タイトにまとまったバンドが優れた演奏技術でグルーヴィーなハーモニーを生み出すファンクトラックは、ブレイクダンサーたちにフレッシュな空気を届けてくれる。トップロックの時間を伸ばし、上半身をファンキーに揺らしたいと思わせるのだ。
DJがファンクトラックをドロップすれば、あらゆるダンサーがインディアンステップなどを存分に披露したい気持ちになる。
今回は、ファンクファンのB-BoyとB-Girlのために、今すぐプレイリストに追加しておくべきクラシックファンクのベスト6を紹介しよう。
1. Jimmy Castor Bunch「It’s Just Begun」
1972年にリリースされたこのトラックは、ブレイキン&ヒップホップカルチャーの中で最も有名で最も大きな影響力を持つトラックのひとつとなった。
今や世界的に有名なサックスフレーズから始まるこのトラックは、トップロックを楽しめるセクションや、全開でダンスできるブレイク、そしてクレイジーなポッピングに挑めるセクションなどを擁している。
歌詞にもあるように、このトラックは「グルーヴを感じて踊りたくなる」トラックだ。後半に向かうとリズムがさらに力強く打ち出されていき、ディレイがかかったタイトルコールで終わる。
1972年にリリースされたアルバム『Ege Bamyasi』に収録されている、Jaki Liebezeitのステディ&グルーヴィなドラミングが特徴のこのプログレファンクトラックは、BPMを上げてプレイされる時もある。 ダモ鈴木の「You’re Losing Your Vitamin C(ビタミンCが足りない)」というフレーズも耳に残るが、やはりこのトラックは我を失ってしまうほどファンキーなリズムに尽きる。
3. The Soul Searchers「We The People」
同じく1972年にリリースされたソウルフルでジャジーなこのファンクトラックは、ブレイク連発のドラミングが特徴的だが、特徴的なトロンボーンも特徴だ。
このトラックは、テクニック自慢のバンドの演奏の熱量が徐々に高まっていくので、このトラックで踊りたければ、バンドに振り切られないように注意する必要がある。ヴォーカルのChuck Brownの熱の入れようにも注目だ。
また、このトラックのタイトルと歌詞の一部「I got a little story I wanna tell ya, about we the people / 俺たちについて話しておきたいことがある」は、“人” が支えてきたヒップホップカルチャーにパーフェクトにフィットする。
コンガ、ギター、ホーンセクション、ピアノ、ドラムがタイトに絡み合うこのトラックが生み出すファンクネスは、ブレイクダンサーたちが自己表現するのに十分だ。
4. James Brown「Give It Up Or Turn It Loose」
1969年にリリースされ、R&Bチャートのナンバーワンに輝いたこのトラックは、タイトな演奏とJames Brownの語りかけるようなヴォーカルが特徴だ。
このトラックのブレイクが鳴り響けば、あらゆるブレイクダンサーがトップロックからアップロックまでを披露したくなるだろう。
「When you see me coming, hold your head down / 俺様を見たらひれ伏すんだ」、「Clap your hands, stomp your feet / 手を鳴らせ、足を踏み鳴らせ」と煽るJames Brownのセリフが、ダンスフロアのグルーヴをキープしてくれるはずだ。
繰り返される「Baby! / ベイビー!」のシャウトもフロアにいるブレイクダンサーたちを盛り上げてくれる。
1970年にリリースされたこのトラックは、Edwin Starrの力強いヴォーカル、ソウルフルなゴスペルエナジー、印象的なピアノフレーズ、女性バッキングヴォーカルが特徴だ。
また、このトラックはタイトルが非常に重要な役割を果たしており、歌詞の至るところに「Time」というワードと「It takes time」というフレーズが盛り込まれている。
「Time」というフレーズが繰り返されるたびに、ブレイクダンサーはファンキーなヒットを繰り出したくなるはずだ。
6. Dennis Coffey「Scorpio」
ギターフレーズがドラムと絡み合うファンキーでクールなこのインストゥルメンタルトラックは、1971年にDennis Coffey & The Detroit Guitar Bandがリリースしたクラシックファンクだ。
ファンクの枠に入れておくのがもったいないほどのクールさを誇るこのトラックは、スムーズなスタイルのダンスにもパーフェクトだ。
また、ヴォーカルなし、ドラム、ギター、ベースのシンプルなアレンジが全体のスペースに余裕を生み出しているため、ブレイクダンサーが自由に自己表現ができるセクションが普通のトラックよりも多い。