音楽って何?―Kat DeLuna×2WISTED(DJ REN+DJ KM)東京対談

天真爛漫のドミニカン・ディーバKat DeLunaと、彼女の新作にリミックスで参加しているDJ REN&DJ KMからなるプロデュースユニット2WISTEDとの対談が東京で実現!
©Maruo Kono/Red Bull
By Masaak Abe

超ノリノリ、キレキレのダンス、パワフルな歌声。レコードショップではついついファンに話しかけてしまうほどチャーミングなキャラクター。ドミニカの血を引くKat DeLunaは、最もフレンドリーなワールドワイド・ディーバの一人だと言ってよいかもしれない。

そんな彼女が約5年ぶりとなるニューアルバム『LOADING』のリリースに合わせ、ライブツアーで来日。同作国内版に収録されている『What A Night What A Night ft. Jeremih』でリミックスを手掛けたDJ REN(Red Bull Thre3Style 2014 Japan Champion)とDJ KMからなるプロデュースユニット2WISTEDとの対談が東京で実現した。

Kat DeLunaと2WISTEDの組み合わせでは、同じく『LOADING』に収録されている1曲目『Waves』のリミックスが11月4日(金)にiTunesでリリースされた。今回の対談ではその次期リリースについて、そしてKat DeLunaの生い立ちから音楽観的深イイ話まで、たっぷりと語り合ってもらった。

そんな相思相愛?な彼らの、笑いに満ち溢れた対談イン東京、とくとお楽しみあれ。

©Maruo Kono/Red Bull

「きっと私は秋田出身なの。違う?」

2WISTED  さっそくだけど、Katが持つ日本の印象から聞かせてもらえるかな。今回日本に来て、楽しめている?今回が初めてじゃないんだよね。

Kat DeLuna(Kat)  そうね、日本に初めて来たのは2007年か、2008年のとき。日本は私がアーティストとしてクリエイティブになれるという意味では本当に特別な場所で、それは日本のファンに対しても同じことを伝えたい。日本は世界中のあらゆるモノが集まっているっていう感じで、想像を越えた場所なの。今回日本に来られたことも、本当に感謝しているわ。

今回はもちろんアルバムリリースに合わせたライブのために来たわけだけど、沖縄の基地や大阪でライブをして、富士山にも行ったの。私の人生で間違いなく最高の経験の一つになったわ。特に沖縄ではたくさんローカルの”オキナワン”が観に来てくれたの。基地っていう場所で、あんなにリラックスしたショーが出来たなんて、本当に素晴らしいことだと思う。日本に来るたびに、もっと日本にハマりたいって毎回強く思うの。本当よ。

あとね、たまたま道であったオジサンが言うに、きっと私は秋田出身なの。違う?(笑)

DJ REN&DJ KM(2WISTED)  きっと、秋田は美人が多いからだね(笑)。日本を凄く気に入ってくれているみたいで、嬉しいよ。今回の沖縄のショウについて、もう少し聞いてもいいかな?

Kat  もちろん。私のインスタグラムにも写真があるんだけど、すごく面白かったのは、たくさんの男性が自分の奥さんを連れて来ていたっていうトコロね。普通は奥さんが旦那さんを連れてくるものなんだけど、今回のお客さんは「ベイビー、Kat DeLunaを観に行こうよ!」って誘ったっていうコトよ。素敵じゃない?
もしかしたら沖縄にはたくさんのラティーノが居るのかもしれないわね、私もご存知の通りドミニカンをレペゼンしているし。さっきも言ったけど、たくさん地元の人たちが観に来てくれたっていうことに、本当に感動したわ。”オキナワン”よ、日本人じゃないわ。コレ、やっと覚えた言葉なの(笑)。

2WISTED  オキナワンっていうんだね(笑)。沖縄のライブは凄く盛り上がったって聞いているよ。その後の大阪ではVANITYでショウだったんだよね?

Kat  そうね、大阪ではVANITY、それから今週末には六本木のV2でライブをするわ。アルバムリリースのツアーだから何ヶ所か回っているけど、本当にありがたいって思う。今回のアルバム『LOADING』は、私のキャリア上初めて日本のR&Bチャートで1位を取ったの。7日のお昼に日本に着いたんだけど、フライトの間にリリースされて気づいたら1位を取ったなんて、ビックリよね。

2WISTED  ライブでは、今回のアルバムから曲をセレクトしているの?

Kat  うん、でも、新しいのから古いのまで歌っている。その時々によって色々変えたりするけど、今回のV2では新曲を歌うつもり。だからみんな来なくちゃダメ(笑)。

2WISTED  もちろん行く予定だよ、凄く楽しみだね。ちなみに、今回リミックスを手掛けさせてもらった『Waves』は、日本のオーディエンスからとても好かれそうな曲だよね。Katのお気に入りはどの曲なのかな。

Kat  今回のアルバムからは『Forever』、『No Another Me』、そしてこの『Waves』がお気に入り。『Forever』が最初にチャートで1位を獲得して、『Waves』も順調にチャートを上っているの。ワールドワイドにリリースされたしね。『Waves』のミュージックビデオはまだ観ていないんだけど、先週撮影して、もうすぐリリースされる予定よ。

2WISTED  僕らの『Waves』のリミックスについて、率直に感想を聞いてもいいかい。

Kat  まさにアメージングだと思ったわ。リミックスを新しく作ってくれるなんて、全然想像もしていなかった。本当にありがとう。自分たちはどう思っているの?

2WISTED  原曲が素晴らしい完成度だから、それに負けないようなリミックスを作ろうってことで、すごくプレッシャーを感じたよ(笑)。原曲の『Waves』を手掛けたクリントン・スパークスは大好きなプロデューサーだし、彼も僕らと一緒でDJ出身のトッププロデューサーだから、彼の作品には常に興味があるし勉強になるアーティストなんだ。

「たくさんのアーティストがラテンのスタイルをやっているけど、私のアプローチは少し違うと思っている」

2WISTED  今回沖縄や大阪でライブをやってみて、アメリカとの違いっていうのは結構感じたりした?

Kat  うん、とても大きな違いを感じるわ。日本のファンはフィジカルな体験、つまりCDとしてのアルバムだったり生のライブだったり、そういう手に取ったり足を運んだりすることに、より価値を見出してくれていると思うの。

でもアメリカのファンに対しては、一種の説得をしなくちゃいけないっていう感じかな。彼らのメンタリティって「曲を買うために何処かにわざわざ行かなくちゃいけないのかい?」みたいな感じなの。アメリカのオーディエンスはたくさんの選択肢を持っているから。だからこそ、センスがいい日本のファンとコミュニケーションを取れるっていうことに、とても感謝しているわ。

2WISTED  それはきっと、Katのパフォーマンスが秀でているからだと思うよ。

Kat  日本に限らず、フランスでもスウェーデンでもアフリカでも、お客さんのバイブスを全開で引き出すように務めているし、そこに付いて来てくれるお客さんがスゴく好きなの。

2WISTED  そのパフォーマンス力っていうのは、Katが小さい頃からずっと積み重ねてきた故に身についているものでもあるよね。

Kat  きっとそうね。変な話、3歳の頃に人前でパフォーマンスをし始めて、12歳くらいのときにはもう大物のサルサ歌手、例えばマーク・アンソニーといったビッグアーティストの前座をしていたし、テレビにも出ていたし、恐れるっていう感情を抱いたことがないの。

2WISTED  なるほどね。さっき触れてくれたけど、今回のアルバムで特に思い入れがある曲はどのトラックかな?

Kat  さっきの3曲の他には、『Make Me Sweat』もイイわよ、ラテンの熱があるの。あ、あと『Get Away』も。今まで色んなスタイルの曲をやってきたけど、この『Get Away』みたいな、息づかいがあってセクシーなベッドルームソングは初めてなの。うん、お気に入りよ。

2WISTED  この曲はいいよね。僕らも一番好きかも。静かな曲で、さっきもちょうど聞いていたんだよ。例えば『Make Me Sweat』のように、ラテンフレイバーを入れ込もうとは常に意識しているの?

Kat  ノーね。色んな音楽スタイルを試したいし、実験したいって思っているから。でも、ラテンの音楽は、今日のKat DeLunaを形作った音楽であると思っているし、ラテンの音楽に対して誠実であるコトは、私にとってスゴく大切なの。ポップスの世界にラテンのビートを持ってきた一人が自分だって言う自覚もあるし、かつてのポップスには無かったものよ。

2WISTED  ラテンは自分の中で、あくまで根底にあるものなんだね。

Kat  そうね、でも、ラテンに限らず、全てがエネルギーの根源よ。たくさんのアーティストがラテンのスタイルをやっているけど、私のアプローチは少し違うと思っている。私のやり方は、私にしか出来ないやり方。私の声やリフは他とはっきり違うものだと思っているし、自分だけのサウンドだって自覚しているわ。

2WISTED  なるほどね…。

Kat  何か、マジメね!?(笑)

2WISTED  いや、っていうのもDJを始めたときからKatの『Whine Up』とかはよくかけていたし、ちょっと緊張しちゃうよ(笑)。そうだね、最近のアメリカでの活動について聞いてもいいかな。

Kat  うん、かなりアクティブに、積極的に活動している。基本的にずっとスタジオで作曲しているし、それ以外でも色んな写真撮影をしたりしているわ。毎日何かしらやらなければいけないコトがあるし、基本的にはずっと何かをクリエイトしている感じ。すべてがステージ上である必要は無いし、ステージの裏で色々やるコトも、とても重要だと思っているわ。

この3〜4年、自分のキャリアにとって本当に色んなコトが起きたの。いわゆる政治的な大人の事情もあったし、色々なことを整理しなければならなかった。辛(つら)いとは言いたくないけれど、チャレンジだった。でも、全てを吸収してきたの。その時間が、自分の音楽をも組み立て直す期間になったと思っているし、音楽のスタイルも変わったわ。ヒップホップからR&Bまで、色んなジャンルを実験している感じよ。あと、自分自身のイメージを塗り替えようとしているかも。見た目的にもね。今日もイイ感じでしょ?(笑)
 

©Maruo Kono/Red Bull

「音楽は本来、内面で感じ取る何かよね」

2WISTED  アルバムを聴いてみて、最近のトラップ・スタイルが入れられていなかったと思うんだけど、それは意図があったのかな。

Kat  そうね、トレンドが好きじゃないからかも。みんな、自分の音色に対してオーセンティックなものと共にあるべきだし、クリエイティブであるべきでしょ。トレンドよりも、もっと別なことが出来るんじゃないかって思っているわ。

2WISTED  普通入れそうなものだけど、逆にスゴいなって思ったよ。そんなKatが、もともと音楽に出会ったキッカケを少し詳しく教えてくれるかな。

Kat  ドミニカやニュージャージーで育ったんだけど、ニュージャージーはアメリカで一番クレイジーな街の一つなの。生まれはヒップホップ発祥の地であるブロンクスだし、私が育つ環境で色々な音楽に触れ合うのはごく自然な流れだったわ。アメリカの音楽以外に、ラテンのアーバンミュージックもあった。ポップスも、ポップスだとは知らないうちに自分の中に入っていったかな。ボデガ(ラテン系住民が経営する小店)からはラテンの音楽が流れてくる一方で、街ではNotorious B.I.Gなんかも流れてくるわけ。だから、なんというか、自分のスタイルはあるけれど、ワールドワイド・ポップミュージックっていう感じかもしれない。

ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカット、フィラデルフィア、そのあたりはそういうミックスがあるの。まさに音楽のメルティング・ポットっていう感じ。だから、音楽やダンスの世界で生きるなら、これらの街に絶対行かなくちゃダメ。テクノロジーなら東京に行かなくちゃダメなのと同じよ。

あと、通っていた高校の生徒がほとんどアフリカ系だったっていうのもあるかも。だからといって彼らが全員ヒップホップだけを聴いていたっていうわけでもなくて、みんな何でも聴いていたのよ。

2WISTED  まさに、音楽が生活の一部って言う感じだよね。

Kat  音楽は本来、内面で感じ取る何かよね。それを才能ある人達が見つけて、外の形にしているっていうだけに過ぎないんじゃないかしら。

ジャズもクラシックも、とにかく色んな曲を聴いて育ったけど、TOP 40は聴かないわね。ラジオの収録に行っても、流れている曲名がわからないの(笑)。TOP 40は今ホットな曲たちだけど、私はそれらをインスパイアした音楽を聴きたいの。全てのルーツをね。それが、新しいモノをクリエイトする手段かな。

2WISTED  色んなジャンルを聴くっていうことで言うと、僕(REN)が優勝したRed Bull Thr3e Styleは3つのジャンルを15分でプレイしないといけないルールなんだけど、どうしても偏りがちなんだよね。Katのように、それだけ色んな音楽を深く幅広く聴いて、色んな音楽をアウトプット出来るっていうのは凄いことだと思うよ。

Kat  ラティーノであるってことは、そういうことなのよ。みんなそうしているの。例えばドミニカでは皆、アフリカ系の人、スペイン系の人、色んなコミュニティに囲まれて生きているわけ。だから耳が自然と開かれていくの、子供のうちにね。あと、ドミニカには、アジアとか日本が好きな人ってスゴく多いの。全てのことに夢中になれるっていうのがラテンの人たちよ。自分たちの文化だけに目を向けないで、色んなモノを試すってこと。だから日本の男のコと結婚するのも全然アリなの(笑)。

©Maruo Kono/Red Bull

「歌手以外のキャリアは、人生で一度も考えたことがないわ」

2WISTED  ちなみに、日本のアーティストでお気に入りは居るかい?

Kat  ゴメン、あんまり名前は知らないな。もっと覚えなくちゃ。どちらかというと、K-POPのほうが知っているかも。Dragon(G-Dragon)はキュートよね。K-POPと日本の音楽は違うと思うけど、でも、K-POPが大きくなったのは日本で成功したからよね。日本人が聴いたから成功したと思うわ。だからきっと、彼らもJ-POPって呼ばれるべきよね(笑)。

2WISTED  それは新しい視点だなぁ(笑)。最後の質問なんだけど、Katがずっと小さな頃からアーティストとしてやっていて、自分の中で心がけていることや、信念みたいなものを教えてくれるかい。

Kat  そうね、ママが言うには、1歳の頃にはパパに歌を聴かせたがっていたみたいだし、3歳の頃には今みたいに歌えていたってハッキリ覚えている。5歳のときにはオーディションで歌っていたし、物心がついたときには、自分の歌声が人をハッピーに出来るっていうことに気づいていたの。だから、歌手以外のキャリアは、人生で一度も考えたことがないわ。今までも無いし、これからも無いわね。

何かを”学ぶ”とか、”志す”みたいに考えるのが普通かもしれないけど、私は”生まれながらにそうである”って考えているの。高校の願書も、姉妹は4つとかだけど、私は音楽専攻の1つだけ。もし入れなくたって、何かしら音楽のことをやるって決めていたから。子供の頃からずっと同じ夢を追いかけていたの。どんなに楽しそうなパーティでも、タバコの煙があるところには行かなかったわ。

私は生まれてからずっと、やることが決まっている。つまり、音楽で世界をポジティブにするためにココにいる。それが、ずっと変わらない私のメンタリティなのよ。このインタビューが日本のたくさんのファンにまたここへ呼んでもらえることを祈っているわ。君たち2人もあんまりモテすぎないようにね、ハハハ!今日は本当にありがとう。

©Maruo Kono/Red Bull
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