フリースタイルスキーの採点方法は?

フリースタイルスキーの採点基準及び方法を紹介する。
ボビー・ブラウン(Red Bull Mega Slope 2013) © Blake Jorgenson/Red Bull Content Pool
By Duckstance.com, David Ortlieb

一般的に採点とは複雑なものであり、常に議論の的となるものだ。なので、フリースタイルスキーのようなスポーツはどうやって採点するんだと疑いの目を向ける人もいるだろう。アクロバティックやフィギュアスケートのように不動のルールや特定のトリックの得点は決めたくないし、これが正しい、あれは間違っているというようなことも言いたくない。私たちはフリースタイルスキーが「フリー(自由)」であって欲しいと願っている。それ故にこのスポーツでは厳しいルールではなく、観点に沿った採点が行われる。

この観点は「全体の印象(Overall Impression)」と呼ばれている。これがこのスポーツは常に発展可能であり、ルールに縛られるものではないということを規定している。この採点方法は非常に主観的でもあるのだが、各ジャッジに意見を持ってもらうことが目的だ。こうすることで視点が緩和され、このスポーツの発展はアスリートだけによって成し遂げられるものではないということにもなる。

マーカス・エダー © Alessandro Belluscio/Red Bull Content Pool

では、その「全体の印象」とは何なのだろうか?

「全体の印象」の採点は、単純にトリックのポイントを加点/減点するだけではなく、ライダーのクリエイティビティを締め付けない、緩めのガイドラインに沿って採点される。ラン全体が採点対象であり、トリックだけでは採点されない。

「全体の印象」には以下の基準が含まれる

・出来映え(Execution)
・難易度(Difficulty)
・大きさ(Amplitude)
・バラエティ(Variety)
・独創性(Progression)

このようにガイドラインが抽象的なため、各ジャッジは余裕を持って採点を考慮でき、同時にライダーも余裕を持ってランに挑める。

出来映え:各トリックやセクションの出来映え。テイクオフ・グラブ・コントロール・スタイル・ランディングなどがチェックされる。

難易度:トリックの難易度。ここで考慮されるのはスピンやフリップの回数ではなく、グラブと回転の方向/軸とのコンビネーションだ。よって、シンプルなトリックでも上手く組み合わせてメイクすれば、難易度は高くなる。

大きさ:エアの軌道や高さ。優れたトリックの判断基準の半分を占めるのがエアの大きさだ。だが、ただ遠くへ飛べば良い訳ではなく、ベストとされるランディングスポットを越えるようなエアは求められていない。クリーンなテイクオフからスムースな軌道を描き、ランディングエリアの中央(スイートスポット)へランディングすれば高得点となる。

大きさ(Amplitude)とは

バラエティ:バリエーションの豊かさ。持っているトリックのレパートリーをすべて披露し、回転、軸、グラブの種類を増やせば高得点に繋がる。

独創性:トリックの新鮮度。このガイドラインがこのスポーツをネクストレベルへと引き上げることになる。新しい、またはレアなトリックやグラブ、バリエーション、選択したラインなどがチェックされる。

各ランはこれらのガイドラインに沿って採点され、その以前のランと比較される。当然、ジャッジはすべてのランを記憶できる訳ではないので、各ジャッジは「ショートハンド(shorthand notes)」を控えておく。ショートハンドはジャッジが各ライダーのランを比較して順位を決めるために使う簡略化された採点シートを意味する。


最終的には実際の得点ではなく相対的な順位で決まる

ジョン・オルソンのエアは申し分ない高さ © Mattias Fredriksson/Red Bull Content Pool

レンジ(Range)
大会が始まる前、ジャッジ全員がトレーニングをチェックして、その日のランのレベルを設定する。そのレベルは「レンジ」と呼ばれ、各ランは「平均以下」・「平均」・「平均以上」のレンジに振り分けられる。

各ジャッジは0点から100点の間で、他のランと比較して採点する。

アンカースコア(Anchor Score)
大会が始まって最初の5本から10本のランの得点は「アンカースコア」になる。これらが基準となり、他のランの順位が決められていく。

ランが同レベルで並んだ場合は、ガイドラインによって優劣が判断される。

では、実際にランがどう比較されるかを例示しよう。今回はスイスのスロープスタイル王者シリル・ハンツィカーと2015年スイス国内3位のティル・マッティのランを比較していく。

ティル・マッティ

出来映え:全体を通して安定したラン。グラブも良く、スタイルとコントロールも十分。しかし、後半の2本のレールではややコントロールを失って雑なランディングになっているため、ここが減点対象になる。

難易度:非常にハイレベルなスキル。テクニカルで難易度が高いトリックで、グラブとスタイルも十分。チャンネルギャップトランスファーやキャノンレールからウォールへのトランスファーなど、最も難しいラインを選択している。

大きさ:キッカーからのエアは美しく、テイクオフもクリーン。高さも十分にあるスムースな軌道で、スイートスポットへランディングしている。

バラエティ:豊富なバラエティ。キッカーからの回転やレールは両方向。そして軸系もコークとバイオの2種類を盛り込んでいる。

独創性:新しいトリックはメイクしていないが、クリエイティブなライン取りが得点に繋がる。

シリル・ハンツィカー

出来映え:スタイルとコントロールは十分で、全体的に素晴らしいラン。ただし、最初のキッカーのコーク900のグラブが短かったため、ここが減点対象となる。

難易度:ハイレベルなスキル。テクニカルなトリックとソリッドなグラブで、スタイルも十分。ライン取りもティルとほぼ同じだが、シリルはキャノンレールからウォールへのトランスファーでK-Fed(フロントサイドスイッチアップからバックサイド270でのアウト)をメイクしており、これはティルより難易度が高い。

大きさ:パーフェクト。テイクオフはクリーンで、十分な高さのスムースな軌道。スイートスポットへランディングしている。

バラエティ:こちらもパーフェクト。フロントサイドとバックサイドの両方でテイクオフしており、回転も両方向盛り込まれている。

独創性:シリルも新しいトリックはメイクしていないが、ライン取りがジャッジに好印象を与えるだろう。

2人の採点メモ

ラインの選択とトリックでは似ている両者だが、シリルはティルよりも高得点となる。大会ではティルの後半のレールでの不安定さは減点対象になってしまう。一方、シリルは最初のキッカーでのグラブが短かった以外は問題がないため、83ポイントを獲得。

彼ら2人のあとのライダーの採点に幅を持たせることを重視し、ティルには74ポイントが与えられる。

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