ゲームを通して広がっていくフリースタイルの世界

元ライダーの雑誌編集長が綴る SNOWBOARDING IS MY LIFE. Vol.99
snowboarding
By DAISUKE NOGAMI

11月3日、文化の日に「UBIday」というテレビゲームの試遊イベントにゲストとして招かれた。スノーボードやスキー、ウィングスーツ、パラグライダーが広大なヨーロッパアルプスの雪山で楽しめるというテレビゲーム『STEEP』のトークイベントに、スノーボードの解説者としてステージに登壇することになった。

ファミコンで止まってしまっているほどゲームをまったくやらないため、その進化にはただただ驚かされたのだが、そんなゲームど素人のいちスノーボーダーがもっとも興味を惹かれたのは、技を競い合うゲームではなく、バックカントリーを自由に滑ることができるという点だ。広大すぎるヨーロッパアルプスの山々でライディングできるのはもちろん、ハイクアップも可能なので、実際に行くことは難しいバックカントリーフィールドで、リアルに近いスノーボードが体験できる。

また、GoProと連携しており、一人称視点のPOVアングルでもゲームを楽しめる。あらゆる地形がリアルに再現された無限大のフィールドでライディング(プレー?)することで、その気になれるのはもちろん、イメージトレーニングにも役立つように感じた。

オリンピック競技としてのスノーボードが一般社会で認知されている姿だとしたら、ゲームの世界はまったくの無知ながら、圧倒的なユーザー数を誇るこのシーンに対してスノーボードの本質が届けられることは素晴らしいと感じた。こうした積み重ねにより、バックカントリーやストリートでの自己表現を生業としているプロスノーボーダーたちの追い求める価値が広まっていけば面白い。一般的に理解することは難しいのかもしれないフリースタイルスノーボーディングの醍醐味が、大衆に対して発信される機会はこれまでほとんどなかったわけだから。

当サイトに掲載されているこちらの記事を読めばわかるのだが、その背景には、このゲームを制作している開発チームが、スノーボードやスキーを愛好していることが挙げられる。毎週のように雪山へ足を運び、2年間かけて大量のデータを集めたそうだ。だから、リアルなアルプスの地形を再現することに成功している。

雑誌であろうがゲームであろうが、その魅力を最大限に伝えたいという想いは変わらないのだろう。少しずつではあるが確実に、スノーボードでありフリースタイルやエクストリームスポーツが世間一般に浸透している。フリースタイルスノーボーディングのこれからが楽しみだ。

 

野上大介(Daisuke Nogami)

スノーボード・ジャーナリスト。1974年生まれ。千葉県松戸市出身。スノーボード歴24年。専修大学卒業後、全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動していたが、ケガを契機に引退。その後、アウトドア関連の老舗出版社でスノーボード・エディターとしての道を歩み出し、2004年から世界最大手スノーボード専門誌の日本版「TRANSWORLD SNOWboarding JAPAN」に従事。編集長として10年3ヶ月に渡り職務を遂行し、2016年3月に退社。2013年に開催された、アクション&アドベンチャースポーツのインターナショナル・フォト・コンペティション「Red Bull Illume Image Quest 2013」の日本代表審査員を務める。また、X GAMESのほか各種スノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとして活動するなど、その幅を広げている。2016年8月18日、スノーボードメディア「BACKSIDE」をローンチ。フリースタイルスノーボーディングを再構築することで、シーンのさらなる活性化を目指す。

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