MTB
YouTubeチャンネルの登録者が400万人を超え、これまでにない発想で世界中が注目する作品を発表し続ける若きMTBライダーでエンターテイナー、ファビオ・ヴィブマーを4つの動画から深掘り!
profile
- 出身地:オーストリア
- キャリアスタート:2010年
- 年齢:1995年生まれ 24歳
- サポート:Red Bull
- 特技:ダウンヒル
- 出世作:『Fabiolous Escape』
アルプスの山々が連なるチロル州で生まれ育ったファビオ・ヴィブマーにとってMTBとの出会いは、13歳の頃にYouTubeでトライアルバイク界のスーパーレジェンド、ダニー・マッカスキルの動画を見つけたことがきっかけだった。
MTBに魅了されたヴィブマーの才能はすぐに開花する。2012年に16歳でミュンヘンのレッドブルウィングスアカデミーに招待され、2014年には“Drop and Roll”に加わり本格的なブレイクを果たした。
それから数々のコンテストで優勝を果たし、競技者としてだけでなくYouTuberとしてもチャンネル登録者“400万人”を突破するなど幅広いシーンで注目される。これまでに視聴回数5,100万回以上を記録している『Fabiolous Escape』で、2016年にGoPro of the Worldの“Best Line Contest”で最優秀賞を勝ち取り、2020年1月に最新作『Israel Is My Playground』を公開した。
これが、ざっと洗い出したファビオ・ヴィブマーのプロフィール。ここでは、そんな彼の魅力を4つの名作動画から紐解く!
POINT 1
🎬 視聴回数1億回以上を記録した出世作!
『Urban Freeride lives』
【ストーリーハイライト】
- 1分23秒から、想像を絶するハイスピードでメイクされた疾走感あふれるギャップ越え。
- 2分43秒からのシーンでは、街中の階段をまるでオフロードのような柔軟さで駆け下り、ヴィブマーの圧倒的なスキルの高さに度肝を抜かれる。
- さらに、3分41秒からこの映像作品の最後のハンマートリックに観ているこちら側でさえ思わず叫んでしまうほどのダイナミックさだ。
- pickup動画の詳細 -
本作がYouTube上に公開されてからファビオ・ヴィブマーの名はMTB界のみならず、世界中のあらゆるシーンで知られることとなる。
地元オーストリアのザルツブルグを舞台に、ストリートからオフロードまで様々なスタイルをハイスピードかつ高次元テクニック満載で駆け抜ける5分間は、現在のヴィブマーの代表作だ。
視聴回数は1億回を超え、例えカルチャーに興味のない人であろうと虜にするような作品に仕上がっている。この映像では高速インターネット回線の宣伝も兼ねているため、ストーリー仕立てに構成されたコミカルな内容も見どころのひとつである。
現在までに『Urban Freeride lives』シリーズは3まで公開され最新作はオーストリアを抜け出し、フランスのパリを舞台に磨きのかかったヴィブマーの超絶ライドシーンが収められているので、『Urban Freeride lives 1』で虜になったならば『Urban Freeride lives 2』、『Urban Freeride lives 3』もすぐにYouTube上でチェックしてみてはいかがだろうか。
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POINT 2
🎬 スキルの高さとクリエイティビティが交差する名作の舞台裏
『Wibmer’s Law:メイキング動画』
【ストーリーハイライト】
- 1分40秒からのG-TURNとネーミングされたトリックは、ビジネスマン風のエキストラとともに成功させる高難度のコンビネーション技で、200回以上チェレンジしてようやくメイク。しかし最後には思わぬハプニングに見舞われる!?
- 25分6秒から、失敗すれば死ぬこともありえる恐怖のギャップ越えでヴィブマーがまさかの転倒。華やかな人気作品に隠された苦労のワンカットは必見だ。
- さらに、38分35秒からはヴィブマーが念入りにテストを重ねたミニダブルフリップのメイキングシーン。自らのテスト映像を繰り返し見た上で最善の方向性を探るプロ魂はさすがとしか言いようがない。
- pickup動画の詳細 -
トリックの95%をヴィブマー本人が考案し、本作においても世界初メイクのものをいくつも確認することができる。スキルの高さだけでなく、街や自然の見えかた、アイディアなど、他にはない彼のクリエイティブな思考がそれらを可能にするのであろう。
「笑えるシーンもあったし、笑えないシーンもあった。後者についてはとんでもなく難しいトリックがひとつあったんだ。タイミングを合わせるのが大変でさ」
「それで200回練習してようやくパーフェクトにメイクできるようになったんだけど、今度はカメラがトラブって撮影できなかった。あれは頭にきたね。最初からやり直しになったからさ(笑)」
「でも、僕は頭にイメージが浮かんだものは絶対にやり遂げるタイプなんだ。たとえ永遠の時間が必要になってもね!」
このように苦労したシーンを振り返るヴィブマーは、全編を通して諦めない不屈の精神をこのメイキング映像で見せてくれる。
8分ちょっとの映像を作るのに1年のスケジュールを組んで、なんと合計35日もかけて撮影を敢行したそうだ。『Wibmer’s Law』を過去に見たことがある人は是非、お初という人には本作を観た後、すぐにでもチェックしていただきたいメイキング映像だ。
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POINT 3
🎬 固定概念を覆す“ママチャリ”を使った斬新すぎるチャレンジ!
『Out Of Mind』
【ストーリーハイライト】
- 1分41秒から、マウンテントレイルを全力疾走の超ハイスピードで駆け抜けるヴィブマー。まずは確認しておこう、彼が乗っているのは普通のママチャリであると。
- 4分10秒からの雄大な自然の中を強引に攻めるシーンは、手に汗にぎる内容となっており一瞬たりとも目が離せない!
- さらに、5分34秒からは巨大ジャンプ台でバックフリップを決めるというラストにして超無謀なチャレンジ。
- pickup動画の詳細 -
『Out Of Mind』と題された本作は文字通り常識“外”の固定概念を覆す内容に仕上がっている。
通常のオフロードMTBでも困難とされるオーストリア屈指のマウンテントレイルを、一般的な自転車いわゆる“ママチャリ”でアグレッシブかつ優雅に駆け抜ける。もちろんヴィブマーの圧倒的なスキルの高さゆえにこれが実現していることは確かなのだが、誰も想像しえなかったアイディアも彼ならでは。
「これまでの人生で最高に面白い体験になったよ。自分の限界をプッシュするっていうのは本当に楽しいね」
撮影後のコメントでヴィブマーはこのように振り返り、常識“外”なチャレンジを楽しみつつもやり遂げ、エンターテイナーとして最高の作品を完成させた。
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POINT 4
🎬 地球上最高難度に挑むMTB動画の王道
『ファビオ・ヴィブマー、ドロミーティを走る』
【ストーリーハイライト】
- 0分36秒から、ヘリコプターから降ろされたヴィブマーが道なき道を己の勘と経験で進んでいく冒頭の部分で、このコースがいかに難易度の高い場所かお分り頂けるはず。
- 3分19秒からの階段を降りていくシーンでは、バイク1台がギリギリ通れるほどの狭さを、圧倒的なスキルを駆使することで、いとも簡単に攻略する圧巻の映像だ。
- pickup動画の詳細 -
ここまでクリエイティブで様々なアイディアによって完成された作品をご紹介してきたが、最後にMTBライダーとしての王道作品で締めくくる。
イタリア北東部に位置するドロミーティ山脈は息を呑むほど美しい大自然が広がり、1チーム4アスリート(マウンテンランニング、パラグライダー、カヤック、マウンテンバイク)で開催されるRed Bull DolomitenannのマウンテンランニングコースBeat The Goggが存在することでも知られている。このコースは地球上最も困難なシングルトラックとも言われ、通常ランナーが登ることでさえ危険なポイントをヴィブマーはいとも簡単に、しかも逆走でダウンヒルしていくのだ。
山々に囲まれた東チロル出身のヴィブマーにとって原点回帰とも言える本作。ストリートやオフロードで生まれる独創的でユニークなアイディアは、ホームグラウンドのマウンテンロードでこれまでに培われてきた経験が生きているのであろう。ドロミーティの雄大な美しさとともに本作はファビオ・ヴィブマーのMTBライダーとしての真骨頂を見せてくれる。
◆総括◆
24歳で自転車界のみならず、YouTuberとしても世界中から注目を集めるファビオ・ヴィブマー。スキルの高さやコンテストの優勝はもちろん、それ以外の部分で人をどのように魅了するか。つまり、MTBに興味のない人でも驚いて楽しめるような映像とは何なのか。これを追求するオーストリアの若きエンターテイナーは、これからも誰しもが思いつかなかった無謀でクリエイティブなチャレンジを成功させてゆくことだろう。
次に彼が思いつく奇想天外なアイディアとは一体どういったものだろうか。今後の動向からも目が離せない。
(了)
◆Information
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