スノーボードは、いつどこで産まれたのか

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.2
By 野上大介

スノーボードの誕生秘話

1960年代に産声をあげたとされるスノーボードだが、その起源における諸説はさまざまだ。一般的には1965年、アメリカのシャーマン・ポッペン氏が娘へのクリスマスプレゼントとして子供用のスキーを2本のボルトで留めて作ったことを契機に、ボウリングを事業としていたBRUNSWICK社から子供用の遊具として販売されたSNURFER(スナーファー: SNOWとSURFERの複合語)とされている。

スノーボードの原型「SNURFER」
スノーボードの原型「SNURFER」

【写真】以前、アメリカ・バーモント州に位置するBURTON本社を訪れた際に撮影した写真。そこで展示されていたスノーボードの原型と言われている「SNURFER」。ノーズに穴を空けて通したロープを持って舵を取る、という滑り方だった

 

しかし、1963年に同じくアメリカで、後のSIMS創設者となるトム・シムス氏が13歳のとき、木工製作の授業で単板の底に滑走材となるブリキを貼りつけてオリジナルのボードを作ったことが起源、とも言われている。

そして70年代に入ると、あらゆる地でスノーボードの開発が進められていった。最古のボードブランドと言われているWINTER STICKは、1972年にデミトリア・ミロビッチ氏によってアメリカ・ユタ州で設立され、1976年には、アメリカ・カリフォルニア州にて前出のシムス氏によりSIMS SNOWBOARDSがローンチ。そして、14歳の頃にSNURFERからインスピレーションを得たジェイク・バートン氏は1977年、地元アメリカ・バーモント州にてJAKE BURTON SNOWBOARD(現BURTON)を立ち上げた。

「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」10月号の誌面
「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」10月号の誌面

【写真】1970年代のジェイク・バートン氏の貴重なライディング写真を掲載した弊誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」10月号の誌面

 

さらに、この流れはアメリカだけにとどまらなかった。1971年にMOSS SNOWBOARDSの創始者・田沼進三氏が、サーフボードのウレタンフォームとグラスファイバーを使用したプロトタイプとなるボードを製作し、新潟・妙高高原赤倉で試乗していたのだ。それから1979年には、世界初となる固定式ハードバインディングを装備したMOSS SNOWSTICKの販売を開始。ユタ州、カリフォルニア州、バーモント州、そして日本にて、各々が情報を共有することもなく、独自に開発を進めていたというのだから面白い。

このように、当時のボードにはフィンが付いていたり、深雪が滑走条件であったり、バインディングがなかったため舵を取るためのロープが装備されるなど、雪上でのサーフィンを想定してスノーボードは生まれたわけだ。ボード形状も現在とは異なり、サーフボードのそれを彷彿とさせるもの。補足しておくと、当時はスノーボードと呼称されていなかった。後に北米スノーボード協会が発足した際、「スノーボード」という名称が誕生。それまでは、スノーサーフィンと呼ばれていたようだ。

面白い動画を発見。これがリアルなスノーサーフィンだろう。

 

前回の記事でも触れているが、ニュースクール・ムーブメントがスノーボードを一大産業へと押し上げた原動力であり、それはスケートボードからの影響を大いに受けたものだった。そして現在、日本を含めたベテランスノーボーダーを中心に確立しつつある、スノーサーフィンという潮流。また、一部のマニア層から絶大なる支持を受けている「雪板」という文化。これは、自ら木を削り、ノーバインディングでパウダーを滑るという遊びだ。そう、まさに原点回帰と言えるのではないか。プロダクトやライディングが進化を続ける一方で、このようなムーブメントが生まれている現在のスノーボードシーン。

現代スノーボーディングを紐解いていくうえで、サーフィンとスケートボードとの関係性も含めて探っていく必要がありそうだ。

つづく

 

国内No.1スノーボード情報サイト「TRANSWORLD WEB」をチェック!

────────────────────

野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

Next Story