日本のバックカントリーに挑んだマーカス・クリーブランド

トップライダー、イーロ・エッタラの指導のもと、マーカス・クリーブランドが日本のバックカントリーに挑戦した様子を同行した映像作家が振り返る。
Marcus Kleveland Goes Big in the Japan Backcountry © Markus Fischer
By Markus Fischer

僕がマーカス・クリーブランドを初めて見たのは2012年のBurton European Openだった。クリーブランドは当時まだ12歳で、あの歳であのスタイルを確立させていた彼には本当に驚かされた。当然、その前から彼の噂は聞いていたが、話を聞くのと実際に見るのは違った。結局その日は12位で終えた彼だったが、翌年はジュニア・スロープスタイルで見事優勝を果たした。

そして同年、彼は13歳でトリプルコークのメイクにも成功した。

日本のバックカントリーに挑戦 © Markus Fischer

しかし、パークのライディングが上手いライダーがバックカントリーも上手いとは限らない。僕はワールドクラスのライダーがパウダーに苦しむ姿はこれまでに何度も見てきた。バックカントリーはすべてが異なる。スポット探しや数時間のハイク、またジャンプの設置や未踏のパウダーへの着地は、通常のパークでのライディングの正反対と言っても良い。

そのため、パウダーに初めて挑む場合はベテランのバックカントリーライダーと行動を共にして、簡単に楽しめる地形や様々なスポットを教えてもらった方が良い。

そこで今回はレジェンドライダー、イーロ・エッタラとヘイキ・ソーサがマーカスを日本へ連れて行き、バックカントリーの手ほどきをすることになった。

テイクオフを確認するマーカスとイーロ © Markus Fischer

数週間後、北海道・旭岳に到着した僕たちを待っていたのは巨大なステップダウンだった。これはバックカントリー初心者にとっては難易度の高いものだったが、イーロは誰よりもスポットを熟知しているライダーであり、ここはホテルから短時間で行ける距離にあった。

恐怖と興奮を同時に感じていたマーカスに対し、イーロがテイクオフのやり方や、滞空時のポジション、着地、必要なスピードなど教えると、マーカスは数回のチャレンジのあと、易々とバックサイド360をメイクした。

見事な着地? © Markus Fischer

次の数日間でマーカスは次第に自信をつけていき、自分でスポットを見つけ、イーロやヘイキのアドバイスなくトリックのメイクに挑んでいくようになった。マーカスの軽快なスタイルはパウダーとマッチしており、ハイクこそやや苦労していたが、彼はほぼすべてのジャンプを完ぺきにこなし、初の本格的なバックカントリーを楽しんでいた。

僕たちは毎朝マーカスにひとつのトリックを課題として与えた。トリックを無事メイクすれば問題ないが、ミスをすれば、翌日の朝食は僕たちが用意したものを取らなければならないというルールだった。日本人が提供する食事の細やかさに感動していた彼が、毎朝必死にトリックのメイクに挑んだのは簡単に想像できるだろう。

キャブ540アンダーフリップ © Markus Fischer

最終日に最高のバックサイド720・タックニーをメイクした後、僕が彼にもっとクレイジーなトリックをメイクする気があるかどうか訊ねてみると、彼はバックフリップに挑戦したいと言ってきた。バックフリップは僕が想像していたトリックとは少し違ったが、本人が疲労していたことを考えると仕方がなかった。そして彼は最高にレイドバックしたスタイルでバックフリップをメイクしてくれた。そのスタイルはマーカスのスノーボードに対する考えが見事に反映されたものだった。彼はクレイジーなトリックをメイクできる才能の持ち主だが、決してシリアスになりすぎない。常に楽しさを大事にするライダーだ。

今回のトリップで彼の未来は更に明るくなった。15歳の彼はたった数日でフリースタイルの最後の難関パウダーを自分のものにした。今後、マーカスにはシーズン中にこのようなバックカントリーを数回訪れてもらい、素晴らしい映像を残してもらえればと思う。本当に素晴らしいライディングだった。

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