スノーボーダーという生き様

元ライダーの元雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.79
Travis Rice © Stan Evans/Red Bull Content Pool
By 野上 大介

 

お気に入りのギアを揃える。自分らしくいられるウエアを選ぶ。最適なスタンスにセッティングする。必要があればチューニングを施す。ソールにワックスを注入する。天気予報とにらめっこしながらゲレンデを選択する。週末であれば渋滞を避けるようにスケジュールを組む。滑走意欲を高める音楽とともにドライブする。広大な白いキャンバスに思い想いのトラックを刻む。仲間同士で刺激し合いながらセッションする。その地ならではの食事にありつく。温泉に浸かる。仲間とともに最高の一夜を過ごす。リフト一番乗車を目指してパウダースノーを堪能する───。

一概にこうだとは言い切れないが、スノーボーダーとしての行動を綴ってみた。それぞれの選択によって大きく変化し、ひとつ一つの所作に意味を持たせることで己のスタイルが確立する。ライディングを中心に考えて間違いないが、一般的なスポーツと比較してもプレー以外の要素が多いからこそ個性を輝かすことができる。滑りが上手いにこしたことはないが、そうでなくても楽しめるし、熱狂できる。スノーボーディングというアクション自体が面白いという理由以外にも、スノーボーダーという生き方に深みを感じる。だからこそ、シーズンが極端に限定されているにも関わらず、モチベーションが継続できるのだろう。

スタイルにこだわる生き物なのだから、オフシーズンもスタイリッシュに生きたい。服装だってそう、言動だってそう、ライフスタイルだってそう。聴く音楽や着飾るファッションにスノーボーダーらしさは失われつつあるが、こうした部分にもこだわって生きたい。そこに定義は存在しないが、僕がスノーボードを始めた90年代初頭はある意味で限定的だった。パンクやメロコアを聴きながら雪山を目指し、スケーターファッションを身にまとった若者がゲレンデにあふれた。アメリカ西海岸で育まれた文化的価値がそこにあったからだ。スノーボーディングというスポーツ以上に、スノーボーダーという生き様に憧れていたのかもしれない。

スノーボードを形容する際、一般的にはスポーツで間違いないが、一部の能動的なスノーボーダーたちはカルチャーと表現する。とあるサイトで、スノーボーダーでもある藤原ヒロシ氏はカルチャーについて「すごく難しいものですよね。言葉にできない、空気のような感じ」と語っている。ポップカルチャーについて、彼独自の視点から掘り下げた大変興味深いページなので、ぜひご一読を。感度の高いスノーボーダーには理解できるものが、そうでない人には伝わりづらいということだろうか。

でも、その空気を感じることができれば、スノーボードは今以上に楽しくなる。このオフシーズン、雪がない時期にこそ改めて、スノーボードと向き合っていただきたい。

 

野上大介(Daisuke Nogami)

大学卒業後、全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。その後、アウトドア関連の老舗出版社を経て、トランスワールドジャパン株式会社が発刊するスノーボード専門誌「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」に12年間従事。編集長として10年間に渡り職務を遂行し退社、現在に至る。2013年に開催された、アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員。また、X GAMESやオリンピックなどのスノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとして活動するなど、その幅を広げている。

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