BURTON US OPEN 2015 開幕!

”スノーボードの祭典”その見どころを野上大介が語る
By 野上大介

BURTON US OPEN 2015 ライブストリーミングはこちら!

世界最大級のスノーボードの祭典として全世界のスノーボーダーが注目する「BURTON US OPEN」。今年も3月2日に開幕したこのワールドワイドコンペティションのファイナルはRed Bull TVでライブ配信されるが、そもそも「BURTON US OPEN」とはどんな大会なのか? そして今年は、どこに注目すべきなのか? その見どころと有力選手の動向を、RedBull.COMでもコラム「SNOWBOARDING IS MY LIFE」を好評連載中の、雑誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」野上大介編集長に語ってもらった。

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いよいよ伝統の一戦「BURTON US OPEN」決勝の幕が切って落とされる。

1982年に「NATIONAL SNOWBOARDING CHAMPIONSHIPS」としてスタートした同大会。1985年からUS OPENに改名され、1988年にはハーフパイプ種目が追加された。以降、スノーボード界では事実上の頂上決戦の舞台として認知されている世界最高峰のコンテストだ。現在では、世界中で開催されているもっとも権威ある国際スノーボード大会「WORLD SNOWBOARD TOUR(WST)」の最高ランクであるWST PRO SERIESに位置づけられていることからも、先に述べたことを裏づけている。

過去にはアルペンのレース系種目、ビッグエア、ボーダークロス(現スノーボードクロス)、クォーターパイプなども行われており、スロープスタイルは2002年からスタート。それらを踏まえると、28回目となるハーフパイプ競技がUS OPENのクライマックスとなる。

そのハーフパイプでは、現スノーボードシーンの礎を築いたとされる伝説のライダー、クレイグ・ケリーが1989、90年に連覇を果たし、そのクレイグのスタイルを継承した“生ける伝説”と称されるテリエ・ハーカンセンは1992、1993、1995年に優勝している。その1995年の同大会には、当時8歳だったショーン・ホワイトが前走で出場していたという裏話も。その後、絶対王者として君臨するショーンは、ダニー・キャスと肩を並べて最多となる5回もの優勝を飾っている。

また、コラム「SNOWBOARDING IS MY LIFE」Vol.13でも触れたが、FIS(国際スキー連盟)との確執により、1998年の長野五輪より正式種目として採用されたハーフパイプ競技への参戦をテリエがボイコット。結果、長野五輪ではスイスのジャン・シメンが金メダルを獲得するのだが、その翌月に開催されたUS OPENでは決勝に残ることさえできず、オリンピックとのレベルの格差を世界中に知らしめる格好となった。

日本人ライダーの活躍としては、2003年、当時14歳だった國母和宏が特大のマックツイストなど高さのある演技を披露して2位となり、世界中にその名を知らしめることとなった。さらに、バンクーバー五輪では世界中からも揶揄された“腰パン騒動”のなか8位と精彩を欠いたわけだが、同年のUS OPENでは堂々の優勝。翌2011年、日本では東日本大震災により日本中がパニックに陥っていた翌日、その事実を知ったうえで國母は2連覇を果たした。そのときのウイニングランで両手を天にかざしながらボトムを直滑降する姿は、日本中に勇気を与えただけでなく、世界中のスノーボーダーの心に焼きついたことだろう。

そして2013年。國母の愛弟子ともいえる平野歩夢が、偶然なのか必然なのか、國母と同じく14歳にして2位に輝いた。翌年のソチ五輪で銀メダル獲得後の同大会を平野は欠場したものの、同じく銅メダルを獲得した平岡卓が2位となり、これまで平野の影に隠れていた感もあった平岡が改めて、世界中にその名を轟かすこととなったのだ。

このように、これまでも数々のドラマがあった。

34回目となる今大会、注目は2011年の國母以来、ハーフパイプ種目で日本人ライダーが優勝できるかどうかだ。すでにセミファイナルは終わっており、平岡は6位、平野が8位でそれぞれファイナル進出。セミファイナルで平岡はフロントサイド1260を、平野はキャブ・ダブルコーク1440(YOLO FLIP)やアーリーウープ720などを温存してのランだっただけに、この通過順位はまったく参考にならない。

対抗馬としては、X GAMESで2連覇中のダニー・デイビス(アメリカ)が挙げられる。セミファイナルは7位で通過したものの、彼もまだまだ出し切っていない滑りだったため、バックサイド720や全体の完成度を高めてきたとき、もっとも高い壁となるかもしれない。1位通過したベン・ファーガソン(アメリカ)はエアも完成度も高い滑りを披露して89.24ポイントをマークしていたため、前述の3名がベストルーティンを決めれば、90ポイント中盤くらいの争いになるだろう。もちろん、ソチ五輪金メダリストのイウーリ・ポドラチコフ(スイス)や、前年度チャンピオンであるテイラー・ゴールド(アメリカ)も参戦する。

ハーフパイプ女子は、さる1月に行われたX GAMESで世界中を驚嘆させるルーティンを成功させ、表彰台の中央を射止めた弱冠14歳のクロエ・キム(アメリカ)と、同大会で7回の優勝を誇る女王、ケリー・クラーク(アメリカ)との一騎打ちになると予想される。日本からは大江光が決勝へコマを進めたが、得意技のバックサイド900を引っさげてどこまで食い込めるかに注目したい。

スロープスタイル男子は悪天候によりセミファイナルが延期となったため、日本時間の今日深夜未明から明け方にかけて、ファイナルまでが一気に行われる予定だ。注目はもちろん、3連覇がかかっているマーク・マクモリス(カナダ)。ソチ五輪ではアバラを負傷した状態ながら銅メダルに輝き、先日行われたX GAMESでは、スロープスタイルとビッグエアで2冠を獲得。そのマークの3連覇を阻むべく挑むのは、ステール・サンドベックやトースタイン・ホーグモを筆頭とした、スロープスタイルの強豪国・ノルウェーだ。また、マークと同じくカナダのマックス・パロットやセバスチャン・トータントらも本来の力を発揮できれば、優勝争いに絡んでくる可能性もある。

加えて、AIR + STYLEのロサンゼルス大会で並みいる強豪を抑えて優勝した角野友基を忘れてはならない。ビッグエア種目を得意とする角野だが、カリフォルニア州マンモスマウンテンで行われたUS GRAND PRIXのスロープスタイルで2位に入るなど調子を上げているだけに、課題のジブセクションを攻略できれば優勝争いに食い込むことも十分にあり得る。期待したい。

スロープスタイル女子はすでにセミファイナルを終えていて、初出場となった藤森由香は1本目のキッカーで負傷してしまったため2本目を棄権し、涙を呑む結果に。前回覇者のジェイミー・アンダーソン(アメリカ)が有力ではあるが、X GAMESで女性初となるバックサイド900をメイクしたスペンサー・オブライエン(カナダ)が、どこまで完成度を上げてきているかがカギとなるだろう。

昨年のソチ五輪におけるスノーボーダーたちの活躍により、今シーズンは日本のお茶の間にライディング映像が溢れかえった。テレビ東京が放映したFISスノーボード世界選手権しかり、TBSが放送したX GAMESしかり。これまでもオリンピック種目としてのスノーボード競技はテレビ放送されてきたわけだが、それは4年に一度の決まり事だった。しかし、今シーズンはそのオリンピックを考えるともっとも準備期間が長い=もっとも盛り上がりに欠ける年であるにも関わらず、世間から大きな注目を集めるまでになった。

だからこそ、この伝統の一戦であるUS OPENの存在や価値を、ひとりでも多くの人に知ってほしい。そして観て、感じてほしい。

日本人ライダーが世界の頂に立つ瞬間を、お見逃しなく。

 

<BURTON US OPEN WEB生配信(日本時間)>

3月6日 24:30~ スロープスタイル女子決勝

3月7日 5:45~  スロープスタイル男子決勝

3月8日 3:00~ ハーフパイプ女子決勝

3月8日 5:45~ ハーフパイプ男子決勝

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