BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE 創刊

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.98
By DAISUKE NOGAMI

10月28日(金)、新スノーボード雑誌「BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE」を創刊することができた。インターネットがライフスタイルから欠かせなくなり、大手紙媒体の休刊が相次ぐなか、時代に逆行した形と言えるかもしれない。だが、この一冊は、これまでの専門誌とは一線を画するものだと自負している。


創刊号となるISSUE 1は、世界のトップスノーボーダーとして周知されている國母和宏のスノーボード人生を紐解いた。「KAZU KOKUBO ー國母和宏という生き様ー」と題し、彼の24年に渡るスノーボード人生を余すことなく綴っている。4歳でスノーボードと出会い、小学5年でプロ資格を取得。中学2年時にUS OPENで2位に輝くと、高校1年からはフィルミング活動のため単身で渡米を繰り返す。バンクーバー五輪での腰パン騒動により日本中から大バッシングを受けた後、US OPENで2連覇を達成するとともに、彼のビデオパートは世界中から賞賛されることになる……。その後も大躍進は続くわけだが、この濃厚すぎるスノーボードライフを世界各国の専門誌で表紙を飾ったSクラスの写真たちとともに、128ページに渡って一冊に詰め込んだ。


彼に縁のあるキーパーソンたちにもインタビューページにご登場いただくわけだが、グラビア写真からコラムに至るまで、そのすべてがカズにまつわるストーリーである。あらゆる情報をまんべんなく編集する雑誌というよりも、ひとつのテーマを深く掘り下げる書籍に近い。旬な情報を主とする既存の雑誌の場合、スピードでインターネットに勝ち目はない。ただし、後世に残す価値の高い情報を一冊に詰め込むのであれば、紙媒体はインターネットに勝ると考えた。


カズを通してこの一冊で伝えたかったこと。それは、一枚の板に跨って創造力を働かせながら滑り続け、世界を舞台に戦い、大自然と対峙しながら生きていく過程で培われた“人間力”を表現したかった。そこには、フリースタイルスノーボーディングの本質や魅力が宿っていることは当然なのだが、スノーボードを履かない人間に対しても強く訴求できるヒューマンドラマがあるからだ。


こうした価値観は、滑走日数やレベルを問わず共有できるものだと信じている。カズの滑りが、一般スノーボーダーからすれば非現実的なフィールドであろうが、30メートル以上の飛距離を叩き出すジャンプであろうとも、その高次元すぎるライディングに感情移入してほしいという話ではない。その滑りを体得するうえで養われた精神力や、そのための環境を手に入れた積極性、はたまた、仲間とともにシーンを変えるべくして活動してきた行動力……など。常軌を逸したライディングの背景にある“國母和宏という生き様”にこそ、体育文化では決して学ぶことができない、フリースタイルスポーツだからこそ得られる人間力を感じることができるのだ。


各々の滑走力に応じた挑戦すべきフィールドを攻略できたとき。目標としていたトリックを成功させたとき。こうしたライフスタイルを確立できたとき。フリースタイルスノーボーディングを通じて挑戦心や向上心などが育まれていくことで自己主張につながり、自然との調和を原点としたスノーボーダーとしてのアイデンティティが養われていくのだから。

アナログだからこそ伝えられる表現方法を用いて、デジタルの恩恵にあやかりオンライン限定で販売。スノーボーダーはもちろん、腰パン騒動でカズを非難した人々に至るまで、この一冊を贈る。

 

野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード・ジャーナリスト。1974年生まれ。千葉県松戸市出身。スノーボード歴24年。専修大学卒業後、全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。その後、アウトドア関連の老舗出版社でスノーボード・エディターとしての道を歩み出し、2004年から世界最大手スノーボード専門誌の日本版「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」に従事。編集長として10年3ヶ月に渡り職務を遂行し、2016年3月に退社。2013年に開催された、アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員を務める。また、X GAMESのほか各種スノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとして活動するなど、その幅を広げている。2016年8月18日、スノーボードメディア「BACKSIDE」をローンチ。フリースタイルスノーボーディングを再構築することで、シーンのさらなる活性化を目指す。

Next Story