。まさにすし詰め状態となったフロアで、ファンたちは轟音で鳴らされるThe Undertones「Teenage Kicks」(このミックスでも最後に登場する)に身を揺らし、 Peelがプレイを終えてもファンたちは彼の名を15分間にわたってチャントしつづけた。このミックスにおいてはThe FallやJoy Divisionが選曲されている部分も重要だが、Malokoのトロピカルなシャッフル、ドラムンベース独特のエナジーを凝縮したようなElements Of Noize、そしてTrouble FunkのパーカッシブなR&Bなど、その間をつなぐ選曲の妙こそがPeelの真骨頂といえよう。

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Ellen Allien © David Cabrera / Red Bull Content Pool

Ellen Allien:『Fabric 34』

どんなDJにとっても、Fabricのためにミックスをレコーディングすることはハードルの高い課題だ。それだけに、決まりきった保守的な定型にはまった平坦なミックスになってしまう可能性もある。そのリスクを鮮やかに回避したという意味で、Bpitch ControlのボスEllen Allienによるこのミックスは素晴らしい。ヴァイナルのみでダーティなミニマル・テクノやクリックハウス、エレクトロニック・ソウルをミックスしたこの作品は、すべてが収まるべきところに収まっている。Thom Yorke「Harrowdown Hill」をダンストラックだと思っているリスナーは決して多くはないが、Allienの手にかかればリスナーはこの曲で気付かぬうちにダンスさせられてしまう。

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Ricardo Villalobos:『Fabric 36』

多くのDJはFabricからMIX CDの制作をオファーされると、自分のレコードコレクションを深く掘り下げ、知られざる名曲やディープでマニアックな曲を織り込もうとするものだ。だが、ミニマル界の王たるRicardo Villalobosにこの定説は当てはまらない。彼が手掛けた『Fabric 36』は、すべて彼自身が手掛けたトラックによって構成されている。彼のスムースで触知性に富んだパーフェクトなセンスがなければ、ただのエゴイスティックな作品に終わっていたところだ。スムース極まりないミニマル・テクノにワールドミュージックやジャズのエッセンスを落とし込み、多幸感と浮世離れしたリスニング体験をもたらしながら、時折一筋縄ではいかない展開を挟み込むこの作品は油断できない。たとえば12分にもおよぶ大作「Andruic & Japan」ではラテン的な律動に和太鼓の躍動感を見事に溶け込ませ、さらにはその上で鶏肉のジブレット(編注:モツ煮込み料理のようなもの)のレシピについて語る女性のヴォイスが延々と被せられている。

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Marcus Intalex:『FABRICLIVE 35』

ドラムンベースとFabricの関係は切っても切れないものだ。DJ Hypeによる『FABLICLIVE 03』(2002年)はFabricが面するクラーケンウェル・ストリートさながらの閉所恐怖症的でダーティな内容だったが、Marcus Intalexによる本作はそうしたドラムンベース特有の性質をより明確かつはっきりと打ち出したものになった。ここではBreakage、Alix Perez、LynxそしてJonny Lによる力作を織り交ぜながら、ディープでリズミックなセレクションの中からドラムンベースならではのメロディ性と音楽性が前面に押し出されている。

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DJ EZ © David Cabrera / Red Bull Content Pool

DJ EZ:『FABRICLIVE 71』

FabricでDJ EZのプレイを体験したことのある人なら、彼がフロア全体を汗漬けの巨大なイワシ缶に変えてしまうことを知っているはずだ。Fabricのフロアをそんな雰囲気で満たすことのできるDJは、彼以外にいない。見事な手さばきを持つUKGのヒーローはこのミックスにおいてUKガラージのクラシック(Little Man、All I Doなど)をチョップしながらそこに真のフレッシュさを織り交ぜ、その才能を遺憾なく発揮している。

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Logan Sama:『FABRICLIVE 83』

グライムDJ界の旗手、Logan SamaはこのFabricミックスを手掛ける際に簡単な道は通ろうとしなかった。彼自身の言葉を借りれば、このMIX CDは「サウンドコラージュ」で、30組を超えるプロデューサーたちによる未発表トラック、さらにはグライム界を代表するMC陣(Wiley、Footsie、Kano)やAJ TraceyおよびJammzなど新進気鋭のMCたちによるアカペラが所狭しと詰め込まれている。これらの収録曲はLogan自身の希望により、インスト版が4枚組ヴァイナルとしてもリリースされた。彼は「グライムのすべてが詰まったこの作品が、どっかのガキに届けばいいなと思ってさ」と簡潔に語っている。

Jackmaster © Håvard Jørstad / Red Bull Content Pool

Jackmaster:『FABRICLIVE 57』

Jackmasterのようなやり方でパーティに火をつけるDJは他にいない。70分間に30曲を詰め込んだこの性急なミックスもまた、その事実を証明している。90年代のダンスクラシック、デトロイト・テクノ、クラシックなUKブリープ、狂乱的なゲットーテックなどを自在に繋ぎ合わせながら、グラスゴーでNumbersを手掛けるこの男は最初から最後まで怖いもの知らずの楽しさを振りまく。Aphex TwinからSkeptaへと繋ぎ、さらにはUnderground ResistanceからThomas Bangalterへと繋ぐなどという芸当をやってのけられるDJは、やはりJackmaster以外には考えられない。

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Caspa & Rusko:『FABRICLIVE 37』

「はたして1枚のMIX CDがそのジャンルの方向性を変えられるのか?」という命題に対して、2007年に発表されたこのCaspa & Ruskoによるミックスは「イエス」と答える。この『FABRICLIVE 37』がリリースされる以前のダブステップといえば、陰鬱かつ都会的で、いかにもロンドン臭いサウンドだった。しかし、ウェストロンドン出身のDJ/プロデューサーであるCaspaとその友人兼コラボレーターにしてリーズ出身のRuskoはそうした従前のイメージを払拭しようと試みた。それまでの地を揺さぶるようなベースはファットでドロドロとしたサウンドに取って代わられ、Guy Ritchie(編注:英国の映画監督)のお気に入りであるAlan Fordによるダーティなヴォイスサンプル — 古典的な4レター・ワード — を交えながら、Ruskoがコックニー訛りのMCを披露するこのミックスは新たなサブジャンル「ブロステップ」が世界に羽ばたいていくであろうことを実感させた。

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