Diablo and Stalamuerte at the Juste Debout 2018 final
© Little Shao/Red Bull Content Pool
ダンス
ブレイキンとヒップホップダンスにまつわる5つの誤解
ブレイクダンスとヒップホップダンスの違いを説明する際に用いられがちな誤解や通説の中から特に大きなものを5つピックアップして解説する。
Written by FraGue Moser-Kindler
公開日:

誤解1:ブレイクダンスとヒップホップは同じ

これは非常にトリッキーだ。この誤解が生じている原因は、昔から続いている "ヒップホップ" の定義に関する議論と、両者の違いを理解するために必要なコンテクストを説明せずに「ブレイキンはヒップホップ」と伝えているメディアにある。
元々、"ヒップホップ" という言葉は、ブレイキンブレイクダンスとして広く知られている)、グラフィティ(またはライティング / Writing)、MCラップ)、DJという4要素から構成されるカルチャー全体を意味していた。
その意味では、「ブレイクダンスとヒップホップは同じ」は正しい。しかし、カルチャーとしてのヒップホップの歴史を知らない人、またブレイキンと、ダンスとしてのヒップホップとの違いについて知りたがっている人は困惑してしまうだろう。
ダンスとしてのヒップホップ、つまり "ヒップホップダンス" は、 "ブレイクダンス" と同じく、ヒップホップシーンの外側に位置する人たちが、自分たちが完全に理解できていないものを説明するために生み出した便宜上の言葉だが、この言葉は多用されたため、現在はシーンの外側でも広く使われている。
ヒップホップダンスは、1970年代と1980年代に生まれたソーシャルダンス(広義としての社交ダンス)がベースで、住んでいる地域や国によっては、ヒップホップフリースタイルフリースタイルヒップホップニュースタイルニュースタイルなど、別の名前で呼ばれている。
Hip-Hop dancer Kyoka and b-boy Neguin perform in Paris.
Kyoka & Neguin

誤解2:ブレイクダンスはアクロバットでヒップホップはダンス

これは正しくもあり間違いでもある。素人にこれを話せば「へー」と尊敬してもらえるかもしれないが、シーンを知っている層に話せば冷たい目で「は?」と言われるだろう。
まず、基本的にB-BoyB-Girlはヒップホップダンサーよりもアクロバティックなムーブを使うことが多い。これは間違いではない。ブレイキン(ブレイクダンス)は床を使うムーブが多く、ヒップホップダンスは立った姿勢のまま行うムーブが多い。
しかし、近年はヒップホップダンスも床を使ったムーブを多用するようになっており、ブレイキンとの違いが分かりにくくなっている。大会ではこの傾向が特に強い
しかし、B-BoyとB-Girlに「君たちのはダンスじゃない」と言えば、許されざる侮辱として受け取られるだろう。彼らのダイナミックなムーブが "ダンスをしている" という事実よりも目立ちやすいため、このような誤解が生まれている。
Bboy Noe performs a headspin at the Red Bull BC One Cypher in Paris, France on July 5th, 2014
ブレイキンで最も有名なムーブのひとつヘッドスピン

誤解3:ブレイクダンスとヒップホップの違いは音楽を聴けば分かる

音楽を聴けばダンススタイルの違いが分かる時代があったのは確かだ。各ダンススタイルはそれぞれ異なる音楽から生まれたもので、それぞれの音楽のバイブスやボキャブラリーには大きな違いがあった。
しかし、長い歴史の中で2つのダンススタイルは大きく進化しており、スキルに優れたダンサーたちはあらゆる音楽に合わせられるようになっている。複数のダンススタイルをマスターして、それらをシームレスに繋げているダンサーも多い。
Buddha Stretch performs his judge move at the Hip Hop 1 On 1 Battle "DO OR DIE" during the Red Bull BC ONE Camp in Hirosaki, Japan on June 30, 2017
Buddha Stretch

誤解4:ヒップホップは振り付けが全て

これは単純に間違っている。ヒップホップダンスとブレイキンは基本的にどちらもフリースタイルだ。つまり、ダンサーたちは決められたムーブを披露するのではなく、その場でプレイされている音楽に合わせて即興で踊っている。
もちろん、共に振り付けを用意することも可能だが、振り付け(コリオグラフィー)でスタイルが決まるわけではない。
この誤解は、生徒を増やせるという理由から、多くのダンススタジオが "ヒップホップ" という言葉を積極的に用いたことから生まれた。
スタジオのジャズダンス出身の先生が、ヒップホップやR&Bの音楽に合わせてヒップホップ的な振り付けを教えるクラスを用意するようになったのだ。彼らのこのスタイルは、本来なら "ストリートジャズ" と呼ばれるべきものだが、"ヒップホップ" という言葉を使った方が生徒を増やせるため、この言葉がもてはやされた。
Greenteck teaching a workshop about popping at a dance studio in Zagreb, Croatia on March 25th 2018
クロアチアのワークショップでポッピングを教えるGreenteck

誤解5:B-BoyとB-Girlは音楽を聴いていない

これは前述の「ブレイキンはアクロバット」という考えから派生した誤解だ。
ブレイキンを見ている人たちが、アクロバットなムーブだけに注目してダンスとしての側面を見過ごしてしまうのと同じように、音楽の重要性を軽視している先生に教われば、B-BoyとB-Girlはムーブのアクロバット的要素と難度だけにこだわるようになってしまう。
人生の他の部分と同じで、ダンスにも良い先生悪い先生がおり、悪い先生は、ダンスにおける音楽の重要性を理解しないB-BoyとB-Girlを生み出してしまう可能性がある。しかし、フリージャムに出向いて、スタジオの外で繰り広げられているダンスの美しさを知れば、音楽の重要性に気付けるはずだ。
Cloud and Neguin perform in the streets of Bucheon, South Korea on September 23, 2017
韓国のストリートでパフォーマンスするNeguinとCloud