モーターバイクに牽かれるスキーレース!

モーターバイクに牽かれながらモトクロス用レーストラックをスキーで走り回るラトビアのレースをYouTuberがレポート!
By Tarquin Cooper

 ちょっと待って! 考え直してもいいかな? その瞬間フラッグが振られて350ccのバイクが走り出し、大混乱が始まった。

その大混乱が終わって丸4日が経った今も、僕の両腕は肩から外れているような感覚が続いていて、両手も恐怖心と共に必死にロープを掴んでいたおかげでかぎ爪のような形を維持している。そして背中には脚にロープが絡まって転倒して引きずられた時のアザも残っている。

しかし、僕の体内には奇妙な満足感とでも言えるような新しい感覚が生まれつつあり、僕の顔からは笑顔が消えていない。今回紹介している映像の中の僕は最初から最後まで楽しんでいないように見えるかもしれないが、Red Bull Twitch ’n’ Rideは僕が今まで参加した中で最高に楽しいイベントで、その体験は強烈だった。

Tarquin Cooper grabs some air at Red Bull Twitch n Ride
命がけのレース © Tarquin Cooper

Red Bull Twitch ’n’ Rideはラトビア流の “お楽しみ” で、スキー(他人の古いスキーが好ましい)を履いて、40人程度のライバルたちを相手に、雪やダート、そして凶悪なキッカーが待つモトクロス用レーストラックをバイクに牽かれて猛スピードで駆け回るイベントだ。

当日はバイクのエンジンサイズに分けられた複数のカテゴリに参加するために約150のチームが集まった。各チームは制限時間10分(または2ラップ)のレースに2戦出場する(合算すると約17分間連続でスクワットと腕立てを繰り返すようなものだ)。

Mass start during the Red Bull Twich'n'Ride in Kegums, Latvia on January 29, 2017
混沌のスタート © Jaanus Ree/Red Bull Content Pool

スキージョーリング(バイク、車、それ以前は馬や犬に牽かれるスキー競技)は何十年も前から続いている歴史あるスポーツだ。1950年代には、モータースポーツ界のチャンピオンに牽かれながら、ヘルメットなしで凍った湖を走り回っていた命知らずな輩もいたという話だ。

 

 このスポーツは今や世界各地で大会が開催されており、米国では馬を使ったスキージョーリングの大会が開催されているが、ラトビアで開催されたRed Bull Twitch ’n’ Rideではモーターバイクでモトクロス用レーストラックを走り回る現代版スキージョーリングだ。

Competitors perform during the Red Bull Twich'n'Ride in Kegums, Latvia on January 29, 2017
大混乱! © Jaanus Ree/Red Bull Content Pool

 スキージョーリングでは、ライダーとスキーヤーがユニークな信頼関係と協力体制を築かなければならない。僕を牽いてくれたライダーのカルビス・クスキスはレース前に「キツいのは君の方だよ」と忠告してくれた。ラトビアの首都リガに住むカルビスは、僕はバイクのリアホイールがコーナー脱出時に正しい位置に来るようなラインを通らなければならず、しかも常にロープをピンと張った状態に保たなければならないので、レースの7割は僕の頑張りに懸かっていると説明し、そのあとで、自分の仕事はフルスロットルで飛ばすことだけだと付け加えた。

Tarquin Cooper is dragged after crashing during Red Bull Twitch n Ride.
ちょ! 待って! © Jaanus Ree/Red Bull Content Pool

 その話を聞いて心配した僕が「心構えをして臨んだ方が良いかな?」と訊ねると、クスキスはこう答えた。「ああ、もちろんね。まぁ、助けになる程度だけど」

僕は恐怖心を少しでも和らげるために、レースオフィシャルにも話を聞くことにした。「最悪のシナリオを教えてください」と僕が訊ねると、そのひとりから「クラッシュして他のバイクに轢かれることだね」という簡潔な答えが返ってきた。この会話のあと、僕は他人に話かけるのをやめた。

Tarquin Cooper in action at Red Bull Twitch n Ride
ラトビア流スキージョーリング! © Tarquin Cooper

 しかし、他の挑戦と同じで、いざやってみるとこのレースはそこまで怖いものではなかった。僕はバイクに牽かれるスキーはもちろん、フリースタイルスキーも未体験だったけれど、号砲が鳴ると同時にアドレナリンが放出され、最高の体験をすることができた。

さすがに1周目は生き残ることで精一杯だったけれど、リラックスしてくると、混沌とした状況を楽しむことができた。そして遂にゴールした瞬間も、体はボロボロだったかもしれないけれど、言い表すことができないほど素晴らしい高揚感を味わうことができた。

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