ゲーム
「リアルタイム」に背を向けた魅力的でモダンなターン制ストラテジーゲームを紹介する。
2016年はここ数年で間違いなく最高のゲームイヤーになりそうだ。今のところ『ファークライ プライマル』、『ディビジョン』、『DARK SOULS Ⅲ』、『ストリートファイターV』、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』がリリースされ、『No Man's Sky』と『Gears of War 4』も近々リリースされる予定だ。しかし、期待されている数多くのインディータイトルを考慮に入れると、これらのゲームは氷山の一角に過ぎない。今年のリリースが確実視されている他の数多くのタイトルが今年のE3で発表されるはずだ。
ビッグタイトルの大半は、最も人気が高い派手なアクションゲームに偏っているが、意外なことにハイクオリティなターン制ストラテジーゲームも密かにリリースされている。これまでのターン制ストラテジーは忘れられてはいないものの、数週間ごとにヒットタイトルがリリースされるようなジャンルではなかったが、どうやら状況が変わりつつある。
2016年はターン制ストラテジーゲームの1年になっており、伝統的なタイトルから、既存のルールをややアレンジしたタイトルまでがリリースされている。ここ数年で人気を博していたベストタイトルのいくつかは家庭用ゲーム機へと移植されているが、PCだけでリリースされて称賛の嵐を巻き起こしているタイトルもある。リリース済み、リリース予定を問わず、今年のターン制ストラテジーゲームのベストタイトルを探す手助けとして、今回は是非ともプレイしてもらいたい7タイトルを紹介しよう。
『XCOM 2』
2012年にリリースされたクラシックシリーズの復活作『XCOM: Enemy Unknown』は、新世代のプレイヤーたちにターン制ストラテジーを紹介するきっかけとなった。それから4年経った今、オリジナルを凌ぐ続編がリリースされた。『XCOM: Enemy Unknown』から20年後に相当するエイリアンが勝利を収めた世界が舞台となっているこのゲームでは、プレイヤーは反乱軍を指揮してエイリアンを地球から撃退しなければならない。小隊をミッションに送り込んでターンごとにグリッドベースのマップを移動するという基本的な部分は維持されている。戦術と正しいポジショニングが勝利のカギで、そこに失敗してしまえば小隊は殲滅され、二度と復活できない「ロスト」になってしまう。また、小隊のメンバーの作成と命名ができるシステムも備わっているので、リアリティは抜群だ。自分の妹が巨大な蛇に倒されるのを見るのは辛い。『XCOM 2』はこのジャンルを定義づける作品であり、年内にこれを越えられる作品に出会うことは難しいだろう。PC限定リリースというのは実にもったいない。
『Atlas Reactor』
『XCOM』と『Dota』を組み合わせた作品と評価されている『Atlas Reactor』は普通のターン制ストラテジーとは違う。4対4のチーム制ターンバトルで、最もキルが多い方が勝者となる。ターン開始時に両チームが同時に行動を決定し、その通りのアクションが同時に展開される。決定フェーズで入力された各アクションは、準備>回避>攻撃>移動と優先順位がつけられた結果フェーズで表示される。つまり、攻撃されると感じたならば、決定フェーズで回避系のアクションを選択しておけば良い。こう書くと複雑に思えるかも知れないが、ゲームプレイ自体は見かけによらずシンプルで覚えやすく、MOBAのような多種多様なヒーローが用意されており、それぞれの特徴を学んでいくことで奥深さが感じられる。『Atlas Reactor』は現在PCでベータテスト中だが年末までにはリリースされる予定だ。
『Master of Orion: Conquer the Stars』
Wargamingは『World of Tanks』や『World of Warplanes』や『World of Warships』を含む『World Of』シリーズで知られているデベロッパーだが、パブリッシャーのWG Labsを新設したことで、より伝統的なゲームの開発に注力できるようになった。その第1弾になるのがターン制ストラテジーのクラシックタイトル『Master of Orion』のリバイバル作品『Master of Orion: Conquer the Stars』だ。このオーソドックスな4Xゲームは、現在Steamの早期アクセスでリリースされているが、現時点での仕上がりは素晴らしいのひと言に尽きる。クラシックなゲームプレイはすべて残されているが、ヴィジュアルやAIが改良され、敵を倒す方法も増えており、モダンな作品に仕上がっている。まだチュートリアルが存在しないなど、足りない部分も目立つが、早期アクセスのゲームにしては限りなくパーフェクトに近い仕上がりだ。巨大な銀河を探索するチャンスがやってきた!
『Hitman GO』
『Hitman GO』は2014年にリリースされたゲームアプリだったが、2016年諸島に家庭用ゲーム機とPCの両方にアップデートされた形で移植された。サードパーソンステルスアクションの『ヒットマン』がターン制のパズルに生まれ変わっており、各ステージで主人公のヒットマン “47” を誘導してターンごとに監視を逃れたり、倒したりしながらターゲットを目指す。つまり、監視がどこへ移動するかを先読みして、彼らに見つからないように進まなければならないのだが、後半には高難易度のステージが待ち構えている。「『ヒットマン』をターン制ストラテジーゲームにしました」と書くとなんとも間抜けだが、ゲーム自体は素晴らしく、プレイする価値は間違いなくある。「最小ターンでクリアする」など、様々な実績も用意されているので、のめり込むこと請け合いだ。
『The Banner Saga 2』
『The Banner Saga』は2014年のサプライズヒットの1本で、数多くの年間最優秀ゲームにノミネートされた。これは続編で、数多くの改良がなされた上に、ゲームスピードも速くなった。ゲームをスタートすれば、1作目の続きからいきなりプレイできる。1作目をプレイしなかった人は慣れるまでに時間がかかる可能性があるが、比較的高難易度ではあるものの、伝統的なターン制ストラテジーなので基本はすぐに覚えられるだろう。また、見事なアートスタイルと力強いストーリーも用意されているので、楽しくプレイできるはずだ。
『ファイアーエムブレム if』
『白夜王国』、『暗夜王国』、『インビジブルキングダム』と3バージョンを用意することで、我々を混乱させたが、実際はひとつの作品である『ファイアーエムブレム if』は、このシリーズに再び勝利をもたらした。北米では今年の始めにリリースされ、欧州でも5月末にリリースされる。クラシックなバトルシステムが復活し、キャラクターたちが広大なマップの中で厄介な敵とバトルを繰り広げる。多種多様なキャラクターとプレイスタイル用意されているため、かなりのカスタマイズが可能になっており、更には同じバトルが行われることもない。3DSは『ファイアーエムブレム』にとって最適のゲーム機で、移動中に非常に奥が深いターン制ストラテジーがプレイできる。骨のあるストーリーと長時間のコンテンツにより長期に渡ってプレイが楽しめる。3バージョンすべてを購入したプレイヤーは特にそうだろう。また、高い中毒性と難易度を誇っているため、何度もプレイしたくなるはずだが、アーチャーの近くにペガサスを飛ばすのだけはやめてほしい。
『Invisible, Inc.』
『Hitman GO』に非常に良く似た『Invisible, Inc.』も既にPCでリリースされていたゲームだが、2016年に家庭用ゲーム機に移植されたので今回のリストに追加することにした。このローグライクのターン制ステルスゲームは、ゲームプレイとユニークな魅力を備えており、他のゲームとは一線を画している。ヴィジュアルの美しさは言うまでもないが、緊迫したゲームプレイと無限の可能性が『Invisible, Inc.』を素晴らしい作品にしている。仲間を撃とうとしている敵を間一髪のタイミングで裏切るなど、このゲームは他とは比べものにならないほどクレイジーなストーリーに溢れている。こなさなければならないミッションの種類は非常に素晴らしく、ターン制のステルスが程よい難易度を提供している。運に見放された時は特に難しく感じるだろう。『Invisible, Inc.』は一見シンプルだが、ゲームシステムを理解すると実は非常に複雑で魅力的だ。その複雑さだけでもプレイする価値がある。