“スタイル”という言葉の真相を探る

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.33
SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.33 © Chris Garrison/Red Bull Content Pool
By 野上大介

当コラムVol.30「スノーボーダーとしての生き方を考える」Vol.31「だからスノーボードは面白い」のテーマとして掲げた、スノーボードの醍醐味である“スタイル”。スノーボーダーの日常会話でも頻繁に用いられるワードだ。あらゆるニュアンスが含まれているため、わかりづらくもあり、時に語弊を生みやすい。編集者という立場上、慎重に使い分けているつもりだが、悩ましい場面も多々ある。そこで今回のコラムでは、この言葉と真剣に向き合ってみようと思う。

まずは、スタイルという言葉を辞書で引いてみた。①体つき。姿。②服飾・頭髪などの型。③建築・美術・音楽などの様式。型。④文章や文学作品の表現形式。特に、文体。⑤個人や集団などに固有の、考え方や行動の仕方……といったように多様な使い方がある。これをスノーボードに置き換えてみると、①使用しない。②ウエアの着こなしやゴーグルのかけ方など。③フリーライドやジビングなどライディングのカテゴリー。④ライディングの表現方法。特に、トリックの形。⑤スノーボードに対する取り組み方や、エリア特有の滑り方など。このように説明できる。

②はファッション、③は滑り方なので、説明は不要だろう。⑤に関しては、縦軸が広い一般スノーボーダーを業界内では、コア・ヘビー・ミドル・ライトのように区分するのだが、どのようなスタンスでスノーボードと接しているのか、ということ。または、各エリアの雪質や山岳地形といった条件を前提とした遊び方などを指すため、どこで、どのようにライディングするかによっても変わってくる。

冒頭で述べた語弊を生みやすい使い方が④だ。例えば「スタイルを入れる」という言い回しを使うスノーボーダーは多いと思うが、この場合は「スタイル=トリックの形」の話なので、“入れる”とは、身体を好みの形にするための動きを指している。それに対して「あの滑り、スタイル出てるよね」……ここで言わんとするスタイルという言葉の意味は特定しづらい。特にライダーから言わせると、スタイルを“入れよう”とするアマチュアと一線を画す意味合いも含まれているのだろうが、スタイルは“滲み出る”と表現されることがある。しかし、スタイルを“入れた”結果としてスタイルが“出た”ともとれる。さらには、入れたとしても出たとしても、人それぞれ好みや趣味が違うのだから、正解も不正解もない。

ということは単純に、カッコいいのかダサいのか、好みなのかそうじゃないのか……それでいいんだと思う。自然にカッコよくできるのか、意識しないとカッコよくできないのか、その違いであり、滲み出てくるものがカッコ悪い場合だってあるはずだ。

と、スタイルについて(持)自論を展開してみたものの、そもそもこの話に興味がない人だって少なくないだろう。スノーボードをスポーツとしてとらえ、カッコよさよりも、高く飛ぶことや多く回すことを優先しているスノーボーダーだっているはずだから。ただし、技術が長けていてもダサいと称されるスノーボーダーもいる。その反対に、テクニックは劣っているのだがカッコいいと評価されるスノーボーダーもいる。人それぞれ好みは異なるので満場一致とはいかないが、数十年かけてスノーボードが成熟していった過程において、このような価値観は生まれたのだ。だからこそ、ライディングする面白さが強調されている反面、優劣を決める際にはわかりづらい側面も持つ。

反感を買うことを覚悟でこの文章を書いたわけだが、これだけは言える。②も③も⑤も、そして④も、すべては自由だということ。ライディングレベルや滑走日数、性別など、一切関係ない。スノーボードのメインストリームである“フリースタイル”という言葉に、そのすべてが集約されているように。

 

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野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

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