スノーボーダーのライフスタイルに宿るカッコよさ

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.93
Christian Pondella © Red Bull Content Pool
By DAISUKE NOGAMI

9月を迎え、暑さもひと段落。かすかではあるものの、冬の足音が少しずつ聞こえてきているのだろう。ウィンターシーズンへのカウントダウンを始めているリゾートをSNS上で見かけたりと、いよいよ僕らスノーボーダーの季節を意識し始める時期がやってきた。

新スノーボード媒体「BACKSIDE」を立ち上げ、きたるシーズンを想像してみる。言わずもがなシーンを盛り上げたい。その根幹にあるものは、立場は変われど今も昔も同じである。9月はスノーボードメディアの開幕と位置づけられてきたこともあり、改めて、ここに想いを綴らせていただこうと思う。

雪上でサーフィンのようにマニューバーを描くために誕生し、街中でトリックを繰り出すスケートボードからの影響を強く受けて進化を遂げたスノーボード。その進化の発端だった1990年代前半、僕がスノーボードと出会った頃、日本ではファッションに敏感な10代後半の若者たちが雪山を求めた。北米シーンからの影響やスケートボードブームの後押しもあり、若者のウィンター・カルチャーとして受け入れられたのだ。

当時を振り返って思うのは、スポーツというよりもライフスタイルに近かったということ。VOLCOMやSESSIONSのアパレルを身に纏い、NORTHWAVEやAIRWALKのスニーカーを履いている若者が街に増えた。スノーボーダーを象徴するファッションの存在が示すように、ストリートテイストが強かったのだ。スキーとの差別化を図るための原動力が大きかったこともあり、ゲレンデはもちろん、街中でもスノーボーダーのパワーがみなぎっている高度成長期だった。

数年後の1998年に国際スポーツとして認知されると、日本中へ一気に広まることに。それに伴い、様々な一般企業がシーンに参入。シーズン開幕の風物詩と化していた国際コンテスト「X-TRAIL JAM」が2001年より東京ドームで開催されるようになり、また、プロスノーボーダーが車メーカーや飲料メーカーなどからスポンサードされるようになるとブラウン管の向こう側や街中には、スノーボードを題材としたCMや広告があふれた。結果、“スノボ”という略称で一般層にまで浸透し、スキーに変わる冬のレジャースポーツとして確立していったのだ。

その間にも、世界のトップシーンは激変の一途をたどってきた。プロライダーのスキルはギアの進化とともに鳥人レベルにまで達し、スピンはフィギュアスケートを超える回転数を実現。スケートボードの臭いを残しながらも、一般レベルからは想像をはるかに超える世界へと突入していったのだ。

いっぽう、メジャー化すればアンチが存在するのは世の常。加えて、若年層のインドア化や地球温暖化の影響もあってか、ひと昔前の原動力となっていたストリートの若者たちが、雪山から減っているという事実は否めない。時代は違えど、自由奔放を基盤としたスタイルが受け入れられていないということか。はたまた、非現実すぎるスノーボーディングに感情移入できないということなのか。

さらに、第一次スノーボードブームの立役者たちはアラフォー世代となり、雪山から遠ざかっているという実態。雪上復帰を果たしたという話も耳にするが、まだまだ少ないのだろう。仕事や家庭など事情は千差万別だが、あの頃の“何か”が欠落しているスノーボードシーンに魅力を感じられないのかもしれない。

冒頭で述べた10代の若者だった端くれとして、シーンを再燃させることを目標に掲げている。過去の栄光にすがるわけではなく、フリースタイルスノーボーディングを再構築することで新たなる価値を創造し、あの当時漂っていた“ニオイ”を取り戻したい。

そのニオイとは、ライディングスタイルはもちろん、スノーボーダーたちのライフスタイルに宿っていたカッコよさ。それに尽きる。

 

野上大介(Daisuke Nogami)
スノーボード・ジャーナリスト。1974年生まれ。千葉県松戸市出身。スノーボード歴24年。専修大学卒業後、全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。その後、アウトドア関連の老舗出版社でスノーボード・エディターとしての道を歩み出し、2004年から世界最大手スノーボード専門誌の日本版「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」に従事。編集長として10年3ヶ月に渡り職務を遂行し、2016年3月に退社。2013年に開催された、アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員を務める。また、X GAMESのほか各種スノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとして活動するなど、その幅を広げている。2016年8月18日、スノーボードメディア「BACKSIDE」をローンチ。フリースタイルスノーボーディングを再構築することで、シーンのさらなる活性化を目指す。

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