冬に向けて最高の仲間と環境を求めて

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.48
Terje Haakonsen and Gigi Rüf © Christian Pondella/Red Bull Content Pool
By 野上大介

10月に突入し、世界中から雪の便りが聞こえてきた。16日には静岡のイエティがオープンするため事実上、日本のスノーボードシーズンが開幕するわけだ。そこで本コラムでは、きたる冬に向けた準備を進めるべく、自身の体験談などを踏まえ、シーズンを充実させる術について考えていきたい。

楽しむため、上手くなるため……どちらにせよ、滑る環境はとても重要だ。とは言え、住まいからの距離や仲間の有無などが大きく関係してくるため、いろいろな土地に遠征するよりも、同じエリアで滑っているスノーボーダーのほうが多いのかもしれない。

みなさんは滑りに行く予定を立てる際、訪れるゲレンデまで絞り込んで計画するだろうか? シーズン券やリフト券を持っているスノーボーダーは必然的にそうなるだろうが、筆者が滑りに行くときは、天気予報などからコンディションがよさそうなエリアだけを仲間とすり合わせておき、当日の降雪具合や天候状況などを加味して、道中に最終判断を下す。自然相手の遊びだからこそ、その日に与えられた状況の中でベストなライディングを楽しみたいからだ。限られた休日を有意義に過ごすためにも、少しでもよいコンディションを求めて、土日のどちらに行くべきか天気図とにらめっこ……そんなスノーボーダーも少なくないはずだ。

余談になるが、パウダーに魅せられて白馬エリアに移住した社会人スノーボーダーの話を少しだけ。先輩の知人にあたる彼は一般企業の営業職に就いていて、パウダーが降り積もった朝イチは平日でも確実にライディングするために、航空気象図をもとに降雪の予測を立てて普段から仕事に取り組んでおり、いわゆる“THE DAY”が訪れると営業先に直行という体でライディングを楽しんでいるそうだ。話によると営業成績も優秀なんだとか。ゴーグル焼けですぐにバレそうなものだが……。

筆者はその昔、数シーズンに渡って山にコモり、全国各地で行われていた大会を転戦していたため、一般的なスノーボーダーに比べると滑走日数も含め、あらゆる雪山を滑った経験があると言えるだろう。その経験を踏まえ得た教訓としては、パークアイテムひとつをとってもサイズや形状はもちろん、雪質や降雪量、さらにローカルのレベルなどあらゆる環境が異なるため、同じような滑りでは通用しないことが多々あった。それ以来、意識的にいろいろなゲレンデに足を運ぶようになり、結果的に仲間が増え、さらに経験値が上がったことでスキルアップできたように感じている。

当時は北海道に渡ってまでハーフパイプの練習に励んでおり、旭川で滑ったパイプは氷のように硬く、エッジングを利用して蹴り上がるように飛ぶテイクオフでは通用しなかった。雪が降ればもちろんパウダーを堪能し、本州に比べると軽すぎる粉雪で浮力を得ることの難しさを知った。東北の八幡平にはフリーライディングの上手いスノーボーダーが多く、彼らのようにバックカントリーでトリックを決める難しさを痛感した。北志賀や上越エリアには全国から多くの猛者たちが集結していたため非常にレベルが高く、滑りながら彼らのライディングをチェックできたことでイメージが膨らんだり、そこで出会った先輩スノーボーダーから様々なことを学んだ。苗場や湯沢エリアはパイプやパークが充実していたこともあり、トリックはもちろん、ウエアファッションのトレンド発信地でもあったため多くの刺激を受けた……。と、ここでは書き切れないわけだが、何が言いたいのかといえば、地域によって積雪量や雪質、さらには山の地形などの違いから、同じ雪山でもその環境はまったく異なる。さらに、その環境よって育まれるカルチャーには大きな違いがあるということ。だからこそ、自らが求めるライディングスタイルや志向によって、求める場所は変わってくるはずだ。

9月25日に気象庁が発表した寒候期予報(12~2月)によれば、北からの寒気による影響が小さく、全国的に気温は高めとのこと。降雪量については、東・西日本では冬型の気圧配置が長続きしないため、東日本・日本海側では少なく、西日本・日本海側では平年並みか少ない、北日本・日本海側ではほぼ平年並みと予想されている。エルニーニョ現象の影響だろうが、ここ数年は降雪に恵まれていただけに、少し物足りないシーズンになってしまうかもしれない。だからこそ、例年よりも滑りに行くゲレンデ選びを慎重に、限られたシーズンを充実させるためにも最高の仲間たちとセッションしてほしい。

スキモノたちは必ずいい場所にいる。SNSが普及した昨今、そう感じている読者諸兄姉も多いのではないか。そんなスキモノのひとりとして、今冬も最高のシーズンを送ってくれ。

 

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野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWBOARDING+」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

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