暖冬だからこそ“遊び方”で差をつける

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.61
Dylan Gamache
By 野上 大介

「暖冬」「エルニーニョ」……すでに聞き飽きた言葉だ。

スノーボードと出会ってから今季で24シーズン目を迎えたのだが、ここまで雪の少ないシーズンは初。人工降雪機を持たないゲレンデの中には、いまだオープンが許されない場所さえある。前回のコラム「暖冬シーズンはスノーボーダーが増加する!?」では賛否両論の意見をちょうだいしたわけだが、そのとき思い描いていた以上に雪がない。

そうは言っても、こればかりは神頼みだ。祈るしかない。スノーボードを生業としている、いちメディアの人間としてできることと言えば、今与えられている状況下でも楽しくライディングするための提案しかない。そこで昨シーズン、世界中を席巻したリバースターンの生みの親であるディラン・ガマチェが所属するクルー・YAWGOONS(ヤウグーンズ)について触れていきたい。

YAWGOONSというクルー名の由来は、彼らがYAWGOO VALLEY(ヤウグー・バレー)というゲレンデをホームとしているから。アメリカで最小面積の州で東北部に位置するロードアイランド州にあるのだが、同州で唯一のゲレンデ。しかも、チェアリフトが2基とサーフェスリフト(Tバー)が1基と、かなり小規模なゲレンデなのだ。ロードアイランド州は湿潤大陸性気候の一例であり、暖かく雨の多い夏と冷涼な冬があるようだが、同州の最高標高が247mしかないことからもわかるように、降雪量は少ないはずだ。同ゲレンデのホームページを覗いてみると、人工降雪機を稼働させている写真が掲出されており、コースのほとんどが平坦で、滑走エリア以外にはほぼ雪がないゲレンデだ。

僕たちが住む日本は山国であり、世界中のスノーボーダーたちが“ジャパウ(JAPAN POWDERの略)”と賞賛するほど降雪に恵まれたエリアである。だからこそ、今シーズンの暖冬の影響は大きすぎるわけだが、なぜYAWGOONSクルーが世界中を虜にするほどのライディングスタイルを体得できたのか。それは、先述したような決して恵まれているとは言えない環境だったからこそ、降雪に恵まれたエリアで滑走するスノーボーダーたちよりも“創造力”を働かせて楽しんだ結果だと断言できる。さらに、プロスノーボーダーたちがヘリやモービルでしかアクセスできないバックカントリーでの表現を求め、コンペティターたちがトリプルコークでしのぎを削っている最中、世界中の一般スノーボーダーたちが“手に届く”アクションをクールに決めたから。

YAWGOONSの代表格である前出のディランは、今シーズンもすでにリバースターンの進化型を披露して話題をさらっている。すでに観ている人も多いと思うが、その動画を改めて観てほしい。パークやストリートでのトリックにも注目すべきではあるのだが、それ以上に、斜度のないフラットバーンで繰り出される極上のカービングスキルを───。

今シーズン、パウダースノーがないから山へ行かないというスノーボーダーもいるかもしれない。だが、ディランの映像に刺激を受けて、フリースタイルスノーボーディングを楽しみながらカービングスキルを向上させることも選択肢のひとつとして考えてもらいたい。

きたる寒波の到来に向けた準備期間として、はたまた、これから長く続くであろうスノーボード人生をより楽しむためにも、限りあるスノーシーズンを有意義に過ごしてみてはいかがだろうか。

 

 

 

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野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWBOARDING+」編集長。1974年、千葉県生まれ。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。現在に至る。アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、ソチ五輪スノーボード競技におけるテレビでの解説やコメンテーターとしても活動するなど、その幅を広げている。

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