1. クルーは家族のような存在
「クルーは家族」
クリシェに聞こえるがこれは真実だ。クルーとは、共通した何か (ダンス )に情熱を注ぎながら一緒に成長していく人間の集まりだ。クルーはゆっくりと進化していく。一緒に練習する友人グループとしてスタートしたあと、そのコアが固まれば、あとは自然に大きくなっていく。クルーのメンタリティとライフスタイルに共感する人が次々と集まり、クルーメンバーになっていく。
このようなクルーの中で培われた友情は、ダンスを離れても壊れない。クルーメンバーは、誰かの力が必要になるあらゆるシチュエーションで大きな助けになってくれる。
2. 集合知が得られる
人数が増えれば、それだけ知識も増えていく。ダンスクルーを含むあらゆるグループにおいてこれは真実だ。クルーの中にアクロバティックなムーブのエキスパートと音楽やフロウのエキスパートがいれば、2人から学ぶことでクルー全体のレベルを高められる。また、年齢や生活の違いも考え方の幅を広げてくれる。同じ年齢や同じ生活をしている人たちのグループでは得られない貴重な視点を授けてくれるのだ。
恋人と別れて落ち込んでいたら、その体験をしたことがある他のメンバーがアドバイスをくれるだろう。娘のスマートフォンにアプリをインストールできなくて困っていたら、若いメンバーが助けてくれるはずだ。そして、ヘッドスピンがメイクできなくても、パワームーブのエキスパートが手を差し伸べてくれる。
3. モチベーションを維持できる
ダンサーが "芸術の領域" まで自分のスキルを高めるには相当長い時間が必要になる。その道のりは素晴らしい体験だが、「前に進めていない」と感じてしまう瞬間が何回か訪れる。このような瞬間は、ダンサーをトレーニングや努力から遠ざけてしまう可能性を秘めている。
しかし、クルーと一緒なら、他のメンバーがモチベーションを高めたり、引っ張ったりしてくれる。ひとりならトレーニングをサボってしまうかもしれない。自分は未熟だという考えに囚われすぎてしまうかもしれない。しかし、クルーメンバーが近くにいればそんなことにはならない。自分をダンスフロアに導いたり、サイファーで励ましたりしてくれる。クルーメンバーとルーティンやゲームで競い合えば、すぐにまたやる気スイッチがオンになるはずだ。
4. バトルを一緒に戦える
これは多くの人が最初に思い浮かべるクルーのメリットだろう。1on1ではないバトルや大会では、チームメイトが必要になる。その場でパートナーを選ぶのも悪くないが、見知らぬ人とダンスするよりも、クルーメンバーとダンスする方がメリットは大きい。クルーメンバーと数多くのトレーニングを積んでいけば、お互いの長所と短所、そしてバトルでの癖や必殺ムーブも理解できるようになる。このような情報があれば、ダンスフロアのリアルタイムな変化にスムーズに対応できるようになる。
また、クルーと一緒にトレーニングを積めば、ひとりでは知り得なかったルーティンやコリオグラフィを学べ、それらを自分のフリースタイルに組み込むこともできる。見知らぬ他人と組めば、バトルに向けていちから準備しなければならないが、クルーメンバーと組めば、すでに基礎は仕上がっているので、そこからさらに上を目指せる。
5. インスピレーションが得られる
一緒にトレーニングを積むメンバーは、自分のダンスに大きなインパクトを与える。自分とは違うムーブやエナジー、ダンスへの取り組み方は、自分のクリエイティビティに火を付け、ユニークなスタイルを確立する助けになるだろう。
自分よりもエナジーに溢れているクルーと一緒にトレーニングを積めば、自分のムーブにもエナジーが感じられるようになるはずだ。また、複雑なリズムに合わせてムーブをメイクしているクルーがいれば、音楽への意識がさらに高まり、音楽をさらにダンスに活かそうという気持ちになるだろう。
多くのクルーは、このようなプロセスを経て、スタイルを確立させていく。クルーメンバー全員が同じダンスをする必要はないが、クルーメンバーの間ではアプローチや哲学が共有できている。