ギアの選択はスノーボーダーにとっての最重要ミッション

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.35
SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.35
By 野上大介

早いもので上半期が終わり7月に突入した。これから夏本番を迎えるわけだが、スノーボード専門誌としては2015-16シーズンが開幕する時期でもある。すでにショップには来季ギアが並びはじめているだけに、メディアとしてはうかうかしていられない。そこで今回のコラムでは、スノーボードのギアについて触れていくことにする。

いわゆる“3S”と呼ばれるスケートボードやサーフィンと技術について比較したとき、「スノーボードが一番簡単」という話をよく耳にするのではないだろうか。コンクリートよりも軟らかい雪、波とは違って動くことのない雪面、そして何よりも両足がボードに固定されているため、このように伝播するのだろう(本来これだけでは説明不足なのだが、ここでは割愛させていただく)。しかし言い換えれば、もっともギアに頼れるスポーツであり、もっともギアに左右される遊びなのだ。だからこそギア選びは重要であり、かつ難しい。

さらに言えば、シーズンスポーツなのでモデルチェンジが明確な分、性能だけではなく見た目も重要なファクターとなる。せっかくスタイリッシュなメソッドにトゥイークを入れてソールを見せつけたとしても、「あの板古くね?」なんて後ろ指をさされたくはないはずだから。ファッション性に富んだスポーツだからこそ、あえてこのように言わせていただいた。

もちろん、自らの力をブーツ→バインディング→ボードへと伝達してパフォーマンスを発揮するスノーボードだけに、ギアテクノロジーの進化による上達促進効果は大きい。例えば、今季はボードの購入を考えているとしよう。現在のボード構造は複雑化の一途をたどっているため、キャンバー、ロッカー、フラット、ダブルキャンバー、ダブルロッカー……などのベンド構造(ボードを真横から見たときの形状)を基軸に各社が開発にしのぎを削っているため、ブランド数やモデル数、トーション・フレックスの違いまで含めると、その選択肢は枚挙にいとまがない。しかし、自分が目標とするライディングスタイルに適したボードを選ぶことができれば、そのパフォーマンスは格段に上がると断言できる。バインディング・ブーツの進化も著しく、軽量化や快適性などすべてにおいて、数年前のプロダクトとは比較にならない仕上がりだ。

ウエアに関しても、ストリートカルチャーを出自に持つスノーボードだけに、ひと昔前はリアルデニムやネルシャツなどでライディングするスノーボーダーが多かったのだが、現在では耐水・透湿性を併せ持ったうえで見た目は街着テイストといった商品が溢れている。サンデーボーダーであれば基本的に1セットのウエアでシーズンを過ごすだろうから、一般的なファッションのように滑る度にコーディネートを変えるわけにはいかないが、シーズンごとにトレンドの潮流は移り変わるため、ハードギア以上に買い替え欲求が高いはずだ。

加えて進化が目覚ましいプロダクトと言えば、以前からは考えられないほどレンズの交換が容易になったゴーグルが挙げられる。自然相手のスポーツだからこそ、雪山での遊びだからこそ、急激な天候の変化に対応しなくてはならない。さらに高速域で楽しむわけだから、視界はもっとも重要といっても過言ではないはずだ。バックカントリーがブームの兆しを見せていることも踏まえると、この進化は画期的である。もちろん、グローブやヘルメットなどの存在も忘れてはならない。

これらを踏まえると、やはりギア選びは外せないし、選ぶギアも外したくない。だからこそ、無数のブランド、そして幾多のアイテムからベストギアを選ぶための一助となるべく、毎年のようにギアカタログ誌を制作しているわけだ。

こういったスノーボーダーの想いは今も昔も不変だが、時代は駆け足で移り変わっていく。ショップへ出向かなくてもワンクリックで商品が自宅に届く時代。これから発売される分厚いギアカタログ誌を買わなくてもネット上に情報が氾濫している現在。

そんなデジタル社会ではあるが、雑誌制作はその流れに逆行しているように感じる。100ブランド近くの各担当者に直接会って話を聞き、各ブランドのイメージをページに具現化すべくデザイナーと打ち合わせ、そして、何度も修正や確認を繰り返しながら商品情報を綴っていくという膨大な作業。それを印刷・製本し、弊誌ギアカタログ「SNOWboarder's BIBLE」は来週7月6日に書店に並ぶわけだ。ギア選びに迷わないためにも、リアルな情報を伝えたいという想いをのせて。

来たる冬を楽しむためにも、昨シーズンより上手くなるためにも、ぜひ手に取っていただきたい。今回の結びは宣伝じみてしまったが、今冬をともに過ごすベストパートナーと出会えることを切に願いながら、筆をおかせていただく。

 

国内No.1スノーボード情報サイト「TRANSWORLD WEB」をチェック!
────────────────────

野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

Next Story