世にも奇妙なミュージックビデオ 10本

バラエティに富んだ奇妙なミュージックビデオを一気に紹介!
© Little Big still
By Lauren Murphy

 アーティストたちが楽曲のプロモーション用のために1970年代頃から作り始めたミュージックビデオはまだ比較的新しいコンセプトだが、平均3~4分という短い時間の中に感動的なストーリーや感情を凝縮して表現していることも多く、優秀なアートフォームとしての位置を築いている。

しかし、その様々な芸術的作品や美しいクリエイションの中には、かなり不気味で異様な、薄気味の悪いものも存在する。ここではその中から特に奇妙に思える10本を紹介するが、そひとつ警告しておく。というのも、NSFW(Not Safe For Workの略)、つまり職場や公共の場所などでの閲覧には不適切な作品や、就寝前に見てしまえば、電気を消したくないと思ってしまうような作品も含まれているからだ。

1. Aphex Twin「Windowlicker」

 視覚的要素と悪夢的要素が全開の作品と言えば、Aphex Twin、厳密に言えば長期に渡り彼と組んできた映像作家Chris Cunninghamの作品が筆頭に挙げられる。Richard D. James(Aphex Twinの本名)の「Windowlicker」のミュージックビデオは、売春婦をナンパする口の悪いギャングスター気取りの2人組を乗せた車が、とてつもなく長いストレッチリムジンに押し出されるシーンからスタートする。

不気味になっていくのはここからだ。リムジンの中からAphex Twinが現れ、突然Michael Jackson風のダンスを始めたかと思うと、それを見た売春婦たちが彼にまとわりつき、その後さらに異様なシーンが展開されていく。Aphex Twinの顔をした不気味なビキニモデルが悪夢をもたらすだろう。

2. Girl Band「Paul」

 この素晴らしいミュージックビデオを見れば分かるように、ダブリン出身のバンドGirl Bandは、型破りな異色の4ピースロックバンドだ。このミュージックビデオは疲れ切ったキッズ番組の役者が豚の着ぐるみを着させられる場面からスタートするが、その役者が同僚の出演者に対して怒りを爆発させると、予想外の展開を迎える。英国人作家ジョージ・オーウェルの小説『動物農場』が7分間に凝縮されたかのようなこのミュージックビデオは、楽曲の持つ怒りと無調なニヒリズムにピッタリとはまっている。

3. Little Big 「Hateful Love」

 皿にのった切断された手… ロッキングホースとして使われる裸の女性たち… 肉の塊で作られたグロテスクなスケートボード…。サンクトペテルブルクのエレクトロウェーブバンド、Little Bigの風変わりな曲「Hateful Love」のミュージックビデオの中には、それら全てが登場する。『VICE』誌は彼らを「南アフリカのレイブバンドDie Antwoordへのロシア人精神病患者からの回答」と表現していたが、これが全てを物語っている。

4. UNKLE 「Rabbit In Your Headlights」

 このミュージックビデオは、車が忙しく行き交うトンネルをひとり男が歩いているシーンからスタートする。彼は何度も車に轢かれては起き上がり、何かを呟きながら歩き続ける。Jonathan Glazerが制作したこのミュージックビデオは、はじめは物悲しい空気が漂っているように見える。精神病について書かれたメランコリーな論文のようだ。しかし、男は傷だらけの身体から服を剥ぎ取り歩き続けるうちに、自分の真の能力に気づき、衝撃的なクライマックスを生み出す。

5. Aphex Twin 「Come To Daddy」

 これはRichard D. JamesとChris Cunnihnghamによるもうひとつの “宝石” (そう呼びたいならば)だ。「Come to Daddy」のミュージックビデオは、荒れ果てた団地の中で犬を散歩させる老女が、壊れたテレビを偶然発見するところから始まる。そしてそのテレビの画面に突如Aphex Twinの歪んだ顔が映し出されたかと思うと、髭面のAphex Twinの顔をした少女や幼い子供たちが、いやらしい目つきでニヤつきながら団地の中を暴れ回り、パンドラの箱を開けたかのように異様な事態が起こっていく。そして、その一連のシーンの後には、恐怖におののく老女に向かって叫び声を浴びせる巨大な頭の悪魔のような生物が現れる不気味なシーンも用意されている。 身震いせずにはいられない作品だ。

6. Basement Jaxx 「Where's Your Head At?」

 このミュージックは、一見どこにでもあるような動物実験施設からスタートするが、気忙しいレコード会社の社員が招き入れられ、「最新のポップミュージック」を聴かせられることになる。そして、猿たちがそこに姿を現し、各々の楽器を手にするのだが、何かがおかしい。そう、彼らは人間の顔、より正確に言えば、Basement Jaxxのメンバーの顔をしているのだ。そして、動物と人間の異種交配実験の秘密が明らかになると、事態は更に恐ろしい展開を迎える…。果たしてその社員は脱出できるのだろうか? ミュージックビデオを見て確認するしかない。

7. Flying Lotus 「Parisian Goldfish」

 このミュージックビデオはNSFW100%なのだが、Flying Lotusの他のミュージックビデオを知っている人なら、何が待っているかは予想が付くだろう。シュールレアリズムのコメディデュオTim & EricのEric Wareheimによって制作されたこの作品は、カラフルでド派手なスクリーンの中で男女が踊るという節度をわきまえたシーンから始まるが、次第にそれが発展していく…。最初に言っておくが、これは基本的にはアダルトビデオだ。実際に見ればわかるだろうが、あるシーンは聖水で目を洗っても、ピュアな子供向けアニメを見ても、目に焼き付いたまま離れないだろう。

8. Björk 「Human Behaviour」

 Björkのミュージックビデオの多くは、今回のリストに入っていてもおかしくなかったが、その中でも、彼女のそのような作品の中で、そしてMichel Gondry監督とのコラボレーション作品の中で、ひときわ目を引く作品が「Human Behaviour」 だ。1993年にリリースされたこの曲は、人間と動物の関係性を動物の視点から語ろうとした作品だ。Björkは英国童話「ゴルディロックスと3匹のくま」に出てくるようなキャラクターとして登場し、森の中を熊に追いかけられ月へと飛んで行く。そして再び月から地上へ落ち、熊の腹の中へと吸い込まれたあとも、彼女は歌い続ける。他の9本に比べるとスタンダードな内容だ。

9. Soundgarden 「Black Hole Sun」

 1994年にリリースされたこの不気味なミュージックビデオは、それ以降に制作された奇妙なミュージックビデオの基準となった1本だ。終焉を迎えた文明社会の中で、恐ろしい表情をした人々がバービー人形をBBQの網で焦がしたり、ゴキブリを拷問にかけたりする。ミュージックビデオの最後にグルグルと旋回するブラックホールの渦にその全員が吸い込まれていくことがせめてもの救いだ。

10. Fever Ray 「If I Had A Heart」

 非常に独特な雰囲気を持つこのミュージックビデオは、不気味だが曲にパーフェクトにマッチしている作品の好例だ。2人の子供が船に乗って不気味な雰囲気の屋敷へ渡ると、その屋敷の干からびた屋外プールには死体が散らばっている。しかも、屋敷内に入れば、血に染まったカーペットや、見張りをしている奇妙なマスクを被った男が確認できる。やがて船はこの屋敷を発つのだが、なぜ子供たちを置き去りにしたのだろうか? この屋敷は2人の家なのだろうか? それとも2人は見捨てられたのだろうか? このミニホラー映画を見れば、そのような答えの出ない多くの疑問が浮かび上がり、骨の髄まで凍りつくことになるだろう。

 

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