マルティン・ソーダーストロムは、最もスタイリッシュなMTBライダーのひとりだ。彼のバイクコントロールはもはや人間の域を超えている。しかし、どうやって実現しているのだろうか? 彼のInstagramアカウントを見てみると、いくつかのヒントが紹介されている。しかし、ビッグトリックのメイクに挑む前に、まずは今回取り上げている、ライディングをよりスタイリッシュに、より楽しくしてくれるシンプルなテクニックやトリックをマスターする必要がある。 ソーダーストロムの地上3mの高さまでバイクを浮かせたフリップも、ノーズボンクからテーブルトップへのスタイリッシュなシーケンスも、ダートジャンプでのバースピンも、全て彼がベーシックなテクニックとトリックをマスターしているからこそ実現できるものだ。このテクニックやトリックは、ハイスピードでスムーズでスタイリッシュなライディングの助けになるため、スロープスタイルのライダーだけではなく、どのカテゴリーのMTBライダーにとってもとても重要だ。第一、これらをマスターしたくないMTBライダーなどいないだろう。
冬を最大限活用して、以下の5つのテクニック&トリックを近所のスケートパークなどでマスターすれば、スタイリッシュなスタイルでトレイルライドが楽しめるようになるはずだ。
ウィリーはあらゆる局面で役に立つクラシックトリックのひとつだ。ダウンヒルやパンプトラックはもちろん、スーパーマーケットまでの街乗りでも活用できる。見栄えが良い上に、トレイルの障害物を乗り越える際に役立つ非常に実用的なトリックだ。
緩やかな登り坂を見つける。
サドルの位置を普段の半分まで下げる。
腕を曲げて胸をハンドルバーに近づける。
ペダリングしながら一気に上半身を起こしてフロントホイールを持ち上げる。
フロントホイールが持ち上がったら腕を伸ばし、重心を背中側に移してフロントホイールを上げ続ける。
ペダリングをしながらハンドルバーを引き続けて前進する。
ハンドルバー、膝、上半身を使ってバランスを維持する。
マニュアルとウィリーは一見したところ同じトリックに思えるが、ペダリングの力を利用してフロントホイールを持ち上げるウィリーに対し、マニュアルは重心を後ろにずらしつつ、ハンドルバーを手前に引いてメイクする。マニュアルもトレイルの轍など、様々な障害物を越えるのに非常に有用なトリックだ。また、マニュアルは、バニーホップをマスターするために必要なトリックでもある。
尻をサドルの後方にずらし、リアハブと同じ位置まで一気に下げる。
腕を使ってハンドルバーを引く(引きすぎないように注意する)。
尻と足を使ってバランスを取る。重心を前後に移動させてバランスを取りながら、フロントホイールを浮かし続ける。
バニーホップは、トレイルに向かう前にマスターしておきたい素晴らしいトリックだ。このトリックをマスターすれば、木の根や倒木、岩などをスピードを落とさずにクリアできるようになる。
このトリックをメイクするためには、フロントホイールをリフトアップするスキルと、リアホイールをリフトアップするスキルが必要になる。この2つのスキルを組み合わせつつ、パワーを爆発させれば、フロントホイールとリアホイールを同時に浮かせることができる。
バニーホップは、上記の2つのスキルを同時に行えるようになるまで練習しなければ綺麗にメイクできないので、我慢強く取り組もう。
バニーホップと同じく、ジャンプも空中にバイクを浮かせるトリックだ。しかし、バニーホップは平地でメイクするトリックだが、ジャンプはトレイルに置かれているフィーチャーを使ってメイクするので、微妙に違うテクニックが必要になる。正しくジャンプできるかどうかは、トレイルスキルの向上に大きな違いをもたらす。ダートジャンプから適当にジャンプするのではなく、正しくジャンプすることを心がければ、よりスタイリッシュでよりビッグなジャンプができるようになる。ジャンプをマスターすればメイク中に他のトリックメイクもできるようになるだろう。
慣れているジャンプに慣れたスピードで向かう(速すぎず、遅すぎず)。
重心はセンターに置いて、胸を沈める。
ジャンプのリップ(飛び出すための傾斜)で腕を使ってフロントホイールを押しつけ、バイクをリップに吸い付かせる。
リップの後半で重心を腕から脚へ移し、今度は脚でバイクをリップに押しつける。
リップから飛び出す際は、バニーホップの要領で、フロントホイールとリアホイールをそれぞれリップから離れる瞬間にリフトアップする。
空中では、できる限り重心をセンターで維持し、両腕と両脚を使って着地の衝撃を吸収する。フロントホイールとリアホイールが同時に着地するようにする。
空中姿勢が快適に取れるようになったら、ウィップをマスターしよう。ウィップは空中でバイクのテールを横に振るトリックだが非常にシンプルだ。また、最もクラシックでスタイリッシュなトリックのひとつでもある。
まずは、ジャンプのリップでバイクをカービング(グリップターン)させたあと、フロントホイールをターンさせながらジャンプし、着地前に元の姿勢に戻せるようになる必要がある。胸ではなく肩と腕を使ってフロントホイールをターンさせるイメージで練習してみよう。
フロントホイールは肩と腕を使ってターンさせるが、リアホイールを横に振り出すためには尻を使う。
バイクを元の姿勢に戻して正しく着地するためには、上記の動きを逆になぞっていく。たとえば、フロントホイールを左にターンさせて、リアホイールを反時計回りに振るなら、フロントホイールを右に戻し、リアホイールを時計回りに振り直す。
この元の姿勢に戻す作業が一番厄介に感じるはずなので、まずは小さなジャンプを使って、軽く横に振る練習から始めてみよう。
全てがマスターできれば、マルティン・ソーダーストロム風のライディングスタイルの完成だ。グッドラック!