記録的なタイムでの世界最高峰登頂や、世界で最も深い海での生物発見であろうと、現代の冒険家たちは従来のアドベンチャーをさらにエクストリームな領域へプッシュしている。
今回は、世界を股にかけながら様々な記録を打ち立てて我々にインスピレーションを与えている冒険家10人を紹介しよう。
ロッククライミングからケイブダイビング、南極のエクスペディション、ビッグマウンテンフリースキーまで、あらゆる偉業を達成してきた彼らは、これからも様々な形で我々を驚かせてくれるはずだ。
アンジェイ・バルギエル
2分
Watch Andrzej Bargiel's epic descent from K2
On July 22, 2018, Andrzej Bargiel completed the first-ever descent of K2 on skis – watch his nail-biting descent here.
アンジェイ・バルギエルはビッグマウンテン・スキーのエキスパートだ。このプロフェッショナルフリースキーヤー / 登山家は、2018年に世界で2番目に高い山として知られるK2を初めてスキーで滑降した。
これまで不可能と考えられてきた偉業を成し遂げる過程で直面したチャレンジについて、バルギエルは次のように語っている。
「急斜面のセクションが1つ、2つあり、安全に滑降するなら適切な時間に通過する必要があった」
「雪が固すぎず柔らかすぎず、雪崩の危険がなく、必要な場所に日光が当たっていて、気温が高すぎない時間帯を狙わなければならなかった。セラック(氷塊)が頭上から落下してきてしまうからね」
このバルギエルによるエクスペディションは、ヒマラヤ山系全体のマウンテニアリングとスキーエクスペディションの新章を切り開いた偉業として称賛された。
ニルマル・プルジャ
わずか1カ月で8,000m級6峰を登頂したことで知られるニルマル・プルジャは、瞬く間にネパールで最も有名なアドベンチャースターとなった。
2019年4月3日、標高8,091mのアンナプルナに登頂したプルジャは、続けてダウラギリ、カンチェンジュンガ、エベレスト、ローツェも登頂し、5月24日のマカルー登頂で締めくくった。
しかし、プルジャのアドベンチャーは苦難と無縁ではなかった。アンナプルナから下山した彼のクルーはトレイルから忽然と姿を消したドクターの捜索・救出活動に協力することになったのだが、この活動がプルジャにこの日2度目のスピード登頂記録更新の機会をもたらした。
また、カンチェンジュンガではプルジャのチームが酸素不足で方向感覚を失っていた3人の登山者を発見し、彼らをアシストした。
2019年のプルジャは7カ月で8,000m級峰14峰を登頂するプロジェクト「Project Possible」に挑んでいる。
レオ・ホールディング
多くの人が、レオ・ホールディングこそ現代の英国アドベンチャーシーンの代表と認めている。
10歳でロッククライミングを始めたホールディングは、活動拠点を北ウェールズのランベリスに移したあと英国ジュニアインドアクライミングのチャンピオンに輝いた。
また、彼は『Top Gear』や『Extreme Lives』のような英国の人気TV番組にも出演しており、これらの番組を通じて複雑なルートを攻略する天賦の才を示している。
2013年、ホールディングは南極のウルヴェタンナ峰に遠征し、クルーと共に北西尾根に新ルートを開拓した。また、最近も南極スペクトラ峰(世界で最も僻地にある山)の登頂を目指す1,600kmトレックを完遂した。
ブライアン・カカック
海中洞窟探検家のブライアン・カカックはダイビングコミュニティの中では控えめな存在だが、世界で最も素晴らしいアドベンチャーをいくつか成し遂げている。
バハマに活動拠点を置いているカカックは沈没船の初探検や長くその存在を忘れられていた海中洞窟での化石の発見などに成功している。しかし、彼が本気で情熱を注いでいるのはバハマに無数に点在するブルーホールの海中洞窟網の地図作成だ。
最深103mまで潜って調査しているカカックは1,000個以上のブルーホールを繋ぐ広大なエリアを探索しているが、地図が作成できているのはその20%弱だ。
コリン・オブレイディ
22歳で命が危ぶまれる大やけどを負ったコリン・オブレイディは、探検家グランドスラムと七大陸最高峰登頂の最速達成記録更新を成し遂げている。
また彼は、米国50州最高標高地点をわずか21日で完全制覇するという、これまで300人弱しか挑んでこなかったチャレンジにも成功した。
しかし、彼が世間の注目を集めることになったのはその次のアドベンチャーだ。2018年12月、オブレイディは世界初の南極大陸無支援単独横断を達成したのだ。
最後のレグ128kmを33時間で踏破した直後、彼はInstagramのフォロワーたちに次のような言葉を伝えた。
「最後の32時間は僕の人生の中で最もチャレンジングな時間でしたが、これまで経験した中で最高の時間でもありました」
オーシャン・ラムジー
オーシャン・ラムジーはホホジロザメとのフリーダイビングで広く知られており、彼女の行動は世界中で展開される自然保護への取り組みに注目を集めるひとつのきっかけとなった。
2019年1月、ラムジーは体長6mを超す妊娠中のホホジロザメとフリーダイビングしたことで世界中のニュースヘッドラインで取り上げられた。
現在ハワイ・オアフ島に住むラムジーは、自らのチームと共にフリーダイブを続けており、これまでに32種類超のサメとのスイムに成功している。
マイク・ホーン
マイク・ホーンはプロ探検家としてキャリアを築いてきた。
赤道世界一周、カヌーでのアマゾン川全流域制覇、北極圏一周などに成功してきた南アフリカ出身のホーンは52歳を迎えたが、世界を巡る彼の探検はまだ終わりからは程遠い。
ホーンは2019年内にヨットで北極海を渡って北極に上陸したあと、北極点までトレッキングする極地アドベンチャーに挑む予定だ。
サラ・マクネア=ランドリー
サラ・マクネア=ランドリーは弱冠18歳で南極点単独スキー到達を達成し、19歳で犬ゾリでの北極点到達を成し遂げた。彼女は両極点到達最年少記録を更新したが、彼女のアドベンチャーはこれだけでは終わらなかった。
2016年、マクネア=ランドリーはプロカヤッカーのエリック・ブーマー&ベン・ストークスベリーと共にグリーンランド氷床でのカイトスキーエクスペディションに挑み、また世界初となるカヌーによるアークティック川(米国アラスカ州)での川下りも行った。
彼女はこのエクスペディションの最初のステージで背中を骨折するアクシデントに遭ったが、その後も痛みに耐えながらエクスペディションを続行した。
エリック・ヒョルリーフソン
フリースキーシーンのベテラン、エリック・ヒョルリーフソンは、アドベンチャーファンからシーンを裏から支える重要人物のひとりへと徐々にキャリアアップしてきた人物だ。
カナダ・アルバータ州キャンモアで新しいフリースキーラインを探していない時の彼は、スキーブランド4FRNTのためにスキーやグラフィックのデザインを手がけている。
ヒョルリーフソンは、スキーシーンにおける彼のアーティスティックで冒険的なキャリアに焦点を当てた、2018年にMatchstick Productionsがヒットさせた映像作品『Hoji』で大きく取り上げられた。
ビクター・ベスコーボ
2019年4月、実業家であり投資家でもあるビクター・ベスコーボはマリアナ海溝で世界最深ダイビングに挑み、海深10,928m地点に到達すると同時にそれまで未確認だった海洋生物3種を発見した。
また、ベスコーボはマリアナ海溝最深部のチャレンジャー海淵でそれまで存在が記録されていなかったクサウオやユムシなども発見したあと、付近のシレナ海淵で探索を続け、学術研究資料としてマントル岩石も採集した。