現代のスノーボーダーに滑ってほしい場所

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.51
Naturiding Land © yoshitoyanagida.com
By 野上大介

「男5年、女3年」───以前、こんな話を聞いたことがある。

これは、スノーボードを始めてからやめてしまうまでの年数だ。その理由として考えられる最大の要因は、トリックの上達が行き詰まってしまうこと。前回のコラム「現代のスノーボーダーにもの申す」でも綴ったが、“飛ぶ” “回す” “擦る”といったフリースタイルのアクションに憧れを抱いてスノーボードを始めるケースが多いため、ある程度滑れるようになると真っ先にパークへ足を運ぶ。フォールラインに正対して造成されたアイテムに向かってほぼ直滑降でアプローチし、リップを抜けて、空中やアイテム上での動きにばかり固執する。一定のレベルまでは上達するだろうが、フリーライディングをおろそかにしてきたツケが回り、冒頭で述べたくらいの年数に差しかかると限界が訪れる……といった話なのだろう。

また、プロショップなど、仲間に恵まれ最適な場所で滑ることのできる環境が整っているスノーボーダー(詳しくは当コラムVol.48「冬に向けて最高の環境と仲間を求めて」参照)であれば、先輩たちからフリーライディングの重要性について説かれ、ベーススキルをしっかり身につけた結果、一般レベルでも高回転スピンを操っているのかもしれない。しかし、そのレベルに達しているスノーボーダーは極わずか。当然、ゲレンデサイドは前述したボリュームゾーンに合わせてアイテムを造成するため、上級レベルのスノーボーダーにとっては物足りない、というのが現状だろう。

このような状況は今に始まったわけではない。5年前、ひとつのチャレンジに踏み切った。様々なレベルのスノーボーダーが共存できる遊び場を提供すること。さらに、フリーライディングの面白さを伝えること。これらを目標に設定し、弊誌プロデュースのフリーライドパーク「NATURIDING LAND」を造成した。知らないという方はこちらをチェックしてほしい。

その昔、現在のようにパークが普及する以前は、ゲレンデの起伏や迂回路の段差などを利用して、飛んだり回したりしながら滑っていた。その後、いわゆるパークが全盛期を迎えたが、遊び方がトリックのみに限定されることと、前述したようにアイテムの大きさや形状によって人を選んでしまうため、上達の限界が見えたときやレベルに合っていないパークに遭遇したとき、その場から遠のいてしまう。そうした状況にいてもたってもいられなくなった。フリーライディング中にトリックを仕掛ける面白さ、そして、それによって育まれていくライディングスキル。こうした重要性を広めるため、NATURIDING LANDは生まれたわけだ。

実現に至るまでには、リゾートサイドの多大なる協力が必要だった。メディアだけの力ではどうにもできないが、今だからこそ復活させたい。前回コラムの総いいね数や総リツイート数などの合算が5,400を超えた(10月20日現在)ことが、その必要性を裏づけているのではないか。

手前味噌になってしまうが、5年前に想像して創造された遊び場こそ、現代スノーボーダーが滑るべき場所なのかもしれない。

 

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野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWBOARDING+」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

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