Man overboard during OTUSA sail training2
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セーリング

セーリングボート:落下の恐怖

Oracle Team USAのクルーが船外に放り出される衝撃映像!
Written by Corinna Halloran
読み終わるまで:3分公開日:
Man overboard during OTUSA sail training1

Man overboard during OTUSA sail training1

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先日、通常練習に参加していたOracle Team USAのセーラー、グレアム・スペンスは、船外に放り出される恐怖を改めて体感することになった。スペンスはボートがタッキング(船首を風上に回す操船操作)をした際にバランスを崩してしまい、船外へ放り出されてしまったのだ。船外へ放り出されることだけでも十分危険だが、スペンスの場合は、あと数センチ違えば4枚の重く鋭いフォイルに切り裂かれていた可能性があった。
今回、我々は恐怖のアクシデントを体験したスペンスに詳しく話を聞くことにした。
何が起きたのか詳しく振り返ってもらえますか?
僕たちは向かい風の中を進んでいて、丁度綺麗にタッキングしたところだったんだ。僕はボートの前方を移動して、中央のポッドに渡ったところだった。その瞬間、ボートが少し不安定になった。耳に装着していた無線から、ジョーイ・ニュートンが「捕まれ!」と叫ぶ声が聞こえたから、船首が高速で海中に突っ込んだ瞬間にジブシートにしがみついたんだ。
そして船首が海中に突っ込むと、今度はボートが急に減速した。車で急ブレーキをふんだようなものさ。だから僕は思い切り前方に放り出された。掴んでいたジブシートを裂きながらね。そして次の瞬間には海の中にいた。とっさにボートが自分にぶつかる危険について考えたよ。でも、ラダー(舵)が僕の目の前を通り過ぎ、そのあとに、伴走艇(チェイスボート)のクルーの心配そうな顔が確認できた。彼らは僕が大怪我をしていることを予想していたんだろうね。
船外落下後に伴走艇へ戻るスペンス

船外落下後に伴走艇へ戻るスペンス

© Sam Greenfield/ORACLE TEAM USA

最悪のケースでは、どうなっていたのでしょう?
最悪のケースなら、フォイルに衝突して体を切り裂かれ、頭部や脊髄に損傷を負っていただろうね。想像しただけでも嫌な気分になるけれど、僕たちは常にその危険があることを意識して取り組んでいるよ。
ショックを受けたのでは?
ショックを受けたのは事故から数日後だった。多くの人から、非常に危険なアクシデントだったと言われたあと、初めて怖いと思ったんだ。フォイルまでほんの数センチだったということ、そして本当に危機一髪だったんだということを落ち着いて考える時間を経て、恐怖がこみ上げてきたのさ。
船外落下の練習は肉体的、精神的な意味でどの程度重要なのでしょうか?
安全関係の練習はチームの中で大きな位置を占めているよ。伴走艇を含めた安全確認のルーティン、水中からの事故者の確保、そして3日間のフリーダイブクリニックなどを通じて、精神的に追い込まれる状況で冷静に行動する方法を学んでいくんだ。フリーダイブクリニックでは、海中から抜け出せなくなった時の息の止め方も学ぶ。これはビッグウェーブサーファーが学ぶ危機管理方法と似ているね。僕たちはこのような危険な状況を “サプライズ” にしてはいけない。あらゆる状況に問題なく対応できるようにしておく必要があるんだ。
50ノット(時速93km/h)で海原を走るトレーニングに伴走艇は欠かせない

50ノット(時速93km/h)で海原を走るトレーニングに伴走艇は欠かせない

© Sam Greenfield/ORACLE TEAM USA

危機的状況の中でのチームワークの重要性は?
チームメンバーには常に自分の仕事が割り振られている。だから、危機的状況でも自分が担当する仕事は決まっているんだ。たとえば、今回のアクシデントも、ジョーイ・ニュートンが注意を喚起してくれたから、僕はジブシートを掴んでインパクトを軽減することができた。世界最強のセーリングチームに所属しているメリットは、セーラーや操舵手はもちろん、メディカルとレスキューチームまでのベストメンバーが揃っているということさ。だから、誰もが緊急時に適切なアクションを取ってくれる。僕たちは危機的状況に向けてしっかりと準備をしているけれど、そうならないことを願うね。

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