暖冬での積み重ねが来季の花となる

元ライダーの元雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.77
Nicolas Muller © Scott Serfas / Red Bull Content Pool
By 野上 大介

いよいよシーズンが幕を下ろそうとしている。膝の調子が悪い僕はすでに切り上げていたのだが、例年よりも少し早かったとはいえGWまで営業している馴染みのゲレンデも健在だった。

エルニーニョ現象、暖冬、少雪……いろいろ考えさせられた2015-16シーズン。ここ数年がいわゆる“当たり年”だったからこそ、その反動も大きかったのだろう。仕事での平日滑走を含め、プライベートでもほぼ毎週末雪山へ赴いていたのだが、蓋を開けてみれば今シーズン、十分なパウダースノーで滑ったのは1日だけ。ちなみにバックカントリーへは出ていない。2月上旬の群馬・水上エリアにおいて、コース内にブッシュが出ていてアイスバーンだったときは、さすがにショックを隠せなかった。3月早々にクローズするゲレンデが続出するかと思いきや、暖かくなっては冬型になってを繰り返し、なんだかんだで楽しめるシーズンを過ごせたような気がする。

いろいろなゲレンデを滑って感じたこと。それは、前職で声を大にして提唱していたこともあってか、カービングターンを楽しんでいるスノーボーダーが多く映った。フリースタイルの聖地として名を馳せるゲレンデへ赴けばリバースターンに興じるスノーボーダーを見かけ、降雪に恵まれやすいゲレンデへ赴けばパウダーボードでカービングのトレーニングに励んでいるスノーボーダーがいた。基礎系やアルペン系の人たちはもともとカービングが主であるため例外とさせていただくが、フリースタイルスノーボーディングの動きを体現するためのベースとなるターンを向上させることができたシーズンだったと考えれば、ある意味、これから先の長いスノーボード人生にとって有意義な冬となったことだろう。

暖冬をもたらした、太平洋東部で海面水温が高くなるエルニーニョ現象だが、気象庁の発表によると、今年6月頃には終息し、8月頃から太平洋西部の海面水温が高くなるラニーニャ現象に移行する可能性が高いそうだ。これまでの傾向からすると、ラニーニャ発生時の日本周辺は、冬季になると西高東低の気圧配置が強まり低温となる。

日本でもっとも早くオープンするゲレンデとして知られる静岡・スノータウンイエティを基準に考えれば、来シーズンの開幕まで残り6ヶ月ほど。これを長いと捉えるか短いと捉えるかはあなた次第だが、今シーズン鍛え上げたカービングスキルを活かしたフリースタイルスノーボーディングへと昇華させるべく、充実したオフシーズンを過ごしてほしい。スケートボードやサーフィンが主流になるだろうが、横乗り以外のスポーツだっていい。筋トレも大切だろう。とにかく、身体を動かし続けてほしい。

そうすればきっと、今まで狙っていたけど当て込めなかったヒットポイントまで到達できたり、いつもよりハイスピードでのアプローチが可能となりトリックの精度が高まるはずだから。

 

野上大介(Daisuke Nogami)
大学卒業後、全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。その後、アウトドア関連の老舗出版社を経て、トランスワールドジャパン株式会社が発刊するスノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」に12年間従事。編集長として10年間に渡り職務を遂行し退社、現在に至る。2013年に開催された、アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、X GAMESやオリンピックなどのスノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとして活動するなど、その幅を広げている。

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