暖冬シーズンはスノーボーダーが増加する!?

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.60
© Naoyuki Shibata/Red Bull Content Pool
By 野上 大介

 暖冬だとかスーパーエルニーニョだとか、世間で騒がれている今日この頃。その影響でドイツのベルリンでは一気に桜が開花したりといわゆる異常気象なわけだが、実際に日本でもいまだオープンできていないゲレンデが多く、スノーシーンは苦戦を強いられている。恒例のクリスマス寒波は少し遅めに到来するようなので、年末年始には何とか間に合うかもしれないが、果たして今シーズンはどうなってしまうのか。不安を隠しきれないスノーボーダーも多いことだろう。

記憶を辿ってみると、2006-07シーズンも暖冬だった。このとき小誌で連載している自身のコラムで綴った話を思い出したので、ここで紹介したい。暖冬や雪不足はスノーボーダーにとってネガティブな話にしか聞こえないが、違った角度から見ることでポジティブな思考に置き換えることができるのかもしれない。

日本やヨーロッパの雪不足は依然として深刻だが、例年以上の降雪に恵まれていたカナダ・ウィスラーにも雨が落ち、コンディションは悪化。“雪がない”とされている日本に海外ライダーがシューティングのため訪れている現実が、世界的な雪不足を顕著に表している。スノーボードでメシを食っているひとりのエディターである以前に、雪を愛するひとりのスノーボーダーとして、ネガティブな記事を綴ることにうんざりしていたある日、友人からこんな話を聞いた。「今シーズン(2006-07シーズン)、僕のまわりではスノーボードを始めた人が多いんですよ」
何事も新しく始める一歩を踏み出すためには、それなりの覚悟や勇気が必要だ。スノーボードに関して言えば、「寒い」「痛そう」「雪道運転が怖い」など、僕たちスノーボーダーが考えているよりも雪山へのハードルは高いような気がする。しかし、暖冬がこれらのハードルをなぎ倒したのだろうか。寒がりだから敬遠していた人、スタッドレスタイヤやチェーンを持っていない人たちの背中を押した格好にもとれる。データとして集計したわけではなく、あくまでも独自の見解なので信憑性に欠ける話だが、あなたのまわりで“スノーボーダー”になった友人が増えているのであれば、あながち間違った話ではないのかもしれない。
「地球温暖化」「雪不足」「エルニーニョ現象」など、ネガティブな話題が尽きない今シーズン。先に述べたように考えることで、暗闇のなかで灯火を見つけたような衝動に駆られる。自分の周囲を見渡すと、十数年前(現在では二十数年前)の第一次ブームでスノーボーダーになった友人たちは家庭を築き、仕事や出産など理由は様々だろうが、雪山から遠のいたライフスタイルを送っている。こういった現状からもこの話が事実だとすれば、地獄で仏に会うようなもの。僕たちの天敵“暖冬”は意外にも、これからのスノーボードの発展に寄与しているのかもしれない。(TRANSWORLD SNOWBOARDING JAPAN 2007年4月号より抜粋)

このまま暖冬になることを望んでいるわけではないが、もしもパウダーが期待できない状況なのであれば、グルーミングバーンでカービングターンを見直してみるのもいいだろう。ターンに磨きを掛けながら、いつもよりも際立った地形を活かして遊んでみるのも悪くない。


これで年内の寄稿は最後になるが、今シーズンもスノーボードを楽しんでほしい。1年間のご愛読、誠にありがとうございました。来年も当コラム「SNOWBOARDING IS MY LIFE」を、よろしくお願いいたします。

 

 

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野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWBOARDING+」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

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