Box art from The Legend of Zelda: Breath of the Wild.
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ゲーム

Red Bull Gamingが選ぶ【2010年代ビデオゲーム ベスト10】

2010年から2019年までの10年でリリースされたあらゆるビデオゲームの中からベストと思えるタイトルを10本ピックアップした!
Written by Ben Sillis and Jamie Hunt-Stevenson
読み終わるまで:17分公開日:
10年あれば色々なことが起きる。
ビデオゲームの話をすれば、2010年代インディーシーンが巨大なシーンへ成長し、毎週に近いペースで素晴らしいタイトルをリリースするようになった10年だった。
また、メジャーメーカーが文字通りの “ゲームチェンジャー” (Nintendo Switch様!)をリリースするなど、それまでは考えられなかったスケールと野心に満ちたゲーミングエクスペリエンスが得られるようになった10年でもあった。
というわけで、2020年代も2010年代と同じような実りある10年になって欲しいと期待するばかりだが、とりあえずは素晴らしかった2010年代を讃えるべく、2010年から2019年までの間にリリースされたビデオゲームの中からベストと思える10本を紹介しよう(順不同)。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』

開発:CD Projekt Red
プラットフォーム:PS4 / Xbox One / Switch / PC
続編はただの派生作品になる時があれば、ただの反復になる時もある。
ポーランドのデベロッパーCD Projekt Red(2020年に最新作『サイバーパンク2077』をリリース予定)が自国出身の作家アンドレイ・サプコフスキのファンタジーノベルシリーズのビデオゲーム化も成功を収めるまでは3本が必要だった。最初の2本は可も不可もないクオリティで、現行機でプレイすることはできない。
しかし、最後の "3本目" はとんでもない作品になった。
どこから説明すれば良いだろうか? 広大で美しくてリアルなオープンワールドから始めるべきだろうか? 奥深い戦闘システムだろうか? 恐ろしい敵キャラクターだろうか? メインストーリーの延長だが中身のあるサイドクエストだろうか?
それとも、史上最高のゲーム内ゲームと評価されているカードゲーム『グウェント』(そのクオリティの高さからスタンドアロンのマルチプレイヤーゲームが開発された)だろうか? はたまた本編と同じくらい重要なDLC2本だろうか?
ウィッチャー3 ワイルドハント』は、表面上は超能力剣士ゲラルト(変な場所で愛を交わすのが好きな変わり者でもある)を中心としたストーリーの結末を描いた作品だが、実際は次世代機(当時)のためだけにいちから開発された世界初のAAAタイトルであると同時に、オープンワールドRPGをどれだけ磨き上げられるのかを世界中のゲーマーたちに最初に示した作品だった(Bethesdaさん、読んでいらっしゃいます?)。
手間暇をかけてじっくりと開発された『ウィッチャー3 ワイルドハント』は、デベロッパーのCD Projekt Redはもちろん、ゲーマー、そして業界にとって大いなる賭けだった。しかし、今や誰もが知っている通り、全員に “至福” をもたらすことになった。
Netflixは、2019年末に公開したドラマシリーズ『ウィッチャー』はサプコフスキの原作をベースにしていると発表しているが、このファンタジーノベルがカルチャーマップ上に置かれ、彼らが映像化に動いたきっかけになったのはこのビデオゲームだったということを忘れてはならない。
というわけで、とにかく一度プレイしてもらいたい。2019年にはNintendo Switchバージョンもリリースされているので言い訳は受け付けない。

『Celeste』

開発:Matt Makes Games
プラットフォーム:PS4 / Xbox One / Switch / PC
Matt Makes Gamesが開発したこの歯応え満点のプラットフォーマーは非常にタイトなコントロールに美しいピクセルアートとハイクオリティなサウンドトラックを組み合わせているが、これらはこの偉大な作品の表面にすぎない。
プレイヤーは主人公マデレンとして、タイトルにもなっている “セレステ” という山の頂上を目指すことになるが、すべてのステージにいくつものチャレンジが用意されており、ようやくステージクリアだと思った瞬間にまた新たなチャレンジが立ちはだかる。
いわゆる “死にゲー” なので何回も死ぬことになるが、気にする必要はない。ミスを受け容れ、そこから学んでいく『Celeste』では、「絶対無理」と思えるポイントを乗り越えたり、何回かのトライ後にクリアしたりすれば、その瞬間に計り知れない大きさの満足感を得ることができる。
この歯応えにメンタルヘルス自己承認を軸にした心優しいストーリーを組み合わせているこの作品は鬼レベルの難度驚くほど感動的なゲームエクスペリエンスを提供してくれる。この山をまだ登っていないなら、今すぐ登るべきだ。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』

開発:任天堂
プラットフォーム:Nintendo Switch / Nintendo Wii U
今回のリスト入りが100%確実で、さらには史上最高のビデオゲームという評価を各方面から得ているビデオゲームをどこから説明すれば良いだろうか?
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を最上級の褒め言葉で称賛するのは簡単だが、それではこの作品の楽しさの表面に触れるだけで終わってしまう。
非常に広大なスケールで、非常に野心的で、世界観は美しく、文句の言いようがないのは確かだが、Nintendo Switchのローンチタイトルを担ったこの作品を世の中の他のオープンワールドアドベンチャータイトルの説明に使われるような単語群だけで片付けることはできない。なぜなら、それらを遙かに超える存在だからだ。
オープンワールドを採用しているすべてのビデオゲームは「自由度の高さ」を売りにしているが、 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は “自由” を再定義しており、今やクリシェにもなっている「オープンワールド」を "真の形" で提供している。
このゲームがプレイヤーに与えられる自由度は非常に高く、他のオープンワールド系を完全に引き離している。遠くに見える巨大な山を登りたい? どうぞどうぞ。マモノたちを模したマスクを被って彼らと仲良くしたい? どうぞどうぞ。ゲームスタート直後にラスボスに挑戦したい? どうぞどうぞ!
むしろ、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、プロット(城へ向かって王女を助け出す)をあえて無視してこのゲームの “らしさ” を体験しておくべき作品とさえ言える。
武器や防具を身に着けず、ヒントもほぼない状態でただ気の向くままに探索するだけでも楽しく、防寒具を身に付け、遠くに光るほこらを目指して雪山を登るだけでも楽しい。また、塔の上に登って絶対的なポジティブ感を得たあと、広大なハイラルの遠くに何かを見つけ、「次はあそこへ行ってみよう」と思うだけでも楽しい。
オープンワールドを謳うビデオゲームの中で『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ほどオープンを感じられる作品はない。ひと言にまとめれば、 "人類がこれほどまでに素晴らしいオープンワールド作品に出会ったことはなかった" だ。

『The Last of Us』

開発:Naughty Dog
プラットフォーム:PS3 / PS4
相応しい人物に “エリー” と “ジョエル” の名前を出せば、通常は家族や親戚の葬儀でしか見られないような感情のほとばしりが見られるだろう。
そのような感情のジェットコースター秀逸なナラティブ最高のキャラクター設定を誇るのが、Naughty Dogが2013年にリリースしたクラシックタイトル『The Last of Us』だ。
今やゲーマーではなくてもこの作品のストーリーは知っているはずだが、知らないという人のために説明すると、『The Last of Us』ではどこかスッキリしない(正当な理由がある)ヒゲ面の主人公ジョエルが、若き日のエレン・ペイジ的ルックスの少女エリーを守りながら、米国民の大半を不気味なモンスター(クリッカーさん、見ていらっしゃいますか?)に変えてしまった疫病の治療薬を探す旅に出るというストーリーが用意されている。
この世紀末ストーリーは近年のポップカルチャーで使い古されている感があるが、感情の機微を重視している脚本と心に痛みを抱えている2人への愛情が、『The Last of Us』をただの “世紀末伝説” とは比べものにならない秀作にしている。
また、ゲームプレイ自体も非常に魅力的で、ステルスと強烈なアクションのコンビネーションがエリーとジョエルの「危機感」を補強している。しかし、全メディア屈指のストーリーテリングがやはりこの作品最大の魅力だろう。2020年5月29日には待望の続編『The Last of Us 2』がリリースされる。

『Portal 2』

開発:Valve
プラットフォーム:PC / Mac / PS3 / Xbox 360
『Portal 2』

『Portal 2』

© Valve

そのケーキは嘘かもしれない。しかし、それはそこまで重要ではない。
確かに『Portal 2』は2010年代で最も賢いビデオゲームなのかもしれない。しかしひとつだけ確実に言えることがある。それは、このゲームが2010年代で最も笑えるビデオゲームだということだ。
このゲームを開発したValveは、彼らの特徴である洗練さにウィットに富んだチャーミングなスタイルを組み合わせることで史上最高のパズルゲームを生み出した。
第1作から引き継がれているゲームシステムは非常に魅力的で、プレイヤーは “ポータル” を壁に作り出して、自分はもちろん、物体、絵画、ケーキなどをテレポートさせることができる。
しかし、続編の『Portal 2』は前作のパズル・プロット・ジョークを "ネクストレベルのネクストレベル" まで高めており、超高速でポータルを行き来しなければならない瞬間もある。さらに、シングルプレイヤーモードをクリアしたあとには同じく非常に優秀なCo-opモードが楽しめる。
今振り返ると、『Portal 2』が世界にもたらしたインパクトの大きさには少しばかりほろ苦さを感じる。というのも、この作品はメディアやプレイヤーから大絶賛されたのだが、Valveはこの作品を最後にナラティブ主導のシングルプレイヤータイトルの開発から手を引き、マルチプレイヤータイトルSteamの運営に集中するようになったからだ。
というわけで、『Portal 2』と『Portal』はどちらも優秀だが、現時点で『Portal 3』が手に入る可能性はゼロだ。しかし、先日発表されたVR専用タイトル『Half-Life Alyx』がValveの新章の始まりになるという意見もある。“3度目の正直” に期待しよう。

『The Elder Scrolls V: Skyrim』

開発:Bethesda
プラットフォーム:PC / PS3 / Xbox 360 / PS4 / Xbox One / Switch
膝と言えば…

膝と言えば…

© Bethesda

今回のリストで紹介しているシングルプレイヤータイトルの中でプレイヤーが最も多くの時間を費やした作品と言える『The Elder Scrolls V: Skyrim』は今見るとやや時代遅れでジャンクなゲームに思えるもしれないが、内容の素晴らしさは昔も今も変わらない。
オープンエンドなファンタジーストーリー、キャラクターメイクの自由度の高さ、倒せるドラゴンの種類… プレイヤーはこのゲームに用意されている多種多様な仕掛けに引き込まれていく。
プレイをスタートさせれば防具を揃えることに夢中になるだろう。友人やパートナーに「現実世界でやるべきことを何もやっていない!」と呆れられる日がやってくるはずだ。しかし、彼らは分かっていないのだ。セットボーナスの旨味を…。
おそらく、『The Elder Scrolls V: Skyrim』をただ「2010年代ベストゲームのひとつ」と評価するのは、このゲームにとってアンフェアだろう。このゲームは今回リストアップされているどのゲームよりも、そしてどのマルチプレイヤータイトルよりもゲーム以上なのだ。そう、このゲームは人生そのものなのだ。
また、『The Elder Scrolls V: Skyrim』はミーム製造機(「膝に矢を受けてしまってな…」や「トシコシダー!」を覚えているはずだ)でもあり、行き詰まった時にプレイする逃避空間でもある。
ファンならメインストーリーを何年も前にクリアしているだろう。しかし、クリアしているかどうかは関係ない。ファンはこのゲームをプレイし続ける。探索を繰り返し、歩き続ける。新しいMODをインストールしてまた旅に出る。『The Elder Scrolls V: Skyrim』は "すべての人にとってのすべて" なのだ。
すべての現行プラットフォームに対応しているので、カジートの生活をまだ知らないなら、今すぐタムリエルへ向かうべきだ。

『The Witness』

開発:Thekla
プラットフォーム:PC / Mac / PS4 / Xbox One / iOS / Android
iOSとAndroidにも対応

iOSとAndroidにも対応

© Thekla

The Witness』は非常にシンプルだが恐ろしいほど難しい。『Myst』のような小さな島を巡りながら、島内に配置されているパズルをスタートからゴールまでを一筆書きすることでクリアしていく。
ここまでの説明だけではもはや退屈にさえ思えるが、インディーパズルゲームの雄Jonathan Blowが率いるチームが用意しているすべてのパズルはプレイヤーの予想の斜め上のクオリティを誇っており、気が付けばグラフノートを使いながら膨大な時間をつぎ込むことになる(注意:1冊では済まない)。また、空を含む現実世界のあらゆるものにグリッドと線が見えるようになるはずだ。
『The Witness』が2010年代ベストゲームの1本に選ばれている理由は他にもある。これはJonathan Blow(とストーリーコンサルタントのTom Bissell)からのビデオゲームのナラティブへの回答でもあるのだ。
2人は現代のビデオゲームにおけるナラティブの扱われ方に不満を感じており、現代のナラティブはゲームプレイの添え物に過ぎず、映画的手法を真似ているだけと考えている。
このような意見を持つ彼らが開発した『The Witness』は実に勇敢で他とは異なり、この作品のナラティブは他とは一線を画している。『The Witness』はプレイヤーの解釈次第で自由に変わる作品なのだ。
実はストーリーも用意されているのだが、その内容を語るのは控えておこう。『The Witness』の2番目の隠しエンディングを見つけて、ビデオゲーム史上最高に素晴らしいエンディングビデオを楽しむことだけは忘れないようにしよう。

『INSIDE』

開発:Playdead
プラットフォーム:PC / PS4 / Xbox One / iOS / Switch
モダンアートとホラーの融合

モダンアートとホラーの融合

© Playdead

Playdeadの前作『Limbo』がもう数ヶ月前にリリースされていたら、2000年代の同リストの候補に入っていただろう。2010年7月にXbox Liveでリリースされた『Limbo』のインパクトは非常に大きく、活況を誇る現代のインディーシーンを生み出すきっかけとなった。
浮世を嫌う謎めいたデベロッパーとして知られる彼らが2016年にリリースした次作『INSIDE』も表面上は『Limbo』に似ている。このゲームも名前のない主人公がパズルを解いたり、番犬から逃げたり、撃たれないようにしたりしながらモノクロの世界を逃げていく。
しかし、今作のテーマは前作より野心的で、2Dパズルプラットフォーマーの枠を飛び越えている。数時間のプレイを終える頃にはただの「不気味な作品」から「他に類を見ない最高の作品」にイメージが大きく変わるだろう。
これ以上書くとネタバレになってしまうので、プレイを通じて感情のジェットコースターライド(その多くは身の毛のよだつ恐怖)を味わうことになるとだけ言っておこう。
注意:このゲームは必ず最後までプレイする必要がある。どんな理由があってもギブアップしてはいけない。クリアすればその理由が理解できるはずだ。

『SOMA』

開発:Frictional Games
プラットフォーム:PS4 / Xbox One / PC / Mac
ホラーには色々な種類がある。
たとえば、『Until Dawn - 惨劇の山荘 -』のようなホラーゲームは「ギャッ! ギャーッ! なんだ猫か!」的なアドレナリン大量放出モーメントにフォーカスしている(そしてそのようなモーメントをパーフェクトに再現している)。
一方、『サイレントヒル』のようなホラーゲームは呪いと陰惨なムードを用意することで性心理的不快さの限界をプッシュしようとしている。
そして、『SOMA』のようなホラーもある。
『SOMA』も問答無用で恐ろしい。簡単に説明すると『BioShock』シリーズにFrictional Gamesの前作『Amnesia: The Dark Descent』を掛け合わせたようなゲームと言えるのかもしれないが、実際はそれ以上だ。
ちょっとしたプロローグが終わると、プレイヤーはロボットが支配している水中遠隔研究施設へ放り込まれる…。ネタバレを防ぐためにストーリーの解説はここでやめておくが、その先に待っているのはおそらく近代ビデオゲーム史で最も意外で最も怖く、最も道徳的にチャレンジングなナラティブと言って問題ないだろう。
ロボットへの対抗手段を持っていないため彼らと “かくれんぼ” をしなければならないゲームプレイは手に汗を握る瞬間を大量に提供してくれるが、このゲームの他のホラーゲームとの最大の違いは、選択に困る状況を多数を用意してプレイヤーのメンタルをかき回すところにある。
絶体絶命のピンチでどれだけ無慈悲な行動が取れるのか? 人間であるための条件とは何なのか? その条件から外れる非人間的行動を取った時にどうやって自分を正当化するのか?
『SOMA』のプレイ時間は比較的短いがタフで非常に複雑なゲームに仕上がっており、プレイヤーキャラクターが出口や真実、希望を見つけようとする中、プレイヤーはこのようなビデオゲームがこの世にほとんど存在しないことに気が付くことになる。
最後にひとつ言っておくが、エンディングを見たあとで眠れなくなったなら、"人にあらず" の可能性があるので注意したい。

『Counter-Strike: Global Offensive』

開発:Valve / Hidden Path
プラットフォーム:PS3 / Xbox 360 / PC / Mac
esportsタイトルとして高い人気を誇る『CS:GO』

esportsタイトルとして高い人気を誇る『CS:GO』

© Valve

Counter-Strike』シリーズは20年前のリリース直後からオススメオンラインシューターとしてFPS通の間で高い人気を誇ってきた。
非常にシンプルな設定(テロリスト vs. 対テロ特殊部隊)、見事にデザインされているマップ、緊張感溢れる戦闘という第1作からの特徴がシリーズを追うごとにリファインされてきたが、ひとつのピークを迎えたのが2012年にリリースされた第4作『Counter-Strike: Global Offensive』だ。
『CS:GO』として親しまれているこの作品はマルチプレイヤーFPS史上最高のステージと新モード【Arms Race】【Demolition】を備えている。また、既存の武器の改良と新しい武器の追加も行われているこの作品は銃撃戦の緊張感をさらに高めることにも成功した。
また、人気esportsタイトルとして高く評価されていることが、2010年代もしくは史上最高のマルチプレイヤーシューターのひとつという地位をさらに確かなものにしている。
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