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ミュージック

1997年を彩った傑作アルバム 7枚

リリースから20年経過した今なお色褪せない不朽の名作アルバムを紹介しよう。
Written by Phillip Williams
読み終わるまで:6分Published on
1997年を覚えているだろうか? 英国では人気子供番組『テレタビーズ』がスタートし、当時まだフレッシュだった政治家トニー・ブレアが英国首相に就任し、そして音楽は… そう、黄金時代の真っ只中だった。
今から紹介するアルバム7枚は未だ色褪せないクラシックで、1990年代を懐かしむ世代にとっても、当時の記憶がない世代にとっても必聴だ。それでは早速チェックしていこう。

Chemical Brothers『Dig Your Own Hole』

ロンドンで絶大な影響力を誇っていたパーティ、Heavenly SocialのレジデントDJだったEd SimonsとTom Rowlandsにとっての1997年は、アンダーグラウンド・ダンスデュオとしてUKメインストリームに躍り出る年になった。1995年のデビューアルバム『Exit Planet Dust』がThe Prodigyや OasisのNoel Gallagherなどを含む友人たちから高評価を得たが、その翌年に後者とコラボレーションした、The Beatlesに影響されたエレクトロニック&サイケデリックな「Setting Son」を先行カットし、初のUKシングルチャート・ナンバーワンを獲得した。
エレクトロニック・ミュージックは時代と共に陳腐なものへ風化することがある。しかし、レイブのエナジーとPublic Enemy的なマシンファンクが融合したハードなエレクトロニックファンク『Dig Your Own Hole』はまだそのパワーを失っていない。

The Prodigy『Fat Of The Land』

1997年当時、The Prodigyを知らないアンダーグラウンド・ダンスミュージックファンはいなかった。廃墟となったロンドンの地下鉄の駅で、逆モヒカンのKeith Flintが狂ったように叫び歌うミュージックビデオ「Firestarter」は、エセックスのレイブシーンを世に知らしめ、「Diesel Power」や「Breathe」など、Liam Howlettが手がけたトラック群はハードコアダンスやパンクロック、ヘヴィメタルなどを組み合わせた前代未聞のヘヴィフュージョンだった。そして、Ultramagnetic MCsの「Give the Drummer Some」からKool Keithのヴォーカルをサンプリングした「Smack My Bitch Up」は一時放送禁止になるなどの物議を巻き起こす問題作となったが、ヨーロッパ、北米、南米で大ヒットし、USチャートでナンバーワンを獲得した。

Radiohead『OK Computer』

ローマ帝国崩壊について歌う6分半の奇妙なプログレッシブロック(「Paranoid Android」)を含むアルバムをリリースするには、かなりの自信が必要になるが、Radioheadは物怖じすることなくそのアルバム『OK Computer』をリリースした。しかも奇妙な楽曲は「Paranoid Android」だけではなく、Macのスピーチプログラムを用いた「Fitter Happier」なども含まれていた。『OK Computer』はかなりコンセプチュアルなアルバムで、不安や苦悩に支配された情報化社会をテーマにしたダークな作風だったが、世の中の良くあるシングルコレクションよりも売れた1枚となり、収録曲の「Airbag」や「Karma Police」などは彼らのベスト曲として常に高く評価されている。

Björk『Homogenic』

Radioheadと同様、Björkも1997年に自らのアートをより奇妙でよりコンセプチュアルな領域へ押し進めた。「Jóga」や「Immature」は恋愛関係や失恋について歌う楽曲だが、アコーディオンやグラスハーモニカ、Icelandic String Octet による鳥肌が立つようなストリングス、そしてLFOのMark Bellによるエレクトロニックサウンドなど、既存の枠に囚われない様々なサウンドが、それらの楽曲に万華鏡のように次から次へと表情を変える美しいレイヤーを付け加えた。
Björk はその後も2001年の『Vespertine』や2004年の『Medúlla』など、素晴らしいアルバムを立て続けにリリースしたが、人間のぬくもりと実験的なサウンドがパーフェクトな形で融合している『Homogenic』からは、最高傑作としての響きが今も感じられる。

Daft Punk『Homework』

Daft Punkが世界を股にかけるディスコロボットになる前、Thomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoはパリのインディーロックバンド、Darlin’のメンバーだった。しかし、『Melody Maker』誌に自分たちのサウンドが「低質でパンクな(Daft Punky)スラッシュメタルで、将来の道はない」と酷評されたことを受け、2人は新たにエレクトロディスコサウンドのデュオ、Daft Punkとしてリスタートした。
『Homework』が元々「シングルの寄せ集め」を目指していたこと(Thomas Bangalter談)を踏まえると、このアルバムの完成度は称賛に値する。2001年の『Discovery』によって彼らはシーンのトップに躍り出たが、デビューアルバム『Homework』は今でも “リトルクラシック” に感じられるサウンドだ。

Wu-Tang Clan『Wu-Tang Forever』

Wu-Tang Clanのデビューアルバム『Enter The 36 Chambers』はディープな作品として評価されたが、スタテン・アイランドが誇る彼らの魅力が凝縮された29曲が詰まったダブルアルバム『Wu-Tang Forever』は大ヒットとなった。B級カンフー映画のセリフのサンプリングや、グラスがガタガタとぶつかり合う地下の安酒場を彷彿させる強烈なベースラインなどは前作から引き継がれているが、今作ではやや緊張感が弱まっており、Ghostface Killahが存在感を発揮するトラック「Impossible」や傑作「Deadly Melody」に至るまで、アルバム全編を通してフレッシュな映画的な質感が加えられている。ニューヨーク産ヒップホップの金字塔だ。

Roni Size and Reprazent『New Forms』

1990年代中盤、ジャングルがロンドンから西のブリストルへと拠点を移すと、ブリストル独自のサウンドシステムカルチャーと融合して新しいスタイルが生み出された。そして、その融合の最大の業績は、Roni Sizeと彼のコレクティブ、Reprazentのデビューアルバム『New Forms』だろう。
このアルバムは、彼らと同世代のドラムンベースアーティストたちのサウンドと比較すると、より洗練された、よりジャジーで、よりソウルフルなサウンドだが、ドラムンベースとしてのクオリティは落ちていない。むしろ、「Brown Paper Bag」のようなトラックは、複雑でファンキーな音楽の頂点を極めたようなサウンドに仕上がっている。