クアッドコークをメイクした男:ビリー・モーガン

世界初のクアッドコーク1800を成功させたビリー・モーガンを紹介する。
ビリー・モーガン © Garth Milan
By Jason Horton

つい先日までクアッドコーク1800(横4回転、縦5回転)は、目覚ましいスピードでトリックが進化しているスノーボードシーンにおいて、次に実現可能なトリックのひとつとして認識されているだけだった。

しかし、このトリックは今や現実のものとなった。英国人スノーボーダー、ビリー・モーガンがイタリア・リヴィーニョに設営されたクアッドコーク専用のジャンプで正式に世界初のメイクに成功したのだ。しかし、ビリー・モーガンとはいったい誰なのか? そしてこの成功はスノーボードシーンで何を意味するのだろうか?

モーガンは英国・サウサンプトン出身のウィットに富んだシャイな自信家で、14歳から地元の人工芝のスロープでスノーボードをスタートさせた。体操競技の経験を持つモーガンには強いフィジカルと空間把握能力が既に備わっており、フリースタイルに最初から適応できたため、あとは実際に雪の上でのボードのコントロールを学ぶだけだった。2010年までにBritish Big Airを複数回制したモーガンは、2011年12月には 世界初のトリプルバックサイドロデオ1260をメイクして大きな話題となり、当時まだ数人しかいなかったトリプルがメイクできるライダーのひとりとして認識されるようになった。その後もモーガンはトップレベルのスロープスタイルライダーになるべく、レールとエアのスキルを磨き続け、ソチ五輪には英国代表として出場。見事10位に入った。

ここまでは至って普通の経歴だ。モーガンは何故トリプルからクアッドに挑んだのだろうか?


モーガンのクアッドコークをスローモーションでチェック!

現在モーガンは膝の前十字靱帯の治療中で、近日中に手術を受ける予定だ。こう書くとスノーボードをしてはいけないように聞こえるが、この怪我の長期のリハビリが長年考えていたクアッドに挑戦をしたいという気持ちを強くしたと本人は言う。

「自分が何をしなければならないかは理解していたよ。基本的にはトリプルと一緒なんだ。ただ滞空時間をもう少し長くしなきゃいけない。だからトリックをどうメイクするかというよりも、長く飛べるジャンプを見つけることが問題だった」

そしてタイミング良く、ヨーロッパ屈指のスノーパークを擁するイタリアのスキーリゾート、リヴィーニョにその長い滞空時間を可能にするジャンプが設営された。クアッド専用として40時間をかけて設営されたこのジャンプは通常のジャンプよりサイズが大きく、クアッドコークに必要な滞空時間(最低でも2.8秒)を可能にする。モーガンはこの未知のジャンプにぶっつけ本番で挑むことになった。

「クアッドコークのためのトレーニングなんて特にしなかった。プールの飛び込み板で練習できれば良かったけれど、滞空時間がとにかく長いから、正確な練習は不可能だった。とにかくやってみるしかなかったんだ」

その結果、モーガンは1回目の挑戦で成功させた。着地はパーフェクトではなかったが、このような挑戦は最初からパーフェクトになることは珍しい。重要なのはメイクしたという事実だ。クアッドコークは現実のものとなったのだ。そしてモーガンや他のライダーたちがこの先時間をかけてこのトリックをパーフェクトなものに仕上げていくだろう。


ビリー・モーガンの写真をチェック!

難しいテクニックが必要とされる新しいトリックが追加されると、「スノーボードのスタイルが失われた」、「危険すぎる」などという批判が必ず起きるが、重要なのは進化しなければ成長はないということだ。つまり、スノーボードにおいて進化は不可避であり、私たちはそれを受け容れるべきなのだ。しかし、今回の成功でついにスノーボードは限界に達したのだろうか? この疑問に対しモーガンは次のように回答した。

「まさか! まだまだ回転数は増やせると思うよ。崖から飛び出せばいいじゃないか。滞空時間さえ長くなれば、限界は突破できると思うよ。そういう挑戦を是非見てみたいね」

つまりクインコークもありえるという話だ。

(自宅では挑戦しないように!)

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