瞬きでもしたら見過ごしそうなほどの、たったの3秒という刹那な時間。そこに凝縮された興奮が、そしてドラマが日本へとやってくる。
その名もレッドブル・クリフダイビング。風光明媚な崖や城壁などにある8階建て相当の高台に特別に設けられたジャンピングスポットから、生身のままそれも水着一丁で水に飛び込むという単純明快なエクストリーム・スポーツだ。
水泳の高飛び込みと似ているように思えるものの、その超絶っぷりは比べものにならない。オリンピック種目に規定される高飛び込みが最高で10mであるのに対して、クリフダイビングは最高で28m近くにまでのぼる。落下時の最高速度は時速約85kmまで達し、入水角度によっては高飛び込みに比べて約10倍の衝撃が加わるという。これを聞くだけで、いかに恐いモノ知らずの人でも度胸一発では到底足を踏み入れることなんてできないと思う。実際に、極限まで身体と精神力を鍛え上げ技を磨いた、世界でほんのひと握りのトップ・アスリートのみが参戦を許される競技である。彼らの鍛え上げられた肉体を見るだけで、いかに苛酷なのか自然と伝わる。と、同時に、たった3秒の時間のために、何年もかけてじっくりと訓練を重ねたきたのかも。
クリフダイビングは、単にトップアスリート達の度胸や体力を推し量るだけではない。飛び込み&踏み切り方、空中での姿勢変化、入水方法という3項目での採点がおこなわれる。飛び込むだけの単純競技だからこその、得も言われぬ奥の深さがありそうだ。「 Red Bull Cliff Diving World Series」というハイダイビングの世界選手権として2009年から継続的に開催されてきた。昨年2015年のラ・ロシェル大会(フランス)では75,000人もの観客を動員するなど、加速度的に世界中を興奮の渦に巻き込んでいる。
今年2016年は、6月でのテキサス(アメリカ)を皮切りに、世界9カ国での開催が予定されている。そのひとつが、ついにここ日本へやってくる。具体的には10月16日に和歌山県西牟婁郡白浜町にある自然景勝地「三段壁」にて。雄大な南紀の海景を背景に、まるで蝶のように舞いながら海面へと飲み込まれるトップ・アスリート達の鮮やかなジャンプをぜひともその目に焼き付け、興奮と熱狂に包まれてみたい。ただし、海風に乗った南紀白浜の砂埃が目に入っては、あまりにも感動的な3秒間を見過ごしてしまう可能性がある。サングラスと目薬だけは常備しておくことだけは強くオススメする。
