Abbie Eaton
© Andrew Soul
Motoring
『グランド・ツアー』のテストドライバーに迫る
車好きなら誰もが知っている世界的人気番組のあの “最速の女性” に話を聞いた。
Written by Greg Stuart
読み終わるまで:6分Published on
    
「“最速の女性” って一体誰なんだ? アビー・イートンって誰なんだ?」と思っていた車好きは少なくないはずだ。
2017年、元F1ドライバー、マーク・ウェバーを含む数々のトップドライバーたちを退けて、Amazonプライムの人気車番組『グランド・ツアーシーズン2のテストドライバーに選ばれたのが、アビー・イートンだ。
『グランド・ツアー』のテストドライバーになれるチャンスがあると友人から伝えられた時は騙されていると思ったイートンだが、シーズン1で嫌われた “アメリカ人” こと現役NASCARドライバーのマイク・スキナーの後任として、ジェレミー・クラークソンリチャード・ハモンドジェームズ・メイがホストする大人気番組のシーズン2のテストドライバー役を見事に射止めた。
アビー・イートン
アビー・イートン© Natalie Moore
今回は、シーズン2の撮影を全て終えたイートンをキャッチして、契約上触れられない部分も多かったが、“永遠の小学生” たちとの日々について、そして『グランド・ツアー』が彼女のレーシングキャリアにもたらした影響について話してもらった。
『グランド・ツアー』のテストドライバーになった経緯を教えてください。自分になるとは思っていなかったのではないですか?
レーストラックに向かって撮影に参加してくれというメールが友人から届いたんです。初めてそのメールを読んだ時は騙されているんじゃないかと思いましたが、その翌週にスウィンドンへ向かって撮影チームに合流するように伝えられて、正式なオファーだということが分かりました。
レーストラックとしての “エボラコース” はどうですか? シルバーストンに匹敵するクオリティなのでしょうか?
エボラコースは難しいですが、走り甲斐のあるレーストラックですね。気を抜けば簡単に振り回されてしまうセクションが多いですし、正式なレーストラックとして扱う必要があります。正しく走れれば、最高の感覚が得られますよ。
コーナーの大半はブラインド&オフキャンバーなので、出口がどうなっているのか分かりません。鹿キジが待っている可能性があります。実際、野生動物がコース上に出てきて走れなかったことが何回かありました。
『グランド・ツアー』シーズン2のトレイラーをチェック!
危険を感じた瞬間はありましたか? 鹿をひきそうになったことは?
非常にトリッキーなレーストラックなので、当然ながらマシンに慣れるためのテストラップでいくつかのミスをしました。英国ならではの “残念な” 天候の時はミスをする回数が多かったですね!
Mercedes AMG GT Rでは少し怖い思いをしました。タイムアタック前に数ラップを走ってタイヤの温度を上げていたのですが、“変電施設” に直前の狭いセクションの左側にバンプがあり、リアエンドが少しずれてしまったんです。あそこはコースアウトしたくないセクションなので、心拍数が跳ね上がりましたね…。
エボラコースにランオフエリアはありません。ミスをすれば木に突っ込んでしまいます
アビー・イートン
個人的に一番気に入っているセクションは、“イズント・ストレート” の右ブラインドコーナーです。エボラコース最速セクションですし、コーナーの途中に凹凸がありますし、出口にはArmcoのバリアが置かれているので、限界でドライブをしていれば、アドレナリンが大量に放出されます。時速150km/hでマシンがスライドしたことも何回かありました。ランオフエリアもなく、ミスをすれば木に突っ込んでしまいます。
“エボラコース” で危険な瞬間を体験した
“エボラコース” で危険な瞬間を体験した© Lee Marshall
様々なマシンをドライブできるのがテストドライバーの醍醐味のひとつだと思いますが、『グランド・ツアー』のベストマシンはどれでしたか? ワーストマシンについても教えてください。
難しい質問ですね! 素晴らしいラインアップをドライブできたのは本当にラッキーでした。どのマシンもユニークな特徴を備えています。
Lamborghini Huracán Performanteはスペシャルな1台でしたね。あのレーストラックに最適なマシンでした。4輪駆動が631bhpのパワーを引き出していましたし、低速コーナーでは素晴らしいトラクションが得られました。2輪駆動のマシンでは十分なトラクションが得られないんです。
ですが、ベストマシンを選ぶならFord GTですね。ハンドリングは最高で、カーボンセラミックブレーキも非常に優秀でした。自信を持ってドライブできます。ドライバーの入力にスムーズに反応するので、どんどんプッシュしたくなります。
ですが、わたしの場合は、シートの背もたれにパッドを足さなければなりませんでした。ステアリングホイールをできる限り近づけても、正しい姿勢が取れなかったんです。わたしの身長は178cmですので。
ワーストマシンを選ぶなら、Volkeswagen up! GTIですね。ですが、楽しくなかったという意味ではないですよ。このマシンは都市部をキビキビ走ったり、コーナーが多いタイトなレーストラックを走ったりするのに向いているんです。エボラコースはそういうレイアウトではないので扱いづらかったですね。
『グランド・ツアー』出演はレーシングキャリアに好影響を与えましたか?
『グランド・ツアー』のテストドライバーという肩書きは、わたしのプロフィールを素晴らしいものにしてくれましたし、実際、いくつかのオファーが届きました。ですが、自分のキャリアを考えて仕事を選ぶつもりです。
米国やヨーロッパでGT3ドライバーとして活躍したいですね。また、2019年1月のガルフ12時間耐久にも参戦できればと思っています。2017年に新しいレーストラックでテストドライブをすることなくFerrari 488 GT3でキャリア初優勝を挙げることができたのですが、この経験をしたことで、GT3フル参戦を願うようになりました。
オーストラリアのV8スーパーカーはドライバーを限界までプッシュします
アビー・イートン
ですが、究極の目標は、オーストラリアのV8スーパーカーのドライバーになることです。昔から観戦を楽しんできましたし、マシンの性能を最大まで引き出しているドライバーたちのスキルは、他とは比べられないほど高いレベルにあります。
V8スーパーカーのレースはドライバーを限界までプッシュしますし、あの環境で他のトップドライバーたちと切磋琢磨していけば、彼らと同レベルまで成長できるはずです。
現在の活動は?
2018年はGTレースにスポット参戦していく予定です。あとは、レッド&ホワイトのカラーリングをまとったHolden VH Commodoreのピーター・ブロック1983年レプリカに乗って、英国で開催されるHSCC Super Touring Car ChampionshipのGA6インビテーションクラスに参戦する予定もあります。
スペシャルなマシンを人気上昇中のレースでドライブできるのはラッキーですね。英国で1980年代のオーストラリアを代表するツーリングマシンをドライブするのを楽しみにしています。
アビー・イートンが母親とシルバーストンをドライブした映像をチェック!
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