「本タワー積み選手権」優勝者に、レッドブルタワーをつくってもらった

    本でタワーを作る「本タワー積み」の達人・成川大樹さんを徹底取材! 書店員のウルトラ職人芸をとくとご覧あれ!
By ひにしあい

 

はじめまして、こんにちは。ライターのひにしあいです。

さて、みなさんは「本タワー積み」をご存じでしょうか?

まずはこれを見てください!

ばばーーん! これが「本タワー積み」だー!!!

 

螺旋階段みたいになってる!

 

 一体どうなってるのコレ!

 

こちらの「進撃の巨人」の本タワーは、巨人から身を守る壁の1つ「ウォール・マリア」をイメージしている。

 

そして、このムダにスゴい本タワーを作ったのがこの方。

 書店員の成川(なりかわ)さんは、わざわざ早出までして本を積み続けていたところ、タモリ倶楽部(テレビ朝日)の「本タワー積み選手権」に出演することになり、見事優勝。番組出演者の「彼が優勝したら社員にしてあげて」の一言で、アルバイトから本当に社員として採用されたという。

今回はこの成川さんに、本タワーの職人芸を見せていただきましょう!


本タワー積みは意外なきっかけから始まった 

左は店長の中山さん。まずは、本を保護するために200冊の単行本すべてにカバーをかけます。

ひにし 成川さんは、なぜ本を積み始めたんですか?

成川 バイトを始めて2年目くらいに、「ONE PIECE」の新刊が大量に入荷したんですけど、倉庫に入りきらなかったんです。そこで、店頭に積んじゃおうと考えたのがきっかけですね。倉庫が地下にあるので運ぶのが面倒だったのも理由の1つです。

ひにし ただ目立たせるためじゃなくて、そういうお店側の都合があったんですね。

成川 それで自分なりに本を積んでみたら、お客様から「すごい!」という反応があって。うれしかったので、大量入荷するような人気の本が出るたびに積むようになりました。


本タワー制作スタート!

 

本にカバーをかけ終わり、いよいよ本タワーの制作に入ります。

成川 どんなタワーが見たいですか?

ひにし じゃあ、「レッドブル」をイメージして積んでみてください!

 

少し考え込んだあと、おもむろに積み始めた成川さん。

成川 土台はスパイラル積みにしましょう。

スパイラル積みで100冊積んだ状態がコチラ。この時点でどうしてこうなったのか素人には全然わからない……。

ちなみに他にも、ブロック積みやボックス積みなど、いろいろ種類があるとのこと。

 

ひにし お店で本タワーが崩れたことはないんですか?

中山店長 実は1度もないんです。最初の頃は不安でハラハラしてたんですけど、でもこれが不思議と大丈夫なんです。

成川 倒れないように設計してますから! 数冊抜かれてもバランス取れるようになってますよ。ほらっ!

ひにし すげー! ジェンガ上手そう! 私が抜いても崩れませんか?

成川 大丈夫ですよ。ガンガン抜いちゃってください!

ひにし 怖い怖い怖い……! でも本当に崩れない! うまくバランス取れてるんですね。


レッドブルタワー、ついに完成!

タワー積みも佳境に入り、脚立がないと積めない高さに到達。

そしてついに……

レッドブルタワー完成! 後ろにいる私が隠れて見えないくらい高いぞ!

 

天空の城ラピュタみたい!!

 

タワーを上からのぞき込んだ貴重な写真。器のようになっている。さりげなく置かれた1冊に遊び心を感じるぞ!

成川 タワー下部のスパイラルでレッドブルの“翼”をイメージしました。上部の外に向かって大きくなっていく積み方は「広がる翼」をイメージしています。

ひにし いやー、もはやアートの世界ですね。

成川 この影がいいでしょう? 規則的で、実に美しい……。

ひにし もはや素人にはわからない世界ですね。

ひにし それにしても、30分くらいで積みましたよね。早いんだなぁ……。

成川 2000冊でタワーを作ることもあるので、今回の200冊なら全然余裕です。

ひにし 書店では、どのくらいの頻度で本を積んでいるんですか?

成川 入荷数が多くないと積まないので、月に1回くらいですね。「ONE PIECE」は新刊が出るたびに積んでいます。「ONE PIECE」のおかげで僕の積みの技術が上がったといっても過言ではありません。

ひにし 本屋があるのは、赤羽駅のエキナカの施設ですよね? 周りのお店から何か言われることはないですか?

成川 最初の頃は、エキナカの偉い人に「こんなに積んで大丈夫なの?」と心配されていました。でも、タモリ倶楽部に出てからは、「ONE PIECE」の発売日になるとSNSに投稿するための写真を撮りに来られるようになりました。テレビの力ってスゴいですね。

中山店長 本タワー自体は賛否両論あるのですが、赤羽の方々はお祭り好きな風土があるのもあってか、温かく受け入れていただいている感じがします。まぁ、書店員には全然いらない技能なんですけどね。

ひにし たしかに必須スキルではないですよね(笑)。ちなみに、成川さん以外にお店でタワー積みができる人はいないんですか?

中山店長 いません。成川くん以外、誰一人として「やりたい」とは言ってこないですね。会社としても、本を積めることを評価の基準にしていないので(笑)。

成川 評価基準を一新してください。

中山店長 却下します。


成川さんが編み出した秘技、その名は……

ひにし 成川さん以外に誰もやっていない技はありますか?

成川 ありますよ。自分では「融合装着型」と呼んでいる積み方です。

「見せてください」と頼もうとしたら、すでに積み始めていた成川さん。積むの大好きかよ!

 

成川 コレ、どう積んでるのかわからなくないですか?

ひにし たしかにサッパリわからない……。

成川 パっと見ただけではできなさそうな「積み」をずっと考えていて、この積み方にたどり着きました。

 

成川 この角度から見てください。コレ、スゴくないですか?

ひにし ……どの辺りが?

 

成川 本をこのように縦横で1冊ずつ置くと、高さがタワーと一緒になりますよね?

成川 タワーの幅、奥行き、高さがそれぞれ縦横1冊ずつの長さになっているんです。つまり……。

成川 コレは完全なる立方体なんですよ!!!

ひにし リアクションに困ります。

ひと回り大きな立方体と組み合わせて、最終的にこのようなタワーになった。

成川 これが俺のオリジナルタワー「融合装着型」です!

ひにし オリジナルなら、もういっそのこと「ナリカワ」って名付けちゃえばいいんじゃないですか?

成川 それいいですね! 新種の昆虫に自分の名前を付けるみたいなやつ、憧れてたんですよ! これは今日から「ナリカワ」にします!


タワー積みの専門職に就きたい

最近では、出版社からも「うちの本で積んでみてくれないか」といったオファーをもらうことも増えてきたという成川さん。

常に新しい「積み」を求めて、研究に研究を重ねているそう。

どんな仕事でもこだわりと情熱と愛情を持って取り組むとすごいパワーになるんだな、と圧倒されました。

ひにし これからも本タワーを積み続けるんですか?

成川 はい! タワー積みだけしかしない専門職になれたら最高です!

中山店長 却下します。

(おわり)

  

 

ひにしあい
本業はSEOの非常勤ライター。好きな音楽はビジュアル系。特技はカラオケ芸。スクールカーストは常に2軍。女ならではのあるあるを試し続ける人。「トゥギャッチ」「コネタ – Excite」などで活動中。Twitter ID:@sunwest1
(編集:ノオト)

 

【制作協力】
BOOK EXPRESS赤羽店

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