トリック解説 Part2:ハーフパイプ

アーティスティックなハーフパイプ。そのトリック名にはルールがある。そのルールを簡単に説明する。
Burton US Openハーフパイプ © Zach Hooper/Red Bull Content Pool
By Jason Horton

 Burton US Openが開幕する。今回は開幕を記念して、ハーフパイプの代表的なトリックを紹介する。

まず簡単にハーフパイプの歴史を説明しよう。ハーフパイプはスケーターたちのランプのセッションをスノーボードでも楽しみたいという思いから生まれたため、スケートボードのトリックやスタイルが基本となっている。しかし、ビンディングでボードに固定されるため、ライダーはスケートボードでは不可能だったスピンとフリップがメイクできるようになっており、ハーフパイプの進化と共にアクロバティックなトリックが増えてきている。

ジャッジはシンプルでスタイリッシュなスケートボードのトリックの美しさと、アクロバティックで複雑なトリックのテクニカルな部分を採点していく。ライダーはトリックをメイクする際にスケートボードのようにグラブをすることが求められるが、スケートボードほどグラブに実用性はない。

Part1で解説したスロープスタイルと同様、ハーフパイプの各トリックも1)レギュラー/スイッチ、フロントサイド/バックサイド、2)グラブ、3)回転数の3項目で構成されている。

時間があればすべてのトリックを紹介したいが、今回はその中からスロープスタイルの代表的なトリックをピックアップし、トップライダーたちの映像クリップと共に紹介する。

テイラー・ゴールド – メソッドエア

テイラー・ゴールド(メソッドエア) © Burton

 メソッドエアは3通りに解説できる。1)バックサイド・ウォールでバックサイドグラブをし、ボードをライダーの背中側に高く引き上げるストレートエア。2)1980年代にトップスケーター、ニール・ブレンダーが考案。ボードを高く引き上げることでエアの迫力を増すという手法が、ブレンダーの「メソッド」であったためこう名付けられた。3)メソッドエアはスノーボーダーの間では自分のスタイルを定義づけるトリックとして考えられている。メイクできるようになるまでは練習が必要だが、一度出来るようになればこれほど見栄えがよく、且つ爽快に感じられるトリックはない。


ケラルト・カステリェト – バックサイド540ミュート

ケラルト・カステリェト(バックサイド540ミュート) © Burton

 ハーフパイプとスロープスタイルの回転数の数え方の違いは、パイプではストレートエアを180度の回転としてカウントするが、スロープスタイルのジャンプではストレートエアはカウントされないという点だ。つまり、ハーフパイプではストレートエアからトリックをメイクすれば、どんなトリックであっても自動的に最後に180がプラスされることになる。この映像では、ケラルト・カステリェトがバックサイド・ウォールにフォワード(レギュラー)で飛び出し、1回転してレギュラーで戻ってきているので、バックサイド540となる。


クロエ・キム – キャブ720ステールフィッシュ

クロエ・キム(キャブ720ステールフィッシュ) © Burton

 Part1のスロープスタイルで解説したように、ライダーがスイッチでフロントサイドの回転を行う場合は「キャブ」になる。ちなみにこの名前はこのトリックを考案したスティーブ・キャバレロの名前にちなんでいる。この映像ではクロエ・キムがテール側の手でヒールの後ろのボードをグラブしているため、「ステールフィッシュグラブ」となり、続けて1回転半して戻っているため、キャブ720ステールフィッシュとなる。


平岡卓 – フロントサイド・ダブルコーク・リエン1080

平岡卓(フロントサイド・ダブルコーク・リエン1080) © Burton

 「コーク」についてもPart1のスロープスタイルで解説したが、もう一度解説しておくと、コークとは基本的にライダーがスピンとフリップを同時に行うトリックだ。US Openで表彰台を狙うには最低1度はコーク系を入れる必要があるが、平岡卓は映像で確認できるように見事にこのトリックを成功させて昨年のUS Openで2位に入った。この映像のグラブをフロントダブ10メロンだと考える人もいるが、フロントサイドのエアでヒール側のエッジをフロント側の手でグラブするのは、リエングラブと呼ばれる。これも1980年代のスケーター、ニール・ブレンダーが考案した(リエンとは、Lienでニール・ブレンダーのNeilを逆に読んだもの)。

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